輸出ブランド

沖縄県産の鶏卵、 空路でシンガポールへ



 平成25年までに輸出額を1兆円規模に拡大するという目標の下、官民挙げての総合的な輸出戦略が推進されています。こうした中、各地の畜産物輸出ブランドについて、随時、本稿で紹介していきます。

 今月は、株式会社沖縄県物産公社が、合資会社瀬底養鶏場で生産された鶏卵を航空輸送し、シンガポールの現地日系スーパー向けに輸出している事例を紹介します。

航空輸送により鮮度を維持しつつ、出荷から2日後には店頭へ

 株式会社沖縄県物産公社は、県内の合資会社瀬底養鶏場(沖縄県南城市)で生産された鶏卵を、平成12年4月からシンガポール向けに輸出している。

 鶏卵は、同国での主な販売先である現地日系スーパーへ向け、週1回、250〜260パック(L玉6個入り)ずつ、同養鶏場から那覇空港→関西国際空港→シンガポール・チャンギ国際空港と経由し、出荷から2日後には店頭で販売されている。輸出量は平成20年度実績で5,923キログラム、輸出額は同428万円となっている。

【シンガポール販売されている沖縄県産鶏卵】

「生食」でも安心して食べられる卵として、地元産との差別化を図る

 こうして鮮度が維持された鶏卵は、店頭販売価格がパック当たり8.9シンガポールドル(約596円:1シンガポールドル=67円)と地元産の約5〜6倍の高値で販売されている。同国では、鶏卵は調理(加熱処理)後に食べるのが一般的であるが、加熱処理を行わない「生食」用でも安心して食べることが出来る卵として、衛生面の安全を求める同国在住の日本人や現地富裕層の間で人気を博しており、地元産との差別化が図られている。

定期的なフェアなどを行い、販売ルートを確保、さらなる販路拡大へ

 株式会社沖縄県物産公社では、販売ルートを維持・確保するため、同国において毎年10月頃に「沖縄フェア」などの物産展を開催している。このような取り組みを通じて、鶏卵だけでなくゴーヤなど生鮮野菜の輸出も成功させており、新たな取引先の開拓や沖縄県産品のPRを継続して行っている。

 また、シンガポールだけでなく香港へも豚肉や野菜、果物の輸出を行うなど、沖縄を代表する生鮮物や健康食品の海外販路拡大を精力的に行っており、国内相場に左右されない新たな販売チャネルの拡大を図っている。

海外での販売は、生産意欲の向上に繋がる

 合資会社瀬底養鶏場は飼養羽数8万羽、1日当たり鶏卵生産量3.4トンを誇る県内でも有数の養鶏場である。同社の輸出に占める割合は生産量全体の0.5%程度でしかなく、また、輸出向け鶏卵の利益率は、諸経費を差し引くと決して高いわけではない。

 しかし、同社の瀬底社長は、「シンガポールで自分が生産した鶏卵が食べられていることを誇りに思う。おいしい、欲しいと言ってくれる人の声が(現地スーパーを通じて)届いて来ることにやりがいを感じている。今後も要望に応えていきたい。」と話し、今後とも需要に応じた供給を継続していくとしている。

【瀬底養鶏場(沖縄県南城市)】

  協力:株式会社沖縄県物産公社
      合資会社瀬底養鶏場
      沖縄県農林水産部畜産課


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