需給動向 海外

◆豪 州◆

2009/10年度以降の牛と畜頭数および牛肉輸出量は減少の見込み


◇絵でみる需給動向◇


牛と畜頭数は牛群再構築の進展で減少、現金所得も減少の見込み

 豪州農業資源経済局(ABARE)によると、2009/10年度(7〜6月)の牛と畜頭数は、前年度比2.3%減の850万4000頭と昨年度に続き減少すると見込まれる。これは、2010年初頭より気象条件が改善され、牛群の再構築が進んだためとみられる。ABAREは、良好な気象条件は今後も続くと見込まれることから、2010/11年度も837万3000頭と前年度を下回ると予測している。

 また、ABAREによる農家経営調査では、穀物・畜産経営農家1戸当たりの現金所得(=現金収入−現金支出)についても、2009/10年度は前年度からの減少が見込まれている。この調査は、豪州を北部(西オーストラリア州南回帰線以北、クイーンズランド州、北部準州)と南部(西オーストラリア州南回帰線以南、南オーストラリア州、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州)に2分し、それぞれの穀物・畜産経営農家(肉牛専業、穀物・家畜(羊、肉牛)複合、穀物専業(小麦主体)、羊・肉牛複合、羊専業の5類型)を対象としている。これによると、2009/10年度における北部の平均現金所得は前年度比18%減の6万6000豪ドル(508万円:1豪ドル=77円)、南部は同47%減の3万1700豪ドル(244万円)と、ともに大幅な減少が見込まれている。南部の著しい減少についてABAREは、2009年2月の記録的な熱波などにより、穀物専業農家の現金収入が、同36%減の5万9800豪ドル(460万円)と大幅に減少したことが大きいとしている。

図3 牛と畜頭数の推移
資料:ABARE
注:2009/10年度は暫定値、2010/11年度は予測値

需要減などから牛肉輸出量も減少へ

 牛肉輸出量についても、2009/10年度が前年度比5.2%減の92万トン、2010/11年度が同1.1%減の91万トンといずれも前年度を下回るとみられる。この要因としては、気象条件の回復によって牛群の再構築が進むこと、インドネシア、ASEAN諸国、ロシア連邦、および中東などの市場が縮小する見込みであることを挙げている。しかし、2010年3月、ロシア連邦農業省と豪州農漁林業省(DAFF)は会談し、両国間における農畜産物の貿易支援、動植物検疫分野における協力関係の発展などに係る協定に調印した。これに伴い、今後ロシア向け輸出量については変化が生じる可能性があるとみられる。

図4 牛肉輸出量の推移
資料:ABARE
注:2009/10年度は暫定値、2010/11年度は予測値

米国・日本向けは景気回復を機に増加へ、韓国向けは外食産業向けを中心に増加

 国別に見ると、米国向けは米ドルに対して高値で推移した為替の影響、輸出量が増加した前年度の反動もあり、2009/10年度は前年度比29%減の20万トンと大幅に減少するものの、2010/11年度に入ると景気の回復から米国国内の需要が増加し、同15%増の23万トンまで回復するとみられる。日本向けについては、米国産牛肉との競合、日本経済の停滞を反映し、2009/10年度は、同3%減の35万2000トンとやや減少すると見込んでいる。このうち、グラスフェッド牛肉は同9%減の16万7000トンと減少する一方、グレインフェッド牛肉は同14%増の9万5000トンと増加するとしている。しかし2010/11年度は、競合国である米国の供給量が減少し、日本経済が徐々に回復するとみられ、同2.3%増の36万トンと増加を見込んでいる。2009/10年度の韓国向けについては、同7%増の12万1000トンとかなりの増加が見込まれる。これは、韓国国内の外食産業からの需要回復に伴い、ステーキ肉(骨なし肉)が同15%増の7万2000トンと増加していることが大きいとみられる。2010/11年度に入っても好調が続くとみられ、同2.5%増の12万4000トンと前年度を上回ると見込んでいる。

 

 


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