需給動向 海外

◆タ イ◆

増加傾向で推移するタイの鶏肉調製品の輸出


◇絵でみる需給動向◇


2010年1月〜5月の国内価格は、前年同月を上回って推移

タイ国内の2010年のブロイラー卸売価格(生体)は、2009年9月以降、前年同月を上回って推移している。

 2010年に入っては、1月が前年同月比26.4パーセント高のキログラム当たり44.3バーツ(約124円:1バーツ=2.8円)と、前年同月を大きく上回った。その後2月45.1バーツ(126円、前年同月比29.6%高)、3月42.1バーツ(118円、同35.6%高)と堅調に推移し、4月には38.6バーツ(108円、同18.3%高)と5カ月ぶりに40バーツを割り込んだものの、5月には46.7バーツ(131円、20.9%高)と過去5年間で最高価格となった。

 生産量についてのデータは入手できていないが、タイブロイラー加工輸出協会からの聞き取りによれば、今年に入っての飼養羽数は昨年に比較して5パーセント〜10パーセント程度増加傾向で推移しているものとみられる。

価格が前年を上回って推移している要因としては、2009年秋以降の干ばつおよび高温による生産コストの上昇が挙げられる。

 ブロイラーの飼料として利用される国産メイズの生産が干ばつの被害を受け、飼料価格が上昇している上、高温によりブロイラーの事故率が上昇し増体率も減少していることから、生産コスト上昇につながっていると見られる。

図6 ブロイラー生産量と卸売価格の推移
資料:生産量はタイ農業・協同組合省、卸売価格はタイ商務省

2010年1〜5月の鶏肉調製品の輸出量は増加しているが、価格は前年に比べ低迷

 2010年1月〜5月までの鶏肉調製品の輸出量の累計は14万7千トンであり、前年同期に比べ、8.4パーセントの増加となった。このうち日本向けは6万1千トンあまりで、前年同期に比べ4.6パーセントの増加である。

 月別にみると、全体の輸出量は4月を除き前年を上回って推移しているが、日本向けは1〜2月が前年同月を下回る一方、3月以降は前年同月を上回って推移している。

 主要な輸出先国は日本、英国、オランダである。1〜5月の累計数量でみた各国のシェアはそれぞれ41.8パーセント、34.2パーセント、7.7パーセントと3カ国で8割を超えるシェアを占めている。その他、シンガポール、韓国への輸出が前年に比較して増加している。

 一方、輸出価格については、1月〜5月までの平均で1トン当たり125,501バーツであり、前年同月比で10.7%安、日本向けを見ても134,882バーツで同16.3パーセント安と前年に比較すると安値傾向で推移している。ただし、これは輸出価格が上昇した2009年との比較であり、2005年から2007年にかけての価格に比較すると、高めに推移している。

 この価格の下落については、主要輸出先国において鶏肉製品の需要は比較的堅調である一方、景気低迷により低価格志向である上、昨年より為替がバーツ高傾向で推移していることなどによるものとみられる。

 タイの鶏肉産業では今後も鶏肉調製品の輸出は堅調に推移すると見て、日本企業とのタイアップも含め、CPフード社、Betagro社、GFPT社などの大手インテグレーターが、製造能力の増強を行っている。

 2010年の輸出量の見通しについて、業界は増加すると見る一方で、景気や為替レートの悪化、中国産鶏肉調製品との競合、EUの鶏肉調製品に対するタリフラインの見直しによる影響などについて懸念を持っている。

表3 タイの鶏肉調製品輸出(2010 年)
単位:トン、バーツ/トン
表4 タイの鶏肉調製品輸出(前年同月比)
単位:%
資料:タイ財務省

 



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