需給動向 海外

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第3回目の介入買入在庫入札でも脱脂粉乳は全量不落に


◇絵でみる需給動向◇


脱脂粉乳の卸売価格は模様眺めの展開

 2010年において第3回目となるバターおよび脱脂粉乳の介入買入在庫の入札が7月8日に実施されたが、脱脂粉乳については、第1回、第2回に続き今回も応札価格帯が低すぎるとして全量不落となった。今回の応札価格帯は、100キログラム当たり185ユーロ(約20,905円:1ユーロ=113円)から215ユーロ(約24,295円)と伝えられているが、2010年6月の脱脂粉乳の卸売価格は238ユーロ(約26,894円)とされており、欧州委員会側としては市場への悪影響を考慮し、今回も落札を見送ったもようである。しかしながら、今後放出を待つ脱脂粉乳の介入買入在庫量は19万トン強となっており、市場関係者は引き続き欧州委員会側の対応を見守る模様眺めの展開となっている。このため、脱脂粉乳の卸売価格は、介入買入在庫放出に係る入札が発表された2010年5月をピークとして、6月は前月比4.3%安となっている(図7)。

図7 脱脂粉乳の卸売価格の推移
資料:農畜産業振興機構調べ
 注:ドイツの脱脂粉乳卸売価格(食用)を指標とした。

バターの介入買入在庫は残りわずかに

 一方、バターについては、第1回、第2回に続き、今回も一定量が落札された。今回の応札価格帯は、100キログラム当たり335.5ユーロ(約37,912円)から361ユーロ(約40,793円)と伝えられており、最低落札価格は361ユーロに定められた。この結果、約210トンが放出され、バターの介入買入在庫量は1,500トン程度まで減少することとなる。このように、バターについては介入買入在庫量が残りわずかとなっていることもあり、脱脂粉乳ほど市場への影響は観察されていない。図8はバターの卸売価格の推移を示したものであるが、介入買入在庫放出に係る入札が発表された2010年5月以降価格の上昇は鈍化しているものの、6月の価格は前月比3.6%高の100キログラム当たり374ユーロ(約42,262円)まで上昇していることが読み取れる。

図8 バターの卸売価格の推移
資料:農畜産業振興機構調べ
 注:オランダのバター卸売価格を指標とした。

 EUを含む北半球の生乳生産は、春をピークとして今後減少基調で推移することから、域内のバターひっ迫は当面変化はないとみられる。一方、脱脂粉乳については2009年3月より在庫が累積しているため、今後とも不落が続けば在庫の品質保持面での懸念が生じることとなりかねず、欧州委員会としては難しい対応を迫られそうだ。

 また、ZMBによれば、2010年5月の生乳生産量は、2009年9月以降では初めて前年同月の値を上回り、前年同月比で`1.3%の増加となった(図9)。域内の乳製品市場のひっ迫を受け、生乳増産が進んだ結果とみられるが、増産が今後域内の乳製品市場にどのような影響を与えるか注目される。

図9 EU27における月別生乳供給量の推移
資料:ZMB
 注:各月の日数を365/12に補正。なお、2010年4月以降の値は暫定値。

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