需給動向 海外

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2010年6月の豚枝肉卸売価格は前月比8.4%上昇


◇絵でみる需給動向◇


前年同月と同水準に

 EUの豚枝肉卸売価格は、2010年4月以降上昇傾向で推移しており、6月は前月比8.4%高の100キログラム当たり150.75ユーロ(約17,035円:1ユーロ=113円)となった。これは、既報(「畜産の情報2010年7月号」)のとおり、域外への輸出が堅調に推移しているためであり、2010年の春先は好天に恵まれたことでバーベキュー需要の喚起に影響している可能性もある。この結果、2010年6月時点では前年同月と同水準となっており、今後前年同月との比較は、例年観察されている夏場のピークがどこまで高まり、また、どの程度持続するかによることになる。

図5 EUにおける豚枝肉卸売価格の推移
資料:欧州委員会

2010年第1四半期の域外輸出でデンマークが首位に復帰

 一方、デンマークの農業専門紙landbrugsavisenの6月18日付報道によれば、欧州委員会の公表資料では2010年第1四半期の豚肉製品の域外輸出は、デンマークが142,300トンを記録したのに対し、ドイツは136,000トンにとどまり、デンマークが再び域外輸出において首位となった。既報(「畜産の情報2009年5月号」)のとおり、デンマークは豚肉製品の域外輸出首位の座を2008年にドイツに譲っていたところであったが、久々に首位の座を奪還したことになる。

 あるデンマーク食肉産業関係者は、昨今のデンマーククローネの為替レート低下により域外の第三国産豚肉との価格競争力が向上しており、特にロシア市場において成功を収めていることを認めたが、ロシアとの取引量は多いものの低級部位が主体であり、取引額の多い日本はデンマークにとって引き続き重要な市場であると、日本との関係を重視している点に言及することも忘れなかった。

 いずれにしても、デンマークとドイツの熾烈な首位争いが今後どのように展開されるか注目される。



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