需給動向 海外

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欧州委、介入買入在庫のうちバター5.1万トン、脱脂粉乳6.5万トンの市場外処分を採択


◇絵でみる需給動向◇


実質的な介入買入在庫量はバター3.2万トン、脱脂粉乳21.7万トンまで減少

 欧州委員会は11月20日、累積したバターおよび脱脂粉乳の介入買入在庫のうち、バター51,148トン、脱脂粉乳65,290トンを2010年中に域内の生活困窮者への食料援助の枠組みの下で市場に戻すことなく処分することを採択した旨発表した。この生活困窮者への食料援助とは、1987年に創設されたEUの農産物に関する介入買入在庫を有効活用し、生活困窮者に食料を無料で配布する制度で、2010年の予算規模は前年と同水準の約5億ユーロ(約660億円、1ユーロ=132円)とされている。

 この結果、将来的に市場に戻される可能性のある介入買入在庫量は、バター約32,000トン、脱脂粉乳約217,000トンまで減少することとなるが、バターについては、別途民間在庫補助分が保管されている点にも留意する必要があろう。

表1 介入買入在庫量および食料援助仕向量の加盟国別内訳

バターおよび脱脂粉乳の卸売価格上昇が鈍化

 バターの卸売価格は9月以降急激に回復し、11月初めには100キログラム当たり340ユーロ(約44,880円)に迫る水準となったが、その後は横ばいを続けている。これは、10月23日以降段階的に削減され、11月20日に再びゼロに設定されたバターの輸出補助金が影響していると考えられる。

 なお、財務相理事会のプレスリリースによれば、2010年における乳製品の輸出補助金予算について0.2億ユーロ(約26億円)の不用が見込まれることから、欧州委員会側は2010年の酪農追加対策の規模を当初案の2.8億ユーロ(約370億円)から3億ユーロ(約396億円)に修正し、財務相理事会の場で合意されたとしている。このことから、欧州委員会側は、2010年において乳製品の輸出補助金の必要性が低下していると認識していることがうかがえる。
図10 バターの卸売価格の推移

 脱脂粉乳についても、10月23日以降輸出補助金がゼロに設定されたことが影響し、卸売価格の上昇が鈍化している。脱脂粉乳は前述のように、約21.7万トンの介入買入在庫が将来的に市場に戻される可能性があるだけに、再び卸売価格が上昇に転じるかどうかは不透明な情勢と考えられる。
図11 脱脂粉乳の卸売価格の推移

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