海外駐在員レポート  
 

ブラジル鶏肉産業の現状と今後の見通しについて

ブエノスアイレス駐在員事務所 星野 和久、石井 清栄


    

1.はじめに

 米国農務省(USDA)の統計によると、2008年のブラジル産鶏肉は、生産量(1103万トン)が米国、中国に次いで世界第3位、輸出量(3242千トン)が世界第1位となるなど、まさに世界規模の産業となっている。特に、輸出においては、近年の世界的な鳥インフルエンザの発生の中、感染が確認されていないことがプラス要因となり、国際市場でのニーズが増していることから、今や世界150カ国以上で同国産鶏肉が消費されている。

図1 世界の鶏肉生産量(2008年)
図2 世界の鶏肉輸出量(2008年)
 このうち、日本は2008年にブラジルから鶏肉を392千トン輸入している。これは同年の日本の鶏肉および鶏肉調製品の輸入量(731千トン)の54%、鶏肉のみの輸入量(420千トン)では実に93%を占めており、わが国の鶏肉需給とブラジル鶏肉産業は密接な関係にあることが伺える。

 しかし、2008年9月の国際金融危機による海外市場の冷え込みにより、2009年の生産量(1098万トン;推定値)は、前年比0.4%減と見込みまれている。そこで、今回は、ブラジル鶏肉産業の現状を調査し、今後の成長に向けた取り組みを報告する。
図3 日本の鶏肉・鶏肉調製品の国別輸入割合(2008年;合計731千トン)

2.鶏肉生産の現状

(1)生産力

 最近のブラジルの鶏肉生産と消費の推移を見ると、鶏肉生産量は1998年の4854千トンに対し、2009年は10980千トン(推定値)となり、この11年間で126.2%増加した。また、国民一人当たりの鶏肉消費量は1998年の22.9キログラムに対し、2009年は39.0キログラム(推定値)となり、70.3%の増加となっている。ブラジル養鶏協会(UBA)によると、鶏肉生産量の69%は国内で消費されていることから、国内市場はまさに重要な位置づけであり、国内消費者への鶏肉食品の浸透が、同国の鶏肉産業の成長を支えてきたと言えるだろう。なお、2006年と2009年の生産量はいずれも前年割れとなっている。この理由としては、2006年については海外において鳥インフルエンザの人から人への感染が確認されたことにより、国内外の消費者に鶏肉の安全性に対する誤解が生じ鶏肉の買い控えがおこったため、また2009年については2008年9月の国際金融危機の影響により特に海外での市場購買力が低下したため消費が伸びず、一時的に生産が抑えられたことが挙げられる。

 地理的特徴を見ると、2008年の鶏肉の生産分布では、南部(パラナ州、サンタ・カタリナ州、リオ・グランデ・ド・スル州)、南東部(サン・パウロ州、ミナスジェライス州)、中西部(ゴイアス州、マット・グロッソ・ド・スル州、マット・グロッソ州)の地域だけで、政府登録の食鳥処理場を163施設有し(全体の88.6%)、年間処理羽数は4360百万羽(同84.2%)、年間生産量は9637千トン(同87.3%)となるなど、これらが主要生産地域となっていることが分かる。
図4 鶏肉生産量の推移
図5 ブラジルの国民1人当たり鶏肉消費量の推移
図6 ブラジルの行政区分
表1 地域別の鶏肉生産状況(2008年)
(2)生産体制

 鶏肉はひなのふ化、肥育、処理、加工までの一連の工程により生産されるため、総生産量は最も川上となるブロイラー用ひなの供給羽数によりコントロールされる。このため鶏肉企業は、世界的に生産工程を一貫した垂直統合(インテグレーション)システムを整えており、ブラジルでは1960年代にサンタ・カタリナ州から導入された。2008年では全農場の79%が会社または協同組合の経営によるインテグレーション・システムの鶏肉生産を行い、市場の需給状況を勘案しつつ生産量を決めている。
図7 インテグレーション・システムの導入割合(2008年)
 ブラジル農業研究開発公社(EMBRAPA)らの調べでは、同国南部(サンタ・カタリナ州)の平均的な生産指標は表2のとおりとなっている。出荷日齢が42日、年間出荷回数が6.5ロットであることから、鶏舎の空舎期間を14〜15日間と推定すると、365日フル稼働という効率的な生産体制が確立されていることが分かる。また、出荷時の1羽当たりの生体重量は2.3キログラムであるが、これに要する生産コストは、一般的な養鶏場(インテグレーション・システムの契約養鶏場:ウインドレス鶏舎に2万羽を飼養)を想定した場合、1羽当たり3.810レアル(約198円:1レアル=52円)となる。従って、同地域においては、利益が得られる生体出荷時の最低価格はキログラム当たり約1.66レアル(約86円)と計算されるが、実際の国内の生体価格はこれを下回っているため(図10)、これでは養鶏場の収支バランスが崩れてしまうことになる。このため、この地域のインテグレーション・システムでは、出荷時に養鶏場に対して1羽当たり0.4〜0.5レアル(約21円〜26円)の奨励金を支払うことで、川上における養鶏生産の継続性が担保できるような契約システムをとっており、これは統計上現れない養鶏場の収益になっていると考えられる。
表2 生産指標(2008年、サンタ・カタリナ州)
表3 生産コストの内訳(2009年9月、パラナ州)
モデル: インテグレーション・システムの契約養鶏場(ウインドレス鶏舎2万羽/鶏舎)
 生産コストのうち、飼料に係る経費は2.479レアル(約129円)となり、生産コスト全体の65.1%を占め、ブラジルのような飼料生産地でも飼料に係るコストは大きい。さらに、ブロイラー用配合飼料の65%がトウモロコシであり、2008年の収穫量(51003千トン)で見ると、南部が37%、南東部が21%、中西部が31%を占め、鶏肉の生産地とほぼ一致していることが分かる。中西部では生産量が全鶏肉の10.2%(2008年)しか生産されていないことを考えると、今後、同地域での生産量をいかに増加させるか、あるいは流通インフラをいかに整備するかがポイントとなるであろう。
図8 ブロイラーの給与飼料割合(2008年)
図9 地域別トウモロコシ収穫割合(2008年/2009年:合計51003千トン)
 ブラジル国内における鶏肉消費は、低価格の丸どりが約50%を占めており、もも肉やむね肉のカット肉は約35%となっている。最近の価格動向を見ると、2006年は鳥インフルエンザに対する誤った認識から消費者の鶏肉離れがおき、丸どり(キログラム当たり1.75レアル(約91円))は前年比12.1%安、むね肉(同2.45レアル(約127円))は同16.1%安、もも肉(同1.90レアル(約101円))は同22.8%安と大幅に低下したものの、その影響は一時的なものであり、その後は順調に回復している。2009年には丸どりが同2.52レアル(約131円)、むね肉が同3.33レアル(約173円)、もも肉が同2.64レアル(約137円)となるなど、鶏肉価格は2006年に比べ約40%程度上昇している。
図10 国内価格の推移
(3)主力企業

 ブラジル養鶏協会(UBA)らの2007年のデータによると、年間処理羽数の40%超をブラジル・フーズ社とマルフリグ社の上位2社で占めていることが分かる。これらは個別の企業(4社)であったが、2008年の国際金融危機を乗り切るため、生産コストの削減と輸出競争力の向上を目指した結果、2社に再編され、業界の構造改革が起こった。
表4 企業別の処理実績(2007)
 まず、ブラジル・フーズ社については、2009年5月、それまで第1位と第2位の地位にあったサジア社とペルジゴン社が合併したことにより、年間処理羽数が30%超のシェアを占める世界でも有数の巨大企業ブラジル・フーズ社が誕生した。サジア社とペルジゴン社はともに食肉製品のみならず付加価値の高い商品を数多く展開しており、世界100カ国以上に輸出するなど多角的経営のスタイルはよく似ていた。しかし、サジア社において、2008年の国際金融危機によるドルの急激な低下から、金融デリバティブで大きな為替差損が発生し、同年の純損失は24.8億レアル(約1289.6億円)となり、同社創業以来の64年間で最も大きな損失であった。2007年には7.68億レアル(約399.36億円)の純益をもたらしていたものの、わずか1年で資金調達の不足が生じたことから、同社は旧来からの国内ライバル企業であるペルジゴン社に吸収される以外の選択の余地はなくなった。

 また、マルフリグ社については、2009年9月、カーギル社からセアラ社を買収した。同社はこれまで牛肉加工・処理が主であったが、2008年に国内中堅クラスの鶏肉処理企業3社(デ・グランジェ社、ペナ・ブランカ社、OSIグループ)を買収したことにより鶏肉産業に参入するなど、食肉産業における経営多角化を図る中、2009年には国際的なネットワークを有する業界3位のセアラ社を取り込むことで、国内外の鶏肉産業における地位を固めつつある。
表5 ブラジルにおける鶏肉生産量上位5社の組織概要(2009年)
(4)輸出実績

 最近の鶏肉および鶏肉調製品の輸出量、輸出額を見ると、2003年ではそれぞれ1960千トン、1799百万ドル(約1655.08億円:1ドル=92円)だが、2009年では3635千トン、5814百万ドル(約5348.88億円)となり、この7年間で輸出量は85%、輸出額は223%増加した。なお、2006年と2009年は、前述の理由(参照:1(1)生産力)で、2006年は輸出量4.6%減、輸出額8.5%減、2009年は輸出量0.3%減、輸出額16.3%減となっている。輸出にあっては、2006年の鳥インフルエンザの影響よりも、2008年の国際金融危機による影響の方が収益に対する負のインパクトが大きいことが分かる。

 地域別では、2008年は南部が5300百万ドル(約4876億円)と、同地域だけで年間輸出総額6949百万ドル(約6393億円)の76.3%を占めることとなる。輸出においては、EMBRAPAの調査によれば陸上輸送費などは船積み価格の6%を占めることから、輸出に必要な主要積み出し港に近い地域がコストパフォーマンスに優れることとなり、輸出競争に優位と言える。
図11 輸出状況の推移
表6 地域別の輸出額(2008年)
図12 鶏肉輸出船積み価格のコスト割合
 UBAらの2008年のデータによると、上位5社のシェアは輸出においても国内生産と同様であり、さらにブラジル・フーズ社とマルフリグ社の上位2社で年間輸出量の61.8%のシェアを占めることから、国内市場よりも一層寡占化が進んでいると言える。また、2008年の輸出額6949百万ドル(約6393億円)のうち、冷凍カットは52%、冷凍丸どりは32%を占め、国内の消費傾向と異なり単価の高い冷凍カットが輸出における収益の主体となる。今後、さらに業界の構造改革が進むとすれば、中小規模の企業や協同組合とともに、海外資本による多角的経営企業であるブラジル・タイソン社の動きも気になるところである。2008年にブラジル鶏肉産業に進出したブラジル・タイソン社は、同年の輸出実績は全体の1%にも満たないが、2010年にはEU向け輸出の強化を目標とし、サンタ・カタリナ州イタイオポリスで新規事業を展開すると伝えられている。
表7 企業別の輸出実績(2008年)
図13 鶏肉製品別の輸出額に占める割合(2008年:総額6949百万ドル)

3.最近の需給の動向−国際金融危機の影響−

 このように、近年、順調に成長を遂げつつあるブラジル鶏肉産業であるが、2008年秋、米国に端を発した国際金融危機が鶏肉輸出量世界第1位のブラジルにどのような影響を与えたか、輸出量、輸出額、国内価格およびひなふ化羽数の観点から順に追ってみたい。

(1)2008年の動き

 2008年の鶏肉および鶏肉調製品の輸出量は、5月の361千トンをピークに、上期(1−6月)に1842千トンとなり、前年同期に比べ27.1%増と順調に推移していた。しかしながら、9月に米国の金融危機が報告されると、海外市場の需要が減少し、11月は235千トンとなるなど、5月-11月までの6カ月間で34.9%の大幅な減少が見られた。

 輸出先を失った鶏肉は国内市場に流れ込んだため、主力商品である冷蔵丸どりの価格は8月のキログラム当たり3.1レアル(約161円)から11月には同2.76レアル(約143円)まで11.0%も低下するなど、国内価格は軒並み低下した。 

 UBAでは需給の調整を図る必要があると判断し、2009年2月までに飼養羽数を20%減少させるよう会員に促した。このため、川上となるひなふ化羽数は2008年10月の496.2百万羽をピークに減少しはじめ、2009年2月には406.9百万羽と4カ月間で18.0%の減少となった。2008年12月の国内の冷蔵丸どりの価格は、ひなの供給羽数の減少と年末需要の増加とあいまって、同3.07レアル(約160円)となり、11月と比べ11.2%上昇し、一時的に活気を取り戻した。


(2)2009年の動き


 2009年2月には国内価格の低下、輸出量の減少はストップし、その後は5月まで回復傾向で推移した。業界関係者によると、6月に中国がブラジルの26施設に対して鶏肉輸出の認定許可を行ったことなどから、2009年後半に対中国輸出が増加するのではという大きな期待感が生じた。このため、輸出用の鶏肉を確保するとともに増産体制に入り、7月にはひなふ化羽数を2月より22.9%増加させ500万羽となったという。しかしながら、中国への輸出需要は期待していたほどではなく、中国以外の海外市場も年末まで回復することはなかった。2009年の海外市場の冷え込みは予想以上に大きく、特に単価の高い冷凍カットを中心に輸出してきた日本、ロシア向け需要が大幅に弱まり、2009年の日本への輸出額は前年比47.3%減の611百万ドル(約56.2億円)、ロシアへは同57.3%減の104百万ドル(約9.6億円)であった。こうしたことから、2009年のブラジル鶏肉産業における輸出収益は大幅に減少することとなった。

 一方、国内市場を見ると、6月、7月は輸出用に手当てされたことから需給は引き締まり、価格も一時的に上昇した。しかし8月以降は、中国市場を見込んで生産した鶏肉の余剰分が国内市場に流れてきたため、国内価格は再び低下することとなった。このように2009年は最後まで国内価格、輸出量ともに前年水準まで戻ることはなかった。
図14 ひなふ化羽数と輸出量の推移
図15 国内の鶏肉価格の推移
表8 輸出先国別の輸出状況

4.新たな取り組み−今後の成長に向けて−

(1) 鳥インフルエンザ発生に備えた防疫演習

 鳥インフルエンザはこれまで北半球を中心に流行しており、ブラジルでの発生は確認されていない。鳥インフルエンザの発生時の措置は国際獣疫事務局(OIE)が推奨する方法により、一定の地域の生産活動の制限が強いられてしまう。このため、南部のように鶏肉の生産が集中している地域では、発生時の被害は甚大なものとなるであろう。これまでの経験からブラジルの養鶏現場における本病の発生の可能性は低いと思われるが、ブラジル農務省(MAPA)は万が一の発生においても最善の対応を尽くすため、2009年7月末に8日間の日程でパラナ州サバウジャ市にて初めての防疫演習を実施した。

 今回の演習は、MAPAとパン・アメリカン・口蹄疫協会の共催のもと、獣医師、陸軍兵士、軍警察、養鶏関係者、地元市役所および国内8州の農務部など総勢180人が参加し、パラナ州内の養鶏場7施設にて高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)が発生したことを想定して実施された。当日は、消毒チーム、検査チーム、死亡鶏処理チームなどに分かれ、発生施設を中心とした半径3kmの移動制限地域と半径10kmの搬出制限地域を設定して、ウイルスを地域内に封じ込めるような対策が取られた。パラナ州農務部のディエゴ獣医官によれば、「今回の大きな目的は人材の育成とシュミレーションの検証にあった。そのため、参加者には事前にシナリオは知らされず、いつ続発があるかもしれない中で演習は進められた。参加者は本当に実践することがないことを祈りながらも、緊張感をもって臨んだ。」とのことである。現在、MAPAでは、今回の演習を検証しており、さらなる改善を行っていくこととしている。
第1発生(想定)はパラナ州北部サバウジャ市
防護服を着た作業員が二酸化炭素で鶏を処分
道路封鎖には軍関係者も動員
500羽の鶏を実際に用いて埋却処理
(2)主要国への国際交渉専門官の配置

 MAPAは2009年、アルゼンチン、ベルギー、スイス、ロシア、中国、南アフリカ、日本、米国の8カ国のブラジル大使館に貿易に関する国際交渉を専門に支援する農業アタッシェ(専門官)を配置するための選抜を行った。同専門官は衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)に基づく問題など、貿易上の障壁となるようなことが新たに起こった際に技術的知識を発揮する極めて重要な存在として期待されている。MAPAアグリビジネス国際交流局のセリオ・ポルト局長は年末の政府広報のインタビューで、「ブラジルの貿易交渉には農業分野専門の技術サポートが不足していた。今後、アグロビジネスの交渉には非関税障壁に関する内容がますます増えることから、この分野の専門家は必須である。」と発言している。同専門官らは公募によって決まり、2010年1月から本格的なトレーニングが開始され、早ければ4月にも任地に派遣される予定である。

(3)新規市場開拓

 ブラジルでは、ブラジル開発商工省貿易促進局(APEX)により毎年4月ごろ公表される貿易促進に関する行動計画に基づき、各分野の海外市場の開拓を推進している。2010年の計画は現在検討中であるが、これに先立ち、ブラジル鶏肉輸出業者協会(ABEF)ら業界団体は、2010年2月に先の国際交渉専門官8人に対し、ブラジル鶏肉産業の海外市場開拓に関する要点を説明する予定となっている。ABEFの市場開拓マネージャーによれば、「2010年は、2009年に輸出量が減少した日本、ロシア、ベネズエラ、アラブ首長国連邦における市場の回復を待ちながら、2009年に実績が伸びなかった中国はもちろん、インド、アフリカ諸国(スーダンなど)、イスラム諸国(インドネシアなど)にも進出していくことが期待される。」とのことで、単価の高い国々に限らず、世界中の市場に進出していくこととなりそうだ。

5.おわりに

 近年、世界規模に成長したブラジル鶏肉産業であるが、これは必ずしも約束された成長ではなかった。2008年秋の国際金融危機はブラジル鶏肉産業を直撃し、海外市場の冷え込みによる輸出量の減少、国内外の価格低下による収益の減少、金融デリバティブによる多額の損失による業界の再編へと続いた。2008年後半から2009年前半の非常に厳しい局面では、国内価格を維持するため、右肩上がりで推移してきた鶏肉生産量を削減するという新たなシナリオを選択せざるを得なかったが、2009年を通して国内価格、輸出量ともに前年並みに戻ることはなかった。2009年のブラジル鶏肉産業は縮小の1年であったと言えるであろう。

 そして、2010年はこれまでの課題をどのように克服するかが、前年の縮小を取り戻すための重要な鍵となる。生産コストの大半を占める飼料コストや輸送コストをどこまで削減できるか、産業構造が大きく変化するような企業の統合・製品の多様化が進展するのか、海外市場の新規開拓をどこまで進められるのか、鳥インフルエンザのような疾病のリスクを未然に防ぐとともに万が一の発生時のダメージをいかに軽減できるか、挑戦しなければならないハードルはいくつもあると言える。現在、ブラジル国内は、2014年のサッカー・ワールドカップ大会、2016年のオリンピックの開催が決定し、内需拡大の傾向にある。国全体が上げ潮のムードの中、ブラジル鶏肉産業もこの波にうまく乗り、そして再び成長の過程をたどるのか、引く続きあらゆる角度から注目していきたい。

 
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