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ベトナムでの豚繁殖・呼吸障害症候群の感染が継続


 東南アジアで豚の飼養頭数が最も多いベトナムは、2008年の飼養頭数は2670万頭と、2位のフィリピン(1307万頭)の約2倍の規模であり、ASEANに加盟する10カ国全体のシェアの中で4割近くを占めている。同国は飼料の6割を輸入に依存しているほか、家畜衛生上の問題により生産される豚肉の多くは国内消費に仕向けられている。

  また、豚肉は食肉消費の約7割を占める重要な畜産物である。

  このベトナムで、2010年4月から豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS、別名青耳病)の感染が継続して報告されている。

  PRRSは今年4月にハイズオン(Hai Duong)郡で最初に感染豚が報告された後、6月にかけてベトナム北部の主要産地である紅河デルタ地域を中心に発生した。その後北部での感染は下火に向かったものの、7月中旬に南部(中部高原、東南部、メコンデルタ地域等)の一部の省での感染が確認されたことを皮切りに南部に感染が拡大し、ベトナム農業省による10月7日付け発表によると、29省で発生が報告される事態となっている。この中には南部の主要産地であるドンナイ省も含まれている。

表1 ASEAN10カ国の豚飼養頭数
資料:FAOSTAT
表2 ベトナムの豚肉需給
単位:千トン
資料:FAOSTAT
表3 発生地域一覧表
資料:ベトナム農業省による10月7日付け発表を基に、財団法人自治体国際化協会「ASEAN 諸国の地方行政 ベトナム社会主義共和国編」より機構作成
注:赤字が2010年10月7日付発表におけるPRRS発生地域
  現地からの報告によると、8月末時点で約15万頭の豚への感染が報告され、発生農場における感染豚の処分が進められるとともに、感染地区からの豚の出荷が禁止されている。ただし、出荷停止は一部の大規模農家が例外とされているもようである。

  こうした中、疾病が発生し、出荷先を失うことを恐れる農家が保有する豚を売り急ぐとともに、風評被害なども加わって豚肉価格が低迷したことから、農家への影響が出ている。

  さらに、この疾病が長期化した場合、農家が豚群の再構築に消極的になることから、疾病終息後、安定的な供給が確保されるか懸念が持たれている。

図1 ホーチミン市豚肉卸売価格の推移
資料:ホーチミン市統計局
  注:枝肉の気配価格の平均
参考図 発生地域の一覧
資料:ベトナム農業省による9月7日付け発表を基に、財団法人自治体国際化協会「ASEAN 諸国の地方行政 ベトナム社会主義共和国編」内行政区分地図より機構作成
  注:色を付けた省がPRRSが報告された地域

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