需給動向 国内

◆牛 肉◆

6月の牛枝肉卸売価格、消費低迷で総じて値下がり


◇絵でみる需給動向◇


 東日本大震災発生後の自粛ムードの高まりや食中毒発生による消費低迷の影響等で牛枝肉卸売価格が値下がりしている。

 農林水産省の「食肉流通統計」及び「食肉卸売市場調査」によると、平成23年6月の牛枝肉卸売価格(東京市場、速報値)は、去勢和牛では、A−5がキログラム当たり1,953円(前年同月比4.0%安)、A−4が同1,563円(同3.9%安)、A−3が同1,304円(同7.5%安)、A−2が同1,118円(同9.0%安)とすべての規格で前年同月を下回った(図1)(注)。

図1 和牛枝肉卸売価格の推移(東京市場)
資料:農林水産省「食肉流通統計」、「食肉卸売市場調査」

(注)A−2の前年同月比がA−4やA−3に比べて大きいのは、平成22年6月の枝肉卸売価格がA−4及びA−3にあっては前年同月割れ(6.4%安、3.0%安)となった一方、A−2は前年同月を上回った(0.7%高)ことによる反動。

 和牛価格が軟調に推移する要因として、消費低迷に加え、出荷頭数の増加が見込まれることが挙げられる。

 一方、乳牛では去勢B−2が同622円(同5.8%安)と前年を下回ったものの、出荷頭数の減少している交雑種は、去勢B−4が同1,217円(同0.4%高)、去勢B−3が同1,143円(同3.5%高)、同B−2が同1,012円(同4.3%高)といずれも前年を上回った。交雑種は、品質に比べ値頃感があり人気があるが、酪農家において後継搾乳牛を確保するため乳用種との交配が進んだことから、出荷頭数は前年同月を2割程度下回っており、今後も前年を下回って推移すると見込まれている。

 このように牛枝肉の卸売価格は総じて値下がりしているが、消費の低迷が指摘されている和牛について、部分肉の卸売価格の動向を見てみた。

 当機構が19の卸売業者を対象に行っている「食肉卸売価格調査」では、6部位(かた、かたロース、かたばら、ともばら、サーロイン、うちもも)の卸売価格(仲間相場)を調べているが、平成23年6月の部位別卸売価格を前年同月と比較すると、去勢A−4とA−3ではほとんどの部位が前年同月を下回っているが、対照的に去勢A−2では「かた」、「かたばら」を除きすべての部位で前年同月を上回っている(表1)。

表1 和牛の仲間相場の推移
(単位:円/kg、%)
資料:農畜産業振興機構調べ

 こうした傾向について調査先の卸売業者は、量販店等の和牛の需要はA−2やA−3が中心であり、これらはA−4やA−5に比べて引き合いも堅調なことから、仲間相場の下落率もこれらに比べて低いか、若しくは部位によっては上昇しているものもある、としており、A−2の需要が比較的底堅いことがうかがえる。

 東日本大震災の発生の影響で消費者の経済性志向が強まっているが、より値頃感のあるものが選択される傾向は変わらないようだ。


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