需給動向 国内

◆鶏 卵◆

不需要期に入り卸売価格が急激に値下がり


◇絵でみる需給動向◇


 鶏卵の需要は、鍋料理や洋菓子への使用が伸びる冬場に増加し、そうした消費が少なくなる夏場に減少する。このため、鶏卵の卸売価格は、冬場に上昇し、夏場に低下する。

 今年も東日本大震災の影響等により高値で推移していた鶏卵の卸売価格が、不需要期の6月に入って急激に値を下げた。

 東日本大震災発生の3月からの鶏卵卸売価格を見てみると、全農「畜産販売部情報」による鶏卵の卸売価格(東京・M玉)は、3月から4月上旬にかけて震災の影響により首都圏への供給が減少したことから、3月の平均卸売価格が前年同月比22.6%高のキログラム当たり217円、4月が同38.4%高の同245円という高値をつけた。その後は供給量も回復し値を下げたが、それでも5月は前年同月比19.7%高の同213円という高水準なものとなった。

 しかしながら、不需要期の6月に入ると卸売価格は例年と同様に値を下げ、平均価格は前年同月を3.8%上回る同190円まで急降下した。7月に入ってからも例年と同様の値下がりは続いており、14日までの平均価格は同174円と前年同月をわずかに下回った(図5)。

図5 鶏卵卸売価格(東京・M玉)の推移
資料:全農「畜産販売部情報」
 注:消費税を除く。なお、23年7月は14日までの平均価格

 こうした結果、国が実施する鶏卵の価格差補てん事業(社団法人日本養鶏協会が事業実施主体)では、平成23年1月以来5カ月ぶりに補てん金が交付されることとなった。

 この事業は、毎月の鶏卵の標準取引価格が補てん基準価格を下回った場合、その差額の9割を補てんするものであり、6月の標準取引価格181.94円が補てん基準価格の183円を1.06円下回ったことから、その9割に相当する0.954円が補てんされる。なお、補てん金の財源は、国が4分の1を負担し、生産者からの拠出金が4分の3を負担する仕組みとなっている。


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