需給動向 海外

◆飼 料◆

米国農務省、2011年のトウモロコシ生産量を上方修正


◇絵でみる需給動向◇


 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は7月12日、2011/12穀物年度(2011年9月〜2012年8月。以下、「年度」)における国内外の主要農作物の需給見通しを公表した。6月30日に公表した現地調査に基づく2011/12年度の米国トウモロコシ作付面積の上方修正を受けてトウモロコシの生産予測量を上方修正した。

トウモロコシの作付面積は1944年以降では過去2番目の高水準

 トウモロコシの作付面積は前月の需給見通し(6月9日公表)では、3月の生産者意向調査に基づく数値を天候不順や洪水等の影響として150万エーカー下方修正されたところであったが、6月30日に公表された「Acreage」を受けて、今度は160万エーカー上方修正され9,228万エーカーとなった。

 これは、天候に恵まれたコーンベルト西部および周辺地域において作付が増加したことによるもので、この予測値は昨年を約400万エーカー上回る、1994年以降においては過去2番目の高水準の作付面積となる。

 トウモロコシ作付面積の増加は過去最高値を更新するなど好調なトウモロコシ価格により生産者の高い作付意欲を反映したものであり、州ごとに見ると、天候に恵まれたアイオワ州(前年度比6.0%増)、ネブラスカ州(同9.3%増)、ミネソタ州(同5.2%増)、サウス・ダコタ州(同14.3%増)などにおいて増加が見込まれている。

 収穫面積も上方修正されて8,489万エーカーとなり、1エーカー当たりの収量は前月の値を据え置いた158.7ブッシェルとなったことから、生産量は2009年の記録を2.9%上回る134億7000万ブッシェルになると予測された。

 一方、消費量については供給量の増大と価格の低下見通しなどから飼料向けは5000万ブッシェル、エタノール向けは1億ブッシェル上方修正された。これらを総合して国内消費量は1億4500万ブッシェルに上方修正された。また、主に中国向けの増大から輸出量が1億ブッシェル上方修正された。この結果に加え、6月30日に公表された6月1日時点の在庫調査結果も反映されて、期末在庫は1億7500万ブッシェル上方修正され、在庫率は前月の5.2%から6.4%に改善された。

表10 米国におけるトウモロコシの需給見通し(2011年7月12日米国農務省発表)
資料:USDA/WAOB「World Agricultural Supply and Demand Estimates」
  注:年度は、各年9〜8月

米国の生産増で世界の供給量も増加

 世界のトウモロコシの生産量は、米国の生産量が上方修正されたことを受けて、先月予測からわずかに引き上げられ、前年度比6.3%増の8億7239万トンとされた。

 中国の強い飼料向け需要により、米国から中国への輸出が増えたことから全体の貿易量は上方修正された。世界の生産量が上方修正されたものの、消費量も増え、その結果、世界の期末在庫はわずかに上方修正されたが前年を4.3%下回るものと予測されている。

表11 世界のトウモロコシの需給見通し(2011年7月12日米国農務省発表)
資料:USDA/WAOB「World Agricultural Supply and Demand Estimates」
  注:年度は、世界各国の穀物年度の単純合計

米国の大豆の作付面積は減少

 大豆の2011/12年度における作付面積も「Acreage」を受けて、前月の需給見通しを約140万エーカー下回る7,521万エーカーに下方修正され、収穫面積は7,426万エーカーに下方修正された。

 1エーカー当たりの収量は据え置かれて43.4ブッシェルとなったことから、米国の大豆生産量は32億2300万ブッシェルに下方修正された。これは、競合するトウモロコシの作付が増加した州を中心に減少したことによる。

 1エーカー当たりの収量は先月の値が据え置かれて43.4ブッシェルとなったことから、米国の大豆生産量は32億2500万ブッシェルに下方修正された。

 国内消費量は前月の値が据え置かれたが、米国の生産量の減少と南米の今秋の生産量の増加見通しなどによる輸出量の下方修正や6月30日の在庫報告を受けて、期末在庫は1500万ブッシェル下方修正された。

表12 米国における大豆の需給見通し(2011年米国農務省発表)
資料:USDA/WAOB「World Agricultural Supply and Demand Estimates」
  注:年度は、各年9〜8月

元のページに戻る