需給動向 海外

◆豪 州◆

2011/12年度の粉乳生産量、旺盛な中国需要を反映し堅調の見込み


◇絵でみる需給動向◇


2011/12年度の生乳生産量、前年度を上回る乳価などから微増

 豪州農業資源経済科学局(ABARES)によると、2011/12年度(7〜6月)の生乳生産量は、乳価が堅調に推移するとみられることに加え、乳牛飼養頭数も前年度をわずかに上回る見込みから、前年度比2.2%増の930万キロリットルと予測される。このほか、ビクトリア州北部およびニューサウスウェールズ州南部においては、2011年5月中旬におけるマレー・ダーリング川流域のダム貯水量が前年を上回っており、このことも増産に寄与するものと期待される。

2011/12年度の粉乳生産量は、依然として高水準の見込み

 2010/11年度の乳製品生産量は、全粉乳が前年度比18.3%増の14万9千トン、脱脂粉乳が同17.9%増の22万4千トンと、中国の旺盛な需要を反映し、いずれも大幅に増加するとみられる。一方、チーズおよびバターは前年度を下回ると見込まれる。

表9 乳牛飼養頭数および生産量の推移
(千頭、千キロリットル、千トン)
資料:ABARES

 2011/12年度についても、粉乳類は引き続き中国からの引き合いが堅調とみられる。このため、脱脂粉乳の生産量は前年度を3.1%下回るものの2年連続で20万トン超となる21万7千トン、全粉乳の生産量は前年度比3.4%増の15万4千トンと、引き続き高水準が見込まれる。

 一方、バターの生産量は植物性油との競合などにより国際価格が一服するとの見方から、同1.6%減の12万3千トンとみられる。

飲用乳は低価格なPB商品への需要が集まる

 豪州の大手スーパーマーケットでは2011年1月下旬より、1リットル1豪ドル(88円:1豪ドル=88円)と、低価格なPB(プライベートブランド)飲用乳の販売を展開している。5月上旬のスーパーマーケットにおける飲用乳の売上げに占めるPBの割合は、1月下旬比5ポイント増の55%となる一方、NB(ナショナルブランド)は45%とシェアが減少した。なかでも健康志向および値下げ幅が大きかったことを背景に、調整乳(低脂肪および無脂肪)におけるPBのシェアが拡大している。調整乳に占めるPBの割合は同10ポイント増の53%となり、全乳に占めるPBの割合の伸び率(同5ポイント増)を上回っている。

 ただし現在のところ、主要メーカーの発表する乳価には、こうした安売りの影響はみられていない。


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