調査情報部 審査役 河原壽
【要約】トウモロコシの国際価格が高値で推移する中、中国は2009/10年産の減産、飼料需要および工業需要の増加により、2009/10年度130万トンに続き2010/11年度においても150万トンの輸入を行い、国際トウモロコシ市場への影響の拡大が懸念されている。 中国政府は、1990年代前半の過剰基調を踏まえ、加工業の振興を図ってきたが、加工業の急速な発展および経済発展に伴う所得向上による畜産物の消費拡大・飼料消費の拡大により、1990年代後半には一転して需給がひっ迫する状況となった。 このため、中国政府は加工企業の発展を抑制する政策に転換した。しかし、加工消費の抑制にはある程度成功しつつも飼料消費の増加傾向は継続しており、2009/10年の干ばつなどの天候不順による減産により、2010/11年度は平年作であったにもかかわらず150万トンの輸入となり、恒常的な輸入国への転換も懸念されている。 今後、中国政府は、総消費量に対する加工業の消費量の割合を目標である26%以内に抑制し、飼料消費の拡大に対しては、わら、酒かす、食品加工副産物の飼料化などの非穀物資源の利用拡大、DDGSなどタンパク資源利用など飼料利用の多様化を図りつつ、基本的には自給体制を維持する方向である。 トウモロコシの生産拡大、肉類の流通ロスの低減などの政策も展開されるが、耕地面積の減少、水資源不足などが懸念される中、大豆からトウモロコシへの転換の増加・大豆輸入量の増加も懸念され、中国政府の厳しい政策運営が予想される。 はじめに中国政府は、「国家食糧安全中長期計画綱要(2008−2020年)」において、2020年段階で耕地面積は18億ム(12,000万ヘクタール)以上を維持し、穀物作付面積は12.6億ム(8,400万ヘクタール)以上、食糧(注1)自給率を95%以上に安定させ、2010年では食糧総合生産能力を5億トン以上、2020年では5.4億トン以上を目標としている。また、稲作、小麦は完全自給、トウモロコシは基本的に自給を確保するとしている。 さらに中国農業部は、「全国種植業発展第十二次五カ年計画(规划)(2011-2015年)」において、食糧自給率95%以上を確保しつつ、穀物作付面積16億ム(10,667万ヘクタール)以上、穀物生産能力5.4億トン以上に安定させ、水稲、小麦、トウモロコシの三大穀物の100%自給を図り、需給がひっ迫しているうるち米では1.5億ム(1000万ヘクタール)、生産量7,800万トン以上の確保を図るとしている。
このように、中国政府は世界的な食糧需給の変動を背景に、国内自給の確保を図る政策を打ち出しているが、三大穀物のうちトウモロコシにおいては自給がひっ迫しており、2010年の輸入量は1,573.3万トン、輸出量12.7万トン(商務部公表)と大幅な輸入超過となった。 この要因には、干ばつなどの天候不順による2009/10年産の減産があるが、でん粉などの工業消費の急増および畜産物の消費拡大に伴う飼料消費の増加が大きいと考えられている。 本稿では、世界のトウモロコシの需給がひっ迫し国際価格が高騰する中、中国の輸入急増による国際市場への影響も懸念されるトウモロコシ需給動向を中国政府の政策や2011年9月に実施した中国現地調査を踏まえ分析し、今後の中国における需給動向を考察する。 1 生産動向トウモロコシの作付面積は、食糧買付・販売制度の改革以降、1990年半ばから1999年までの保護価格政策を背景に増加傾向であったが、WTO加入に向けた2000年から2003年の自由化政策により減少・低迷期に転換し、2004年以降の農家直接補助などの生産補助政策期以降には再び増加傾向となった(注2)。しかし、トウモロコシの価格動向を見ると、2003/04年度(2003年9月以降)には、作付面積および生産量の増加傾向にもかかわらずトウモロコシ価格の上昇傾向が強くなり、2008/09年度は豊作により一時価格は下落したものの、2009/10年度は干ばつなどによる減産により急激な価格上昇となり2010/11年度も上昇傾向で推移している。
このような価格上昇を受け、2011/12年度の作付面積は、国家資本委員会が直接管理する中央企業である中储粮总公司傘下の中华粮网の予測によれば、8年連続の増加となる3363万ヘクタールが見込まれ、生産量1億8000万トンと予測されるが一方で、消費量も増加することが見込まれることから輸入量は77万トンと予測されている。トウモロコシの需給は、タイトな状況が継続するものと見込まれる。 2 需給動向中华粮网によるトウモロコシの需給動向では、作付面積が安定した増加傾向となっている一方で、生産量の平均増加率は単位収量が停滞している(図2参照)ことから、2006/07年〜2010/11年度は2001/02年度〜2005/06年度に比べ低下した。また、消費量の平均増加率は、2006/07年〜2010/11年度は2001/02年度〜2005/06年度に比べ上昇している。消費量の平均増加率が生産量の平均増加率を上回ったため、消費量に対する在庫量の割合は、2011年8月現在で約27%と大幅に減少すると推計されている。 このような作付面積の拡大傾向にもかかわらず価格上昇が継続し需給がひっ迫した主因は、工業や飼料向けの消費量の著しい増加と考えられる。
3 消費動向 下記の表は、中华粮网による2010年4月現在のトウモロコシ消費量の推計である。人口増加に伴い直接消費は穏やかな増加傾向を示しているが、飼料消費は、畜産物の生産増加を背景に増加している。また、工業消費も後述する2007年の加工業におけるトウモロコシ消費抑制政策により2008/09年度以降の消費量の増加は緩やかになっているものの、でん粉やアルコール需要の増加を背景に増加傾向を示している。
(1)飼料用トウモロコシの消費動向 飼料用トウモロコシ消費は、所得向上による食生活の洋風化の進展を背景に増加傾向が継続している。主要畜産物の生産動向を見ると、年末飼養頭数は、乳牛では2008年のメラミン問題などによる影響から増加率は大幅に減少しているが、豚、家禽においては堅調な増加が継続している。また、生産量では、豚肉、家禽肉、卵の生産量の増加率は拡大している。消費量の多い豚肉においては、2007年豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)のまん延により肥育豚が減少し減産したものの急速な回復を見せている。
2011年9月2日に公表された中国農業部「全国畜牧業発展第12次5カ年計画(2011〜2015)」によると、2010年の飼料用トウモロコシ消費量は1億1000万トンを超えたとされており、飼料消費の増加はトウモロコシ需給ひっ迫の最大の要因となっている。 この様な畜産物の生産拡大を背景に、トウモロコシを含む配合飼料(注3)の生産量は、2007年の9,318.9万トンから2009年の11,534.5万トンと増加しており、特に豚肉、鶏肉向け配合飼料の増加が著しい。 2009年の配合飼料の生産量は、飼料生産量の77.9%を占め、2007年から2009年における平均増加率は11.3%と大きな増加率を示している。配合飼料を用途別にみると、肉用鶏用が4104万トン(35.6%)と最大で、次いで豚用が3363万トン(29.2%)、採卵鶏用が2065万トン(17.9%)と養鶏と養豚を合わせて80%以上を占める。牛用となる反芻類用は383万トンと3.3%を占めるに過ぎない。また、飼料生産量の平均増加率は、豚用が18.1%、肉用鶏が12.0%、採卵鶏用が6.5%となっており、養豚と養鶏向け生産の増加が著しい。これに対し反芻類は4.6%の増加にとどまっている。 これは、肉牛の消費量が豚肉と鶏肉に比べて少ないこと、国内での肉用牛生産が未発達であること、乳用牛において配合飼料の給与が搾乳牛のみに限定されている場合があることなどが考えられる。 なお、環境対策として草地保全を図るため放牧が禁止されていることも配合飼料消費拡大の大きな要因となっていると推測される。
(2)でん粉用のトウモロコシ消費動向 でん粉用などの工業用トウモロコシの消費は、2000/01年度頃は1000万トンであったとされているが、2011年9月23日新华社によれば、2010/11年度においては6000〜7000万トンがでん粉やアルコール用の原料とされている。中国でん粉工業協会によれば、中国のでん粉の生産は、2009/10年度においては95.7%がトウモロコシ由来であり、生産量は1725.52万トンである。これを2007年9月に公表され、トウモロコシ加工業の急速な発展による需給ひっ迫の抑制を目的とした「トウモロコシ高度加工業健全発展に関する指導意見の通知」に示されたでん粉歩留まり率68%で原料換算すると、工業消費の66.8%を占める2537.5万トンがでん粉生産に投入されていることになる。 (3)エタノール用のトウモロコシ消費動向 エタノール生産は、穀物在庫の増加を背景に食用に適さない陳化糧を原料として推進されていたが、トウモロコシの需給ひっ迫を受け、政策として2006年以降5生産地域(うち1地域はキャッサバ原料)で生産されている。食糧と競合のないことを前提に、生産場所、消費(27都市)、補助金でエタノール生産をコントロールするものとなっている。このため、エタノール用のトウモロコシ消費量は政策により制限されている。 4 中国政府の需給安定政策トウモロコシ需要は、2006年以降において加工業や畜産業の発展により急速に増加し、その需給はひっ迫することとなった。このため、中央政府は、エタノールやでん粉関連産業の発展抑制政策を打ち出し、食料安全保障を優先する政策を講じている。 (1)エタノール生産抑制への政策転換 中国政府は、穀物生産の拡大による過剰在庫対策および加工企業の発展を図るため、トウモロコシなどの余剰穀物のうち貯蔵による劣化で食用に適さなくなった穀物(陳化糧)によるエタノール生産政策の促進を図っていたが、2006年下半期になると、加工業の発展や畜産業の発展によりトウモロコシの飼料および工業用の需要が拡大し、トウモロコシ在庫の減少が顕著となった。中国政府は、安定した在庫量を確保する必要があったため加工業の発展スピードを抑制する政策に転換を図る「生物燃料強化に関する、エタノールプロジェクトの構築・管理及び産業の健全な発展促進の通知」(2006年12月)を公表し、一転してエタノール生産促進政策から抑制政策に180度方針転換した。政府方針により、現在のエタノール生産は、黒龍江省、吉林省、河南省、安徽省、広西自治区(キャッサバ原料)の5地域に限定され、エタノール工場建設の制限政策により生産能力は1000万トン(トウモロコシ原料換算3300万トン)に抑制されているとされる。 しかし、近年の需給のトウモロコシひっ迫によりトウモロコシの陳化糧が解消されたと報告され、新穀を原料としたエタノールが生産されているという報告もある。 このことは、エタノール生産がトウモロコシの需給に大きな影響を与えると危惧されるとの見方がある一方で、上記の生産能力はエタノール生産指定企業工場の全設備をエタノール生産に振り向けた数値であり実際の生産能力はその1/6程度で、エタノール生産に仕向けられるトウモロコシは総消費量の4%を超えない量にすぎず、エタノール生産がトウモロコシ需給に与える影響はわずかとする見方もある。 国務院の推計(注4)によると、2006年におけるエタノール生産量は85万トン、そのトウモロコシ消費量は272万トンとされており、総消費量1億3400万トンの2.0%であった。2006年以降の生産抑制政策を考慮すれば、現在のエタノール生産に仕向けられるトウモロコシの量が総消費量の4%未満という見方は妥当であろう。 それでは、今後のエタノール生産に対する政策であるが、現在の生産地域の制限などのエタノール生産抑制の政策を継続し、エタノール生産におけるトウモロコシ消費を抑制することとなるものと考えられる。エタノール原料は非食糧とする方針の中、新穀が原料とされる状況が報告される状況において、さらなる抑制に踏み切れない背景には、4地域の工場の他、エタノール生産に合わせた専用の設備、27都市へのE10の供給、配送車の改造を政策により強制的に実施した経緯があり、生産を停止すれば投資が無駄になること、生産を停止した場合、将来需給が緩和した時、すぐにはエタノール生産の再開ができないこと、エタノール用トウモロコシの消費量は全消費量の4%を超えない量に過ぎないこと、エネルギーの開発(第2世代(セルロース)、第三世代(藻)、第4世代)には、エタノール企業を利用する必要があることなどがある。 (2)トウモロコシ加工産業の抑制 翌2007年9月には、「トウモロコシ高度加工業健全発展に関する指導意見の通知(注4)」により、加工用トウモロコシの消費抑制政策が打ち出された。 当該通知によれば、国内の肉・卵・牛乳の消費の現状とトレンドから推計される2010年の飼料用トウモロコシの需要量は1.01億トンに達し、第11次5カ年計画の期間の年平均増加率は4.7%と予測されている。中国の畜産の生産構造は、豚が55%、肉用鶏と採卵鶏が38%、反芻類と水産類が7%占め、将来の飼料需要は主として養豚と養鶏において増加するものと予測されている。また、飼料生産業の商品付加価値は、でん粉やアルコール生産などのトウモロコシ加工工業より低いため、原料確保においてトウモロコシ加工業がトウモロコシ購入価格において優位性をもつため、いかにして飼料産業におけるトウモロコシ原料を確保するかが、国家食料安全保障のうえで重大な課題とした。このため、国家食糧安全保障及び資源利用効率向上を前提とし、トウモロコシ高度加工の無秩序な開発を制御して加工用トウモロコシの総需要量を抑制し、トウモロコシ需要において飼料加工業を優先することを保障し、トウモロコシ加工工業の健全な発展を図るとした。 具体的には、でん粉やアルコールなどの加工業用の需要規模をトウモロコシ総消費量の26%以内に抑制するとともに、トウモロコシ加工業の開発状況に基づいて、第11次5カ年計画の期間においては、すでに登録しているがまだ着工の予定のない建設プロジェクトは建設を停止し、原則的に新規トウモロコシ加工プロジェクトの審査・許可を行わず、現有企業の拡張建設プロジェクトに対する審査・許可を強化し、厳格に生産能力の無秩序な拡大を抑制し、生産性の低いプロジェクト建設は回避するというものであった。現在も工業消費の抑制政策が継続されている。 5 今後のトウモロコシ需給動向以上のように中国政府は、拡大するトウモロコシ需要に対して、でん粉やエタノールなどの高度加工企業の生産抑制政策により加工業におけるトウモロコシの消費抑制を図る一方で、畜産物消費および飼料消費の拡大に対応するものとなっている。 (1)作付面積動向 トウモロコシの生産量を左右する最大の要因は、耕地面積の制約である。中国国土資源部の資料によると、米や麦などの食糧生産が不足基調から過剰基調に転じたこと、環境保護政策である退耕還林政策(注5)の実施、建設占用(農地転用)、食糧作物から経済作物への転換等の構造調整を通じて1996年の13,004万ヘクタールから2006年には12,178万ヘクタールにまで減少した。このため、2007年には退耕還林政策を一時停止し、農地転用の規制強化により前年並みの12,174万ヘクタールとなり、2008年は12,716万ヘクタールと、ほぼ横ばいで推移し、耕地面積の減少に歯止めがかかった。 2009年以降は、データは公表されていないことから直近の状況は不明であるが、2009年は建設占用(農地転用)が再び急増していることから、最初に述べた農業部が目標とする耕地面積の維持は難しい状況に直面していると推察される。
このような状況においては、他作物からの転換が主な品目の作付面積の変動要因となるものと考えられる。トウモロコシおよび競合作物である大豆の収益について、両品目の作付が多い黒龍江省および内蒙古自治区で比較すると、両品目の収益差は拡大しており、大豆からトウモロコシへの転換が進んでいる状況となっている。現地調査においても、同様の指摘がなされた。今後も大豆に比べ収益が高いトウモロコシへの転換が進み、トウモロコシの作付面積は増加するものと考えられるが、大豆の生産量の不足を補うため、大豆の輸入量の増加は避けられず、さらなる大豆の自給率の低下は避けられない状況といえるであろう。 (2)単位収量 2011年度においては、かんがい設備の整備が農業政策の最重要課題として進められており、干ばつなどの気象変動に対する作柄変動の改善による単位収量の向上が見込まれるであろう。また、現在、輸入トウモロコシについては、港湾から直接加工工場に搬入されることから、GMの非GMへの混入は避けられることからGMの輸入は問題とされていないが、国内生産については、GMと非GMの分別が不可能であるためGMの国内生産は許可されていない。しかし、中国政府は需要増加を背景にGMの利用を検討しており、1系統の承認がなされた模様である。現在、GMの安全性などについて検討が行われているが、今後、GMの国内生産が許可されれば、単位収量の向上が見込まれるであろう。
(3)主要畜産物の消費動向 トウモロコシを原料とする飼料の生産は、畜産物の生産拡大を背景に拡大傾向にある。しかし、近年の主要畜産物の消費動向を、都市部の一人当たり購入数量、農村部の一人当たりの消費量で見ると、ほぼ横ばいで推移している。しかし、中国の消費統計は外食等の消費量が含まれていないなど、実態を反映していないことが指摘されている。そこで、都市住民の一人当たり消費支出額を見ると、外食支出の大幅な増加が見られ、また、ファーストフード(チェーン形態)の店舗数、販売金額も大幅な拡大が見られる。畜産物の消費拡大は、ファーストフード等における外食産業における消費拡大によるところが大きいと推測される。
近年の一人当たりの畜産物の消費の増加率の鈍化により、飼料穀物の消費量の安定化の予測もあるが、外食産業における消費動向を考慮すれば、畜産物の生産およびトウモロコシの飼料用消費量は増加すると予測される。
(4)今後のトウモロコシ需給動向 今後、中国政府は、総消費量に対する加工業消費量の割合を目標である26%以内に抑制し、飼料消費の拡大に対しては、わら、酒かす、食品加工副産物の飼料化などの非穀物資源の利用拡大、DDGSなどタンパク資源利用など飼料利用の多様化を図りつつ(2011年9月19日中国農業部「飼料工業“十二次五カ年”発展計画」)、基本的には自給体制を維持する方向である。 しかし、牛乳・乳製品や肉類の生産が拡大し、草地保護政策が実施される中、飼料消費は今後も拡大すると見込まれ、加工用需要の抑制、DDGSなどの非食料飼料の利用拡大、水利施設の整備による生産拡大、立ち遅れている低温流通システムの整備による12%におよぶとされる肉類の流通ロスの低減などの政策が展開されるが、耕地面積の減少、水資源不足などが懸念される中、大豆からトウモロコシへの転換の増加・大豆輸入量の増加も懸念され、中国政府のトウモロコシ、大豆における需給調整政策は厳しい運営が予想される。 現在、自由な貿易が許されているでん粉などのトウモロコシ加工製品の輸出も需給コントロールの対象とすることも今後検討されることとなろう。 注1:中国における食糧は、コメ、小麦、トウモロコシ、大豆などの豆類、ばれいしょなどの薯類である。
注2:永江弘康「中国の野菜生産流通」(社)日本施設園芸協会 注3:配合飼料 配合飼料は、添加剤、プレミックス、タンパク質飼料、カルシウム、リン及び食塩等の調合により作られる濃縮飼料に、トウモロコシ、コーリャン、大麦、小麦、ふすま、米ぬか、かんしょ粉、ばれいしょ粉、動植物油などのエネルギー飼料を加えたもので、単胃家畜に給与する全価配合飼料(全价配合饲料)、さらに大量に粗飼料が加えられ反芻家畜に給与される濃厚混合飼料(精料混合料)である。なお、添加剤混合飼料は、栄養性、非栄養性の飼料添加剤に担体または希釈剤を加えたもの。(互动百科http://www.hudong.com/より) 注4:「トウモロコシ高度加工業健全発展に関する指導意見の通知」の概要 1)協調発展の維持。 第11次5カ年計画の期間、飼料トウモロコシ量の増加率約4.7%を堅持する。高度加工トウモロコシ量の増加を制御し、基本的安定を堅持する。 2)加工業用需要の抑制。 トウモロコシ加工業用の需要規模をトウモロコシ消費総量の26%以内に抑制する。 3)地域配置の更なる合理化。 東北、華北、黄海・淮海のトウモロコシ主要生産区に重点をおいて、トウモロコシ生産基地と加工業基地の建設を強化する。 2010年までに、東北三省と内モンゴルのトウモロコシ移出総量(輸出を含まない)が1,700万トンを下回らない、移出総量が現地トウモロコシ生産量の30%を下回らないよう極力努める。 4)産業構造の不断の合理化。 企業の大規模化、グループ化を促進して、資源を更に優良企業に集中して、基幹企業の国際競争力を強化する。 5)基本的な安全、優良品質、高効率トウモロコシ高度加工技術支援と監視・管理のシステムを整備し、持続的発展能力を強化する。 6)トウモロコシ利用効率を大幅に高め、副産物を総合的に利用し産業連関を拡張する。 2010年までに、加工部門の製品原料の利用率を97%以上まで引き上げ、トウモロコシ消費量の割合を現在より8%以上削減する。 7)資源消耗を漸次低下させ、汚染物の基準を達成する。 部門生産額のエネルギー消耗を20%削減し、部門工業増加額分の水使用量を30%削減し、トウモロコシ加工副産物と工業固体廃棄物の総合利用率を95%以上引き上げ、主要汚染物排出総量を15%削減する。 8)第11次5カ年計画の期間、食品工業、飼料製造業の開発目標によって、ここ4年間の農業生産量の増加見込みを考慮し、業界への参入、生産規模、技術レベル、資源利用と節約、環境保護の要求、循環経済などから、トウモロコシ加工業の開発に対して、業界の参入の基準を厳格化する。 具体的には、現在のトウモロコシ加工業の開発状況に基づいて、第11次5カ年計画の時期は、すでに登録しているがまだ着工の予定のない建設プロジェクトは建設を停止する。原則的に、新規トウモロコシ加工プロジェクトの審査・許可を行わない。現有企業の拡張建設プロジェクトに対する審査・許可を強化し、厳格に生産能力の盲目的拡大を制御し、レベルの低いプロジェクト建設は回避する、としている。 9)2006年トウモロコシ原料高度加工の主要商品とトウモロコシ消費量
自然環境の悪化を背景に、1998年の大洪水を契機に始められた「過度な開墾、干拓地を計画的に林、草地、湖に戻す」政策(中国農業部農村経済研究中心 刘光明 国際合作所長「中国における生態環境と調和した農業発展の模索について」)。 退耕還林政策は、1999年の国務院の政策措置により、四川、陝西、甘粛の3省で試験実施され、2002年4月に《国务院关于进一步完善退耕还林政策措施的若干意见》が発布され、退耕還林政策は25の省(区、市)と新疆建設兵団において全面的に展開されることとなり、同年12月、国務院から《退耕还林条例》が発布されるに至り、現在も退耕還林政策は党中央、国務院の生態環境改善の重要政策となっている。農家へ食糧及び生活費補助の直接補助により、過度な開墾、干拓地を計画的に林、草地、湖に戻し、農家は食糧及び生活費補助の直接補助を受けて休耕や他作物への転換などを図ってきた。 しかし、2003年の天候不順等による作柄不良から食糧需給が再びタイトとなり、2004年以降、生態退耕(退耕還林)と農業構造調整による減少を抑制する政策に転換し、国務院は2007年8月9日《退耕還林政策の整備に係る通知》を発布し、「第11次5カ年計画」における耕地18億ム(1.2億ha)以上を確保するため、当初の「第11次5カ年計画」における退耕還林2,000万ム(133.3万ヘクタール)のうち、2006年にすでに実施した退耕還林面積400万ム(26.6万ヘクタール)を除く1,600万ム(106.7万ヘクタール)を当分の間実施しないことを決定した。この結果、2007年、2008年の耕地面積はほぼ2006年並みにとどまった。 |
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