需給動向 海外

◆豪 州◆

2011/12年度の初期乳価、各社とも引き上げ


◇絵でみる需給動向◇


4月までの生乳生産量は前年度並み

 デイリー・オーストラリア(DA)によると、2010/11年度(7月〜6月)の4月までの生乳生産量は、前年同期比0.8%増の783万キロリットルと前年並みとなった。月ごとにみても、シーズン開始当初から一貫して前年並みで推移しており、年度全体でも干ばつに伴う乳牛のとう汰の影響から、低調な生産であった前年度と同水準になるとみられる。DAは、生乳生産が回復しない理由として、乳牛頭数が前年度のとう汰による減少から回復していないためとしている。

図10 月別生乳生産量の推移
資料:DA

2011/12年度の生乳生産量は、飼養環境が改善するも微増の見込み

 2011/12年度は、多くの酪農地域において、かんがい用水使用可能量の増加による飼養環境の向上や乳価の引き上げが期待できるとみられる。

 農業融資を主力とする金融機関ラボバンクが、4月中旬に実施した農家経営調査「Rural confidence survey」においては、短期的な経営見通しについて、悪化すると回答した酪農家が前回調査比4ポイント減の14%であった一方、同水準または改善されるとした酪農家は、同5ポイント増の84%となった。しかしながら生乳生産量は、DAによると、近年の干ばつ、多雨、洪水などの影響もあることからわずかな増加にとどまり、前年度比2.2%増の930万キロリットルと見込まれる。

2011/12年度の初期乳価は上昇

 2011/12年度の初期乳価(乳固形分ベース)については、国際乳製品価格の上昇を受け、引き上げられるとみられる。DAは、5月11日に公表した「Dairy Situation and Outlook 2011」おいて、前年を7%ほど上回る、1キログラム当たり4.60〜4.90豪ドル(423〜450円:1ドル=92円)を見込んでいる。

 また、ベガチーズ社およびタツラミルク社は、いずれも前年度を2.5%上回る同4.82豪ドル(443円)、フォンテラ社の豪州(TAS、VIC州)向けも、過去3番目の高値である同4.65豪ドル(428円)と、各社とも軒並み前年を上回る乳価を提示する見込みである。しかしながらDAは、年度平均となると、世界経済の先行き不透明さや、豪ドル高などの懸念から、同5.10〜5.50豪ドル(469〜506円)と例年並みを見込んでいる。


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