需給動向 海外

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豚枝肉卸売価格は4カ月連続で上昇するも、5月に入り軟化


◇絵でみる需給動向◇


5月の豚枝肉卸売価格、前月比1.7%高

 欧州委員会によると、EUにおける5月の豚枝肉卸売価格は前月比1.7%高の100キログラム当たり157.09ユーロ(約18,500円、1ユーロ=117.77円)となった。昨年末に発生したダイオキシン汚染飼料混入問題の影響を受け、1月の価格は同135.3ユーロ(約15,934円)にまで下落したが、2月以降4カ月連続で上昇した。英国の農業・園芸開発委員会(AHDB)によると、価格回復の要因は、ダイオキシン問題を受け、2月1日から同月22日まで欧州委員会の民間在庫補助注により市場から一定期間豚肉が隔離されたこと、例年、豚肉価格は春先から夏季の需要期に向けて上昇する傾向にあり、さらに、2011年春は好天に恵まれ、バーベキューなどの需要が喚起されたこと、また、冷蔵・冷凍豚肉ともに域外輸出が好調であったことが挙げられる。

注:域内の豚肉市場が低迷した場合、豚肉を一定期間(3〜5カ月間)保管する者に対し保管に要する経費を交付する制度。

図3 EUにおける豚枝肉卸売価格の推移
資料:欧州委員会

韓国向け輸出が大幅増加

 AHDBによると、大規模な口蹄疫の発生に伴う供給不足により輸入増加が見込まれていた韓国向け輸出については、2011年第1四半期(1〜3月)において前年同期比50.4%増の35,500トンと著しく増加した。なかでもスペイン(6,600トン、前年同期比61.0%増)、オーストリア(4,300トン、同30.3%増)、オランダ(4,300トン、同38.7%増)からの輸出量が増加した。韓国はEUにとって4番目の豚肉輸出先であり、同国向け輸出の増加はEUの豚肉相場上昇の一因と考えられる。なお、韓国は2月1日から12月末までの時限的措置として冷凍豚肉11万トン、および冷蔵豚肉2万トンの輸入無税枠を設定している。

5月に入り、相場は軟調に推移

 一方、回復基調にあったEUの豚枝肉卸売価格は、5月に入り軟化している(図4)。5月の週間価格をみると、1週目は100キログラム当たり159.40ユーロ(約18,773円)であったが、5週目には同153.48ユーロ(約18,075円)と1週目に比べ3.7%下落した。AHDBは、2月の民間在庫補助により隔離された在庫の一部が市場に出回り始めたことが下落の要因とみている。残り13万トンについても数カ月以内に放出されると見込まれ、一時的に需給が緩むとの観測が、今後数カ月間相場を下押しする可能性もある。夏場の需要期を控えた豚肉相場が、どのように展開していくのか注目される。

図4 EUにおける週間豚枝肉卸売価格の推移(5月)
資料:欧州委員会

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