需給動向 海外

◆豪 州◆

2010年の牛肉輸出量はほぼ前年並み


◇絵でみる需給動向◇


2010年の牛肉輸出量、北米向けが1996年以降最低水準

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、2010年の牛肉輸出量は、1年を通して高値で推移した豪ドルの影響により、前年比0.5%減の92万2807トンと前年をわずかに下回った。

 国別にみると、日本向けは、前年並みの35万6211トンとなった。このうち、フローズンはファストフード業界からの強い需要を反映し、同7%増の20万675トンと史上2番目の輸出量となった。一方、チルドは同8%減、過去5年平均比では18%減となった。これは、チルドグレインフェッド牛肉が同9%減と前年をかなり下回ったためであり、ユーザーであるスーパーマーケットおよび高級レストランからの引き合いが弱かったとみている。なお、総輸出量に占める割合は4割程度であり、依然として最大の輸出先であった。

表1 牛肉輸出量の推移
資料:MLA

 米国向けは、同26%減の18万5035トンと、1996年以降最低となった。この要因としては、米国国内の景気の低迷、高値で推移した豪ドル、加工用牛肉分野での他国との競合や豪州における生産量が前年を下回ったことが挙げられる。

 韓国向けは、同8%増の12万4641トンと、前年をかなり上回った。2010年初頭の予測では、米国産牛肉との競合などから減少するとしていたものの、韓国国内の牛肉生産が低調であったことから、見込みを上回る需要があり、豪州、米国産牛肉ともに増加することとなった。

 そのほかの国として、東南アジア向けは、同3%増の8万9775トンとなった。このうち、フィリピンが同13%増、マレーシアが46%増、シンガポールが同2%増、タイが同15%増と、増加が顕著であった。一方、インドネシア向けは、同国の食糧自給率向上を目標とした政策の影響などにより、同7%減の4万8436トンと減少した。

と畜頭数は牛群の保留傾向から減少

 一方、豪州農業資源経済科学局(ABARES)の1月10日付け公表によると、2010年(1〜10月)の牛肉生産量は、前年同期比0.3%減の178万トンとわずかに減少した。これは、豪州東部の気象条件が良好であったことを背景に、牛群が保留される傾向であったことによるとしている。このため、飼養頭数は増加した。

 と畜頭数についても、牛群保留の影響から、同3%減とやや減少した。州別にみると、各州ともに減少基調であった中、西オーストラリア(SA)州については、同9%増、過去5年平均比では15%増となった。これは、同州の気候が平均して乾燥し、早期出荷の傾向が強かったためとみられる。


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