需給動向 海外

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イタリア、天候不順で生産落ち込む


◇絵でみる需給動向◇


 ZMB(ドイツ乳製品市場価格情報センター)によると、2011年1月〜8月の生乳生産量は、前年同期比2.2%増の9449万トンであった。主要国であるドイツ(同2.5%増)、フランス(同5.4%増)、イギリス(同2.6%増)などは前年と比べて増加したものの、イタリア(同1.5%減)、デンマーク(同1.3%減)などは減少した。フランスやドイツは夏が、冷涼であったため、生乳生産が増加した。

 一方、イタリアは、夏の猛暑と降雨不足により乾燥した状態が続き、牧草の生育不良に影響したことから生乳生産が落ち込んだ。

 9月以降、好調だったフランス、ドイツ、アイルランド、イギリスの生乳生産量は、例年並みに戻るとしているが、長期的には、旺盛な域内外の需要を背景に、飼料価格の高騰などの課題はあるものの、生乳生産量は増加するものと予測している。

表6 EUにおける対前年比生乳生産量
資料:8月は暫定値である。 
注:ZMB
図7 EUにおける対前年生乳生産増減量
資料:8月は暫定値である。 
注:ZMB
図8 EUにおける生乳価格の推移
ココにキャプション

生乳価格は引き続き高水準で推移

 オランダの生産者団体であるLTOによると、EUにおける生乳生産量は増加しているものの、生乳価格は4月以降、前年を上回る水準で推移している。7月と8月の生乳価格は、100キログラムあたり35.58ユーロ(約3,771円:1ユーロ=106円)、35.89ユーロ(約3,804円)であった。

バター価格も引き続き高水準で推移

 EUにおけるバターの卸売価格は、2011年当初より上昇し、100キログラムあたり7月は402ユーロ(約42,612円)、8月は402ユーロ(約42,612円)と高水準で推移した。

図9 バターの卸売価格の推移
資料:ZMB 
注:オランダのバターを指標とした。
    9月の数値は暫定値である

 バターの国際価格が低迷しているが、EU産バターの価格は記録的に高水準で推移している。これは、EU産のバターが高品質であること、域内需要が強いためである。

 欧州では例年、生乳生産は夏以降減少傾向にあるが、バターの在庫数量は政府・民間を合わせて約85千トン確保されている。今後クリスマスシーズンを控えて需要は拡大するものの、その需要に見合ったバターの必要量は確保されていることから、急激な価格上昇はないものと見込まれる。

 脱脂粉乳の卸売価格は、100キログラムあたり7月は236ユーロ(約25,016円)、8月は226ユーロ(約23,956円)と下落したものの、9月は230ユーロ(約24,380円)とわずかに上昇した。
2011年上半期の輸出量は大きく伸び、前年の輸出数量を上回っていることから、2011年の脱脂粉乳の輸出量は増加が見込まれる。輸出好調の要因は、EU産脱脂粉乳の域外からの需要が強いことと、ユーロ安により国際競争力が強まっているためである。

 2011年下半期は、EUの生乳生産のピークが過ぎたことに加え、域内における需要が高いため、輸出量は限定的であると見込まれる。

図10 乳製品の在庫量の推移
資料:農畜産業振興機構調べ 
注:9月は暫定数値である。
    在庫量は政府在庫量と民間在庫量の合計である。
図11 脱脂粉乳の卸売価格の推移
資料:ZMB 
注:オランダの食用脱脂粉乳を指標とした。
    9月の数値は暫定値である。
図12 EUの牛乳製品輸出量(2011年1月〜9月)
資料:欧州委員会 
注:2011年9月は暫定値である。

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