需給動向 海外

◆米 国◆

輸出に支えられ豚肉生産は増加傾向、
11四半期ぶりに分娩頭数が前年を上回る見込み


◇絵でみる需給動向◇


豚肉価格は上昇傾向、好調な輸出が要因

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2011年1〜7月の豚肉輸出量(枝肉重量ベース)は、前年同期比15.6%増の128万7千トンとなった。特に、口蹄疫発生により豚飼養頭数が減少している韓国向けと、供給不足などにより豚肉価格が高騰している中国向け輸出量が、それぞれ前年同期比129.5%増、509.0%増となり全体の輸出増をけん引している。1〜7月の豚肉生産量に占める輸出の割合も22.3%となり、前年の19.5%を大きく上回る結果となっている。

 輸出増により米国内への供給がタイトとなるなか、豚肉価格および肥育豚価格は前年を上回って推移している。2011年9月の豚肉卸売価格(カットアウトバリュー、推測値)は前年同月を5.7%上回る100ポンド当たり95.8ドル(キログラム当たり164円:1ドル=78円)となり、肥育豚価格(赤身率51〜52%、推測値)は同8.4%上回る100ポンド当たり65.8ドル(同113円)となった。また、豚肉の小売価格(ベーコン、ハムなどを含む小売価格から算出)も同様に高騰しており、8月は1ポンド当たり351.2セント(100g当たり60円)と前年同期を8.7%上回る過去最高値を記録している。

表2 国別豚肉輸出量の推移(1〜7月)
(単位:トン、枝肉換算)
資料:USDA/ERS

好調な価格を反映して豚肉生産は増加傾向

 豚肉価格が好調なことから、トウモロコシなど飼料価格が高水準であるにもかかわらず、豚肉生産は増加傾向で推移している。コーンベルトを襲った熱波などにより、7月の生産量は前年を下回ったものの、その後は回復し、2011年1〜8月の豚肉生産量(枝肉重量ベース)は前年同期比1.3%増の663万1千トンとなっている。

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が9月28日に公表した「Quarterly Hogs and Pigs」によると、本年9月1日現在の豚総飼養頭数は前年を1.0%上回る6659万9千頭となった。内訳としては、繁殖豚が昨年9月1日時点よりも3万6千頭多い前年比0.6%増の580万6千頭、肥育豚も昨年同時期より59万2千頭多い前年比1.0%増の6079万3千頭と、それぞれ3期連続で前年を上回る数値となった。

 分娩頭数は前年を下回って推移していたが、2011年12月〜2012年2月までの分娩頭数は11四半期ぶりに前年を上回ることが見込まれており、生産意欲が高まっていることが伺える。ただし、トウモロコシなどの飼料穀物価格は一時期よりも下がっているとはいえ依然として高水準にあることから、大幅な増産は難しいものと推測される。9月12日時点のUSDAの予測では、2012年の豚肉生産量は前年比1.5%増の1041万6千トンと見込まれているが、今回の分娩頭数見込み数値を踏まえて、今後の豚肉生産量にどの程度の上方修正が加えられるのか注目されるところである。

表3 豚飼養頭数の推移
(単位:千頭)
資料:USDA/NASS「Quartely Hogs and Pigs」 
注:各年9月1日時点

 


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