需給動向 海外

◆豪 州◆

2011年の牛肉生産量見込みは222万トンに上方修正


◇絵でみる需給動向◇


牛群再構築が進み、飼養頭数は増加

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は8月、2011年の牛肉需給予測を公表した。今回の予測は今年2月公表の期中改定版である。

 これによると、今年6月末時点における牛飼養頭数は、良好な気象条件や今年前半の肉牛価格高を反映し、前回予測(2743万頭)からわずかながら上方修正され、前年比3.6%増の2750万頭と推定される。

 飼養頭数の増加は、2010年初頭からの気象条件の改善によって全体のと畜頭数が減少したこと、また、雌牛のと畜頭数が2009/10年度(7〜6月)前年度比9%減、2010/11年度同4%減となり、雌牛が保留されたことによって牛群の再構築が進んだことによる。

と畜増、記録的な枝肉重量を受けて生産量は増加

 2011年の成牛のと畜頭数は、今年前半の大雨やクイーンズランド(QLD)州の洪水の影響を受け、前回予測(768万頭)からわずかに下方修正されて、前年比2%増の763万頭と予測される。1〜5月の成牛のと畜頭数は前年同期比2%減となり、このことが下方修正につながった。しかしながら、2010年後半の大雨によって豪州東部および西部の出荷が減少した前年と比較すると、わずかながらも増加の予測であることにはかわりはない。

 成牛の出荷体重が増加したことから、今年1〜5月の1頭当たり平均枝肉重量は、前年同期比10キログラム増の286キログラムと記録的な数字となった。この結果、通年で、前回予測(279キログラム)から上方修正されて、前年比2.2%増の285キログラムと予測される。

 平均枝肉重量の増加を反映し、2011年の牛肉生産量は前回予測(219万トン)から上方修正されて、前年比4.4%増の222万トン(子牛肉含む。枝肉重量ベース)と予測される。

増産によって輸出量、消費量ともに増加の予測

 2011年の輸出量は、前回予測から据え置きの前年比3.5%増の96万トン(船積重量ベース)と予測される。豪ドルが米ドルに対し高値で推移していることから、日本など米国産牛肉と競合する輸出先国においては豪州産牛肉の需要が低迷しているものの、韓国、中国、ロシアや中東などへの輸出が堅調であったことから、今年1〜6月の輸出量は前年同期比3.3%増の45万トンとなった。

 しかし、豪ドル高によって、食肉処理業者の利益は減少している。7月から8月にかけては、日本市場での低迷も受けてQLD州およびNSW州の食肉処理場数カ所が操業を一時停止するなど、厳しい状況となっている。

 2011年の牛肉および子牛肉の国内消費量の予測は、前年比4.4%増の79万トンと前回予測(76万トン)から上方修正された。

 これは、前述した牛肉の上方修正分が、引き合いが低迷する輸出市場よりも、主に国内に仕向けられるだろうとの見方によるものである。牛肉の国内小売価格が下落傾向で推移していることも今回の上方修正の要因として挙げられる。2011年4〜6月における牛肉小売価格は、大手スーパーマーケット間における価格競争などから、キログラム当たり15.58豪ドル(1,366円、1豪ドル=87.65円)と、前年同期比3.1%安となった。

表2 豪州の肉牛および牛肉の需給動向
(単位:千頭、千トン、%)
資料:MLA
注1:2011年は予測値
注2:飼養頭数は、6月30日時点のもの

元のページに戻る