需給動向 海外

◆カナダ◆

肉牛飼養頭数、7年ぶりに前年を上回る


2012年7月の牛飼養頭数は前年同月をわずかに下回るも、肉用後継雌牛は同3.5%増

 カナダ統計局(Statistics Canada)が8月21日に公表した牛の飼養動向調査結果によると、2012年7月1日現在における総飼養頭数は、前年同月をわずかに下回る1352万頭となった。内訳を見ると、酪農経営では196万3000頭(前年同月比0.3%減)、肉用牛経営では1155万頭7000頭(同0.04%減)となった。

 肉牛飼養頭数(繁殖に供する牛、肉用後継雌牛除く)をみると、7年ぶりに前年を上回り395万8000頭となった。特に肉用後継雌牛については、前年同月比3.5%増の66万2000頭となり、2年連続で前年同月を上回る水準で推移している。2005年をピークに減少局面に入ったキャトルサイクルは、2013年には増加に転じる可能性が見えてきた。

図6 カナダの牛飼養頭数の推移
資料:Statistics Canada
注1:各年7月1日現在の飼養頭数
注2:肉牛飼養頭数は、繁殖に供する牛および肉用後継雌牛除く

2012年の生体牛輸出は前年を上回る見込み

 カナダの生体牛輸出はほとんどが米国向けである。輸出頭数は、米ドルに対するカナダドル高と、米国の2008年農業法の成立を受けて2008年9月末から義務付けられた米国の原産国表示(Country of Origin Labeling : COOL)の影響を受け、大きく減少したままであるものの、2012年は前年を上回る見込みとなっている。

 2012年の生体牛輸出は、前期と後期で異なる傾向が見られる。肥育素牛輸出頭数を見ると、1〜6月は前年同期を93%上回ったのに対し、7〜10月は37%の増加にとどまった。一方、と場直行牛を見ると、1〜6月は前年同期を3.8%下回ったのに対し、7〜10月は同15.3%の増加に転じた。これは、6月下旬から発生した米国の干ばつの影響によるものと考えられる。米国の牛飼養頭数(2012年7月1日現在、9780万頭)は、米国農務省全国農業統計局による牛飼養動向調査「Cattle」においてデータが確認できる1973年以降最低となっている。このような状況にあって、2012年前期は、米国でトウモロコシをはじめとする飼料穀物が十分に生産されるとの見込みにより、米国のフィードロットからの肥育素牛需要が高まったことから、肥育素牛輸出頭数が前年を大幅に上回ったものと考えられる。一方、後期は、干ばつの被害が深刻化し、トウモロコシ価格が急騰したことから、肥育素牛需要が弱まり、と場直行牛の需要が高まったものと考えられる。

 一方のカナダは、天候に恵まれ、牧草の生育状況も良く、トウモロコシの他、飼料として利用されている大麦や小麦も十分な生産量であることから、飼料コストに関しては米国に対して優位性がある。この状況は2013年も続くと見込まれ、肥育素牛はカナダ国内に留まる傾向が続くと予想される。

 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)が9月1日に公表したGain Reportでも、カナダ産の米国向けと場直行牛輸出が増加するとされており、FASは同レポートにおいて、2012年の肥育素牛頭数は前年比6.3%減、と場直行牛頭数は同1%増と予想している。

図7 生体牛輸出頭数の推移
資料:Statistics Canada
 注:乳用牛は、その他に含む

2012年の牛肉輸出量は前年比7.3%減の見込み

 FASによると、2012年の牛肉生産量は前年比8.1%減の106万トンと見込まれ、生産量の減少により、牛肉輸出量は前年比7.3%減、輸入量は同1.1%増となると予想される。

 カナダは牛肉生産量の3〜4割を輸出する牛肉輸出国であり、輸出量の7〜8割は米国向けとなっている。カナダ農業・農産食料省(AAFC)によると、2012年1〜7月の輸出量は前年同期比6.7%減となり、シェアの76%を占める米国向けは同8.2%減、9%を占めるメキシコ向けは同4.9%減となった一方、7%を占める香港・マカオ向けは同19.1%増となった。

図8 カナダの牛肉生産量、輸出入量の推移
資料:USDA/FAS (psd online ; 2012年11月)
 注:2012年はUSDAによる見込み数量

 


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