需給動向 国内


◆牛 肉◆

平成24年度上半期の需給、生産・輸入量は増加、出回り量は前年並み

◇絵でみる需給動向◇


 平成24年度上半期の牛肉需給(部分肉ベース)は、牛肉生産量が前年同期比5.4%増の17万6032トン、輸入量が同4.3%増の27万5690トン、推定出回り量が同0.1%増の42万891トンとなった(表1)。
表1 牛肉需給表
資料:生産量は農林水産省「食肉流通統計」、輸入量は財務省「貿易統計」、
    在庫量は農畜産業振興機構調べ。
 注:数量は部分肉ベース。輸入量は煮沸肉並びにくず肉のうちほほ肉及び頭肉のみ含む。

生産量、いずれの品種も増加

 農林水産省「食肉流通統計」によると、和牛の生産量は、平成17年度以降の増産傾向に加え、東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う出荷制限などにより一時的に低調となった昨年からの反動もあり、前年同期比6.5%増の8万276トンとかなりの程度増加した。乳牛についても、同3.9%増の5万6578トンとやや増加した。交雑種は、平成20年の生乳需給ひっ迫時から昨年度まで酪農家の後継牛確保の動きにより出生頭数が減少していたことに加え、出荷制限によりと畜頭数が減少した昨年からの反動もあり、同6.2%増の3万6741トンとかなりの程度増加した。


輸入量、米国産は増加、豪州産は減少

 財務省「貿易統計」によると、生鮮・冷蔵牛肉輸入量は前年同期比4.2%増の11万3305トン、冷凍牛肉は同4.5%増の16万2150トンと、いずれもやや増加した。

 輸入国別では、豪州産が同1.7%減の16万4608トンとなる一方で、米国産は平成18年度の輸入再開以降順調に増加しており、同14.5%増の7万6273トンとかなり大きく増加した。この要因としては、米国産牛肉に対する量販店、外食店などからの需要に加え、米ドル安・豪ドル高という為替状況も大きく影響したと考えられる。

9月末の推定期末在庫量、10万トン超の高水準

 9月末の推定期末在庫量(機構調べ)は、国産品が前年同月比12.9%増の1万3811トン、輸入品が同14.7%増の9万6372トン、合計では前年同月をかなり大きく上回る11万183トン(同14.5%増)となった。牛肉在庫は、例年、6月頃から積み増しが進み、8月頃にピークを迎えた後、年末年始の最需要期後に減少するというサイクルにあるが、本年度上半期は在庫水準が高く、8月から約10年ぶりに10万トンを超える高水準となっている。

推定出回り量、国産品は増加、輸入品は減少

 この結果、推定出回り量(機構調べ)は、国産品が前年同期比4.7%増の17万3206トンと、前年をやや上回った。これは、昨年、牛肉から基準値を超える放射性セシウムが検出され、その風評被害により低迷した国産牛肉の消費が回復したことが大きい。対照的に、昨年好調であった輸入品は同3.0%減の24万7684トンと減少に転じた。

牛枝肉卸売価格、セシウム風評被害以前の水準に回復

  牛枝肉卸売価格は、昨年7月以降、放射性セシウムの検出による風評被害により低迷を続けたが、今年度に入り回復している。しかしながら、牛肉生産量および輸入量は増加し、在庫量が高水準であることに加え、牛肉消費も消費者の経済性志向を受け低迷していることから、例年を上回るには至っていない。

  平成24年度上半期の同価格の推移(農林水産省「食肉流通統計」)を見ると、東京市場では和去勢A−4が1,600円前後で推移し、交雑去勢B−3も1,000円を下回ることなく推移した。昨年、最も下落幅が大きかった乳去勢B−2も、600円前後にまで回復するに至っている。なお、大阪市場においては、東京市場と同様の傾向となっているものの、放射性セシウム検出の風評被害が少なかったことから、東京市場を上回って推移した。

図1 牛枝肉卸売価格(東京市場及び大阪市場)の推移
資料:農林水産省「食肉流通統計」 
  注:平成23年7月の乳去勢B−2(東京市場)は取引実績なし。

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