需給動向 海外

◆米 国◆

4月のフィードロット導入頭数はかなり大きく減少


◇絵でみる需給動向◇


4月の導入頭数、前年同月比14.8%減

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が5月18日に公表した「Cattle on Feed」によると、フィードロット(収容能力1,000頭以上規模)の飼養頭数(2012年5月1日現在)は前年同月比0.6%減の1111万頭となり、23カ月ぶりに前年を下回る水準となった。また、4月のフィードロット導入頭数は同14.8%減の152万1000頭となり、2カ月連続で前年同月を下回った。

 4月の導入頭数の減少率は過去4年間で最も大きい値となった。これは、干ばつの影響で牧草の生育が悪化したことなどにより導入頭数が例年に比べて増加したことが背景にある。当初より4月の導入頭数の減少は予想されていたものの、トウモロコシ需給が緩和すると見込まれていることから、肥育経営の導入意欲が高まり、減少率は11%台後半にとどまると予想されていた。しかしながら、実際の導入頭数は、過去5年平均の導入頭数をかなりの程度下回る結果となった。

表1 フィードロット飼養頭数、導入頭数および出荷頭数
資料:USDA/NASS 「Cattle on Feed」
図1 フィードロット導入頭数の推移
資料:USDA/NASS「Cattle on Feed」

フィードロット導入体重は増加

 4月のフィードロット導入体重は前年同月を約3キログラム上回る、1頭当たり325キログラムとなった。これは過去3年同月の導入体重の中では最重量となっている。導入体重は、2011年前半は例年を下回る水準で推移していたが、2011年後半から現在にかけて、おおむね例年並みもしくは例年を上回る水準で推移している。

 導入体重が増加傾向で推移する理由としては、2012年の暖冬により飼料の食い込みが好調であったことに加えて、大豆が高値で推移しているため、フィードロット経営が体重の重い子牛を選んで導入していたことなどが考えられる。

図2 フィードロット導入体重の推移
資料:USDA/NASS「Cattle on Feed」
 注:導入体重は、ALICにて体重別導入頭数を加重平均して算出

フィードロット導入頭数は減少傾向で推移

 フィードロット経営は、飼料穀物の価格、肥育素牛価格および肥育牛価格の動向を判断材料として肥育素牛を導入している。トウモロコシ価格は昨年と比べると弱含みで推移すると見込まれる。しかし、南米産大豆は降雨不足によって大幅な減産が予測されているため、需給のひっ迫が見込まれ今後も高値での取引が予想されている。このため、フィードロット経営を圧迫させる懸念がある。また、2012年の肥育素牛価格は前年同期を大幅に上回る水準で推移していることや、素牛の供給がひっ迫していることも考慮すると、フィードロット導入頭数は、今後も減少傾向で推移すると見込まれる。


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