需給動向 海外

◆米 国◆

豚肉価格の低下により、2012年の輸出は好調を維持する見込み


◇絵でみる需給動向◇


低下傾向にある豚肉および肥育豚価格

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS、以下「USDA」という)が5月16日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、2012年1月〜4月の豚肉生産量は前年同期比2.5%増の349万2千トンとなった。これは、1頭当たり枝肉重量が前年をやや上回ったこと(同0.3%増)に加え、前年から続く高水準の価格を背景に、と畜頭数が同2.3%増(3693万頭)と増加傾向にあることによる。

 豚肉生産量の増加により、2012年に入り価格は弱含む傾向を示している。豚肉卸売価格は2月以降、肥育豚価格も卸売価格の低下を受け、3月以降前年を下回る水準で推移している。一方、小売価格は低下傾向にはあるものの、前年水準を上回る水準で推移している。

 USDAは、2012年の豚肉生産量を前年比2.3%増の1056万1千トンと予測している。増産傾向が続くことにより、今後も価格が弱含むことが見込まれるものの、牛肉および鶏肉の小売価格が生産量の減少により高値で推移していることから、豚肉の小売価格も現行水準から大幅に落ち込むことはないものと考えられる。また、卸売価格および肥育豚価格についても低下するものの、例年を上回る水準が維持されるものと見込まれる。

図5 価格の上昇率の推移(前年同月比)
資料:USDA/ERS「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」

3月の輸出量は17カ月ぶりに前年同月を下回るも2012年の輸出量は
前年を上回る見込み

 2012年3月の豚肉輸出量は17カ月ぶりに前年同月を0.8%下回る(22万1千トン)も、第1四半期の輸出量は65万5千トンと前年同期を15.8%上回った。

 第1四半期の輸出量を国別に見ると、前年同期比14.5%減であった韓国向けを除き、同112.3%増の中国(香港含む)をはじめ主要輸出国はいずれも増加した。

 韓国向けは、無税枠追加措置を受けて増加するも、口蹄疫発生直後の前年同期と比較すると大幅減となった。なお、韓国では豚飼養頭数が口蹄疫発生前の水準まで回復しつつあることなどから、今後は輸出量の減少が予想される。

 中国向けは、中国国内小売価格の高騰等により前年後半より輸出量が急増した。しかし、2012年に入り国内価格が急落したことから、前年と比較すると輸出量は多いものの、今後は減少傾向で推移する可能性がある。

 しかしながら、今後、米国産豚肉価格の低下により国際競争力が強まることや世界経済の回復が見込まれることなどから、USDAは、2012年全体の輸出量を過去最高となった前年を上回る240万6千トンと見込んでいる。

図6 国別米国産豚肉の輸出量の推移
資料:USDA/ERS
表3 米国産豚肉輸出量(1月〜3月)
資料:USDA/ERS

米国フードサービス業界、動物福祉への対応

 上位ファストフード店やスーパーマーケットをはじめとするフードサービス業界では、動物福祉の観点から、母豚の自由な行動が制限される妊娠豚房(妊娠中の母豚を分娩までの間飼養する個体管理用の単房。)の使用を反対する動きが広がっており、州によっては州法により同房の使用に罰則を設ける動きもみられている。

 フードサービス業界について一例を挙げると、米国マクドナルド社は妊娠豚房を用いない豚の購入を徐々に進め、2017年までに妊娠豚房の段階的な排除を確約する生産者のみから購入すること、2022年までに妊娠豚房を用いない豚へ全て切替えることを決定した。

 米国動物愛護協会(HSUS)をはじめとする動物愛護団体は、動物福祉の観点から妊娠豚の自由な行動が制限される妊娠豚房の使用に反対している一方、生産者の団体である全米豚肉生産者協議会(NPPC)は妊娠豚を適切に管理する観点から妊娠豚房使用の必要性を主張し、最近のフードサービス業界の動きに反対する声明を出している。

 この様な動きがどこまで広がりを見せるかは明らかではないが、飼養方法の変更は設備投資を伴うものとなるため、生産現場への影響が懸念されるとともに、今後の生産動向を注視する必要がある。


元のページに戻る