需給動向 国内

◆鶏 肉◆

国内生産回復にある中、鳥インフルエンザには十分な防疫対策を


◇絵でみる需給動向◇


 財務省「貿易統計」によると、23年12月の鶏肉輸入量は、およそ4万6千トン(前年同月比37.5%増)と前年より大幅に増加した。増加要因としては、23年前半の鳥インフルエンザ発生や東日本大震災により主産地での供給が停滞するのではとの不安感によるものである。鶏肉調製品についても、外食産業を中心とした需要増により増加し、12月の輸入量は3万9千トン(同10.8%増)であり、このうち、中国からの輸入量は、2万1千トン同24.6%増)となった。

 一方、国内の鶏肉生産量(機構推計)は、鳥インフルエンザや震災による影響からほぼ回復したことにより、前年を上回る13万9千トン(同4.2%増)となった。23年10月に農林水産省で開催された「全国ブロイラー需給連絡会議」でも、今後の生産動向は回復・増加すると公表されている。

 このようななか、推定期末在庫量(機構調べ)は、14万7千トン(同35.4%増)となり、うち国産品は3万4千トン(同42.5%増)、輸入品11万4千トン(同33.5%増)と急激に在庫が積み増されている。特に需要の低いむね肉の在庫増が深刻とも言われている。

 なお、需給動向全体に大きな影響を与える疾病発生については、この季節、鳥インフルエンザに十分注意を払う必要がある。OIE報告によると香港行政府で12月19日、ユリカモメの死体から、鶏に強い病原性を示す鳥インフルエンザウイルスH5N1亜型を確認したと発表している。国内では飼養衛生管理の徹底や早期発見に万全を期すために、飼養衛生管理基準に則った十分な防疫対策を各生産者段階でとる必要がある。

図4 鶏肉・鶏肉調製品輸入量,生産量及び在庫量の推移
資料:財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ、農林水産省「食鳥流通統計」

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