需給動向 海外

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欧州、乳製品は2012年も引き続き期待大


◇絵でみる需給動向◇


欧州乳製品輸出入・販売業者連合(Eucolait)の定例会議が開催

 2012年2月1日にブリュッセルで開催された欧州乳製品輸出入・販売業者連合(Eucolait)の会議において、EUにおける酪農業界の動向について報告があった。

 2011年の酪農・乳業の主な動向として、①生乳出荷量は、EU全体で前年比2.2%増の139百万トンに達した、②消費は、2009年の大幅な減少以後、順調な回復をみせている、③輸出は、脱脂粉乳およびホエイパウダーで大幅な増加、④輸出市場は、3年連続で拡大、⑤在庫量は、生乳出荷が増加したのにもかかわらず減少、⑥生乳価格は、前年比15%増で2008年レベルまで回復した、と報告された。域内の消費量の増加は、新規加盟国(EU12)の消費増加および人口増加などによるとのこと。また、脱脂粉乳およびホエイパウダーの輸出拡大が今後のEUにおける酪農の発展の鍵となることなどが述べられた。

図7 バター輸出量
資料:ZMB
図8 バター輸入量
資料:ZMB

2012年のバター生産量は増産傾向

 2011年のバターの需給について、生産は微減し、輸出も減少した一方で輸入は増加し、域内における需要が伸びたことが報告された。また、2011年の状況および2012年の予測について、各国からコメントがあった。英国は「2011年はバター需給のひっ迫感があった。2012年もチーズおよび脱脂粉乳の増産が予想され、バターは引き続きひっ迫するであろう。」、オランダは「2011年は、上半期に生乳生産に伸び悩んだ。2012年は、オランダの経済は比較的良好なので、消費量は現状維持の見込み。また生産も微増と予測。」、ドイツは「2011年の生産量は前年比5.5%の増加であった。国内消費も価格が高水準であったものの例年並みであった。2012年の生産量は、民間在庫量と米国の生産に影響を受けて増減が決まるであろう。」、フランスは「2011年の生乳出荷量は増加したものの、EUの増加率の平均より小さかった。2011年のバター価格は、秋に需給がひっ迫すると予想されたため、高水準で推移したと考えられる。域外輸出は、価格がフォンテラ(ニュージーランド)が基準となっており、価格差が大きく、価格優位性はない。2012年は増産の見込み。」、アイルランドは「2011年の生産量は増加した。現在、バター価格は下降傾向であるが、在庫量が低水準なので、底を打つと考えている。2012年は、域外輸出が減少すると見込まれることから、生産は微減の見込みである。」との報告であった。

図9 EU/米国/オセアニアのバター相場
資料:欧州委員会

2020年までに生乳生産量は6.1%増

 各国の状況報告と併せて欧州委員会で作成されたEU全体の2020年までの予測が報告された。これによると、生乳生産量は、乳牛の飼養頭数は減少するものの、1頭当たりの乳量の増加により生乳生産量は、EU全体で2010年と比較して2020年は6.1%の増加と予測している。特にEU12では飼養頭数が2010年と比較して14.5%減と大幅に減少する見込みであるが、1頭当たりの乳量が22.9%増となり結果的に生乳生産量は4.0%増となる見込みである。これは、EU12における乳業の合理化や技術の高度化が進むと予測されているためである。また、生乳の出荷割合が更に高くなり、生産者の自家消費および直接販売は減少すると予測している。

表4 EUにおける生乳生産予測(2010-2020年)
資料:欧州委員会

2020年までにバター生産量は1.4%増

 バターの生産量は、2020年は2010年と比較して1.4%の増加と予測している。バターの生産は、新規加盟国の消費量の増加および人口増加により、2013年までEU全体の消費量が増加する。その後、一人当たりの消費量の減少によりEU全体の消費量は減少に転ずると予測している。また、在庫量は、2011年は前年比76%と低い水準であったが、その後も低水準が継続すると見込まれており、2011年と同様に域内需要向けが大半を占め、輸出量も減少すると予測している。

表5 EUにおけるバター市場予測(2010-2020年)
(単位:千t)
資料:欧州委員会

 また、同会議において、ZMB(ドイツ乳製品市場価格情報センター)は、今後のEUの動向を決める要素として、以下のものを掲げ、今後の見通しが難しいことを指摘した。

資料:ZMB

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