需給動向 国内

◆鶏 肉◆

平成24年9月の鶏肉卸売価格、引き続き低迷


◇絵でみる需給動向◇


卸売価格は回復がみられず

 農林水産省「食鳥市況情報」によると、平成24年9月の鶏肉卸売価格(もも肉1キログラム価格、むね肉1キログラム価格の単純合計:東京)は、2キログラム当たり700円(前年同月比19.4%安)と下落が続いている。例年、9月頃から価格が回復するところであるが、今年度は、9月4、5週目が同700円を下回るなど、価格上昇の兆しはみられていない。価格の低迷が続いている背景には、在庫量や調製品輸入量が高水準であること(後述)があると思われる。

図5 鶏肉の卸売価格の推移(月別)
資料:農林水産省「食鳥市況情報」
  注:価格はもも肉、むね肉の単純合計
 また、長期的な要因として、今年度は、鶏肉の価格サイクルの中でも比較的低水準な年であることが挙げられる。卸売価格を年度別にみると、過去12年間は3年周期で低水準となっており、今年度はこの低水準な年といえる。
図6 鶏肉の卸売価格の推移(年度別)
資料:農林水産省「食鳥市況情報」
  注:価格はもも肉、むね肉の単純合計

在庫量は前年を上回る水準が続く

 平成24年8月の推定期末在庫量(機構推計)は、16万705トン(前年同月比11.5%増)と、依然として高水準が続いている。国産品は、生産量が11カ月連続で前年を上回っていることなどから、4万1207トン(同45.6%増)と増加した。前年を上回る生産が続いている背景には、卸売価格が記録的な低水準である中、農家の経営は厳しく、生産量を維持することで収益を確保する動きがあるとみられる。一方、輸入品は、11万9498トン(同3.2%増)と増加したものの、8月の輸入量が前年を2割弱下回ったことなどから、増加幅が小さくなってきている。

 なお、8月の調製品輸入量は、4万535トン(同1.4%増)と、外食産業の需要を反映し、6カ月連続の増加となった。調製品の主要供給国であるタイは、生産が好調であり、低価格な製品を希望する日本の外食産業からの需要に応えるだけの余力はあるとみられる。

年明けからの価格上昇に期待

 今後の見通しについて、在庫量が高水準である中、生産量も前年を上回っていることから、価格は前年を下回って推移するとみられる。一方で、関係者によると、年明けからは主要供給国であるブラジルでは飼料価格の高騰を背景に現地価格が上昇し、日本への輸出量が減少するとの見方もあり、冬場に向けて、価格がどの程度回復するか注目される。
図7 鶏肉・鶏肉調製品輸入量、生産量および在庫量の推移
資料:財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ、農林水産省「食鳥流通統計」

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