需給動向 海外

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豚枝肉価格の高騰は長期化の見通し


◇絵でみる需給動向◇

2012年9月の豚枝肉卸売価格、前年同月比22.7%高

 欧州委員会によると、EUにおける9月の豚枝肉卸売価格は、100キログラム当たり190.05 ユーロ(19,385円、1ユーロ=102円)と前月から5.8%上昇、前年同月比で22.7%高となった。9月において枝肉価格が上昇している今年の動きは、同時期に下落の傾向を見せる例年と対照的な傾向になっている。週平均価格でみると、9月3日から9月28日の4週間で4%以上の上昇を見せており、デンマークとフランスにおいて特に顕著な上昇が見られた。価格高騰の要因はEU全体の豚肉供給量の減少が原因とされており、と畜頭数、枝肉重量ともに減少が見られる。

 なお、欧州委員会公表の統計によれば、豚用配合飼料価格の上昇傾向は継続しており、EUにおける8月の豚用配合飼料価格は1トン当たり321.28ユーロ(32,771円)と前月から4.2%上昇し、前年同月比12.6%高の上昇となり、最高値を更新している。

 飼料原料別にみると、7月以降小麦とトウモロコシの価格上昇が顕著であり、小麦が同26.8%増、トウモロコシが同26.7%増とそれぞれ上昇している。

図3 豚枝肉卸売価格の推移
資料:欧州委員会
図4 EUにおける豚用飼料価格の推移
資料:欧州委員会


ひっ迫した豚肉供給量により、枝肉価格の高騰は継続する見込み

 欧州委員会が公表した短期予測によれば、2012年の豚肉生産量は昨年より0.4%減少し、2013年はさらに3.2%減少すると見込んでいる。2013年における減少の要因として、アニマルウェルフェアの規制強化による繁殖母豚の減少と飼料価格の高騰をあげている。需給の引き締まりを受け、2012年内の豚肉価格は高値で安定するものと予測している。

 なお、輸出については、2012年はユーロ安の追い風を受けロシア、中国、日本向けが堅調に推移しており、2011年より1%増加すると見込んでいる。一方、2013年については生産量の減少により、15%と大幅な減少を見込んでいる。

 また、オランダの金融機関であるラボバンクは、飼料価格と子豚価格の上昇による養豚経営の収益性の悪化とアニマルウェルフェアの規制強化により小規模な繁殖経営が廃業すると見込んでおり、2014年までに豚肉生産量が2%減少するとみている。これらの結果、豚肉価格の高騰は2014年まで継続すると予測している。


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