需給動向 海外

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生乳生産は天候不順で減産の兆し


◇絵でみる需給動向◇

 オランダ農業園芸組織連合会(LTO)によると、域内主要乳業メーカー17社の7月の平均生乳価格は、前月比1.3%高の100キログラム当たり32.52ユーロ(3,252円:1ユーロ=100円)となり、先月から2カ月連続で上昇した。この上昇要因は、夏季は長期休暇の影響で荷動きが悪くなるが、脱脂粉乳などの需要が高まったことを挙げている。

 ドイツ乳製品市場価格情報センター(ZMB)は、2012年の生乳生産について、天候の影響による減産懸念を指摘している。英国およびアイルランドは、春先から夏にかけての降水量が平年を大幅に上回り、低温であったことから、牧草の生育、乾草調達に支障が生じた影響により、7月の生乳生産は減少した。他方、欧州南部地域では高温と干ばつの影響により生乳生産が減少した。ZMBは、2012年に入って5月までの乳価も下落したことにより、主要な生産国であるフランスやドイツでの生乳出荷が停滞した結果、7月の生乳生産量は前年を下回る水準になることを見込んでいる。

図14 EUにおける生乳価格の推移
資料:LTO
  注:域内主要乳業17社の平均値

2012年のバター民間在庫量は13万トン越えの見込み

 ZMBによると、7月のバター価格(100キログラム当たり)は前月比3.8%高の270ユーロ(2万7000円)となり、先月の260ユーロ(2万6000円)から引き続き上昇した。

 EUは、民間在庫費用を一部補助しており、補助対象期間は3月から8月末までとなっている。今年は、生乳の供給過剰からバターの生産が増加したことを要因に年初からバター価格が下落した。過去3年で最も高い在庫水準となっている。今年は、8月15日で民間在庫補助期間が打ち切られ、補助対象となったバターは13万3050トンとなった。在庫量が最も多かったのはオランダ(4万1699トン)、次いでアイルランド(2万4241トン)、ドイツ(2万2283トン)であった。なお、在庫の放出は、8月16日以降開始される。
図15 バター卸売価格の推移
資料:ZMB
図16 EUにおけるバター民間在庫量

資料:EUCOLAIT


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