需給動向 海外

◆カナダ◆

豚飼養頭数、減少局面にいったん歯止めがかかるも、
2013年は減少の見込み


繁殖母豚頭数は、2012年1月以降前年を上回る

 カナダ統計局が8月21日に公表した「Hog Statistics」によると、2012年7月1日現在の繁殖母豚飼養頭数は前年同月比1.1%増の119万3千頭となった。繁殖母豚飼養頭数は、2005年1月をピークに減少局面にあったが、2012年1月1日以降、7月1日時点まで前年を上回って推移している。また、育種改良や飼養管理技術の向上などにより繁殖母豚一腹当たり産子数は増加傾向にあることから、同年7月1日の豚飼養頭数(繁殖母豚等含む)は前年同月を1.5%上回る1287万頭となった。

2013年の豚飼養頭数は、減少の見込み

 繁殖母豚飼養頭数が増加していることから、今後も豚飼養頭数の増加が続くものと期待が持たれていた。しかしながら、現在、カナダの養豚生産者は増産に当たり厳しい局面におかれている。(1)米国が干ばつに見舞われ、米国産トウモロコシなど穀物価格の高騰につられるかたちで、大麦をはじめカナダ産穀物価格も高騰している、(2)カナダは米国へ肥育素豚を供給しているが、飼料コスト高を背景に米国の肥育生産者の肥育素豚需要が減退している―ことから、今後、収益性が低下すると見られている。このような状況から、2012年後半の種付け見込み母豚頭数は前年同期を下回るものとみられ、第3四半期では前年同期比5.4%減、第4四半期では同2.4%減と落ち込むものと予想される。このことから、現時点で見ると豚飼養頭数の減少局面にいったん歯止めがかかったものの、2013年には再度飼養頭数の減少が始まるものと予想される。

図4 豚飼養頭数の推移
資料:Statistics Canada 「Hog Statistics」
注1:繁殖母豚には6カ月齢以上の初妊豚を含む
注2:各年、1は1月1日、2は4月1日、3は7月1日、4は10月1日現在
図5 繁殖母豚一腹当たりの産子数の推移
資料:Statistics Canada 「Hog Statistics」

WTOは米国のCOOLを協定違反と裁定

  カナダは米国に肥育素豚を供給するなど、両国の養豚業は、特に国境周辺地域で国境を越えた分業生産が行われている。2011年をみると、カナダで生産された豚(2709万頭)のうちの約2割に当たる582万頭が生体輸出され、そのほとんどが米国向けとなっている。カナダから米国への生体輸出頭数は、2008年農業法の成立を受けて、2008年9月末から義務付けられた米国の原産国表示(Country of Origin Labeling : COOL)を機に大きく減少している。2012年第2四半期の生体輸出は155万頭となり、前年同期を8.3%上回るも、COOL実施前の水準を大きく下回っている。米国のCOOLは、牛肉、豚肉などについて、と畜解体などの工程における区分処理などの新たな作業を発生させることから、米国の食肉パッカーがカナダ産の生体牛・豚の購入を抑えたため、カナダから米国への輸出の激減につながった。

 カナダ政府は、生体牛・豚の輸出が不当に妨げられたとして米国のCOOLについてWTOに提訴していたところだが、WTO上級パネルは6月29日、この主張を認めることとし、米国はCOOLの見直しを迫られることとなった。米国のCOOLの見直しによっては、今後、米国向けの生体輸出が増加することが見込まれる。米国からの生体需要の増加は、カナダの養豚生産者にとって増頭要因となることから、今後の米国の対応が注目される。
図6 米国への生体豚輸出頭数の推移
資料:USDA/ERS「Livestock and Meat Trade Date」


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