需給動向 海外

◆米 国◆

2012年の輸出量は牛肉生産量の低下により減少


◇絵でみる需給動向◇


2012年の輸出量は前年比12%減

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が2月14日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、2012年の牛肉輸出量は前年比11.9%減の111万3000トンとなった。世界的な米国産牛肉への需要があったものの、米国内の牛肉生産量の低下により国内供給がタイトになっていたことや、肥育牛価格が高値で推移したことが、結果的に輸出量減少の要因となった。しかしながら、生産量に占める輸出量の割合は9.5%となっており、前年に比べ1ポイント減と小幅な減少にとどまった。

 国別の輸出量は、第1位は昨年と同様カナダ向けで21万2000トン(前年比6.6%減)、次いで日本向けが20万4000トン(同1.5%減)、メキシコ向けが16万トン(同27.9%減)、韓国向けが13万8000トン(同19.7%減)となっており、日本向けの減少幅が比較的小さかった。

 輸出量全体としては減少したが、ロシア、中国(香港を含む)やチリ向けは前年より増加した。

 2013年は、干ばつによる影響の継続度合い、と畜可能な肥育牛頭数および生産者の牛群再構築への動きの3要素が輸出水準に影響を与えると見込まれている。USDA/ERSは、2013年は牛肉生産量の減少が輸出拡大の最も大きな制限要因になると見込んでおり、同年の輸出量を同0.2%減の111万1000トンと予測している。

カナダ・メキシコからの生体牛輸入は増加

 USDA/ERSによると、2012年の生体牛輸入頭数は前年比7%増の225万頭となった。国別でみると、メキシコ産が前年比3%増の146万6000頭(シェア65%)、カナダ産が同15%増の78万6000頭(シェア35%)と、2カ国とも増加となった。

 カナダは、生体重の重い肥育素牛およびと畜直行牛の輸入が増加したことが特徴である。いずれも輸入頭数は同55%増となった。これは、2012年後半から米国のトウモロコシ価格が高騰したことから、肥育日数の短縮を図ったことによるものとみられている。

 メキシコは2年連続の干ばつの影響で牛の飼養頭数が減少している。にもかかわらず米国の肥育素牛価格高騰の影響で、4年連続での生体牛輸入増となった。2013年の生体牛の輸入見通しは、カナダ、メキシコとも子牛生産頭数が減少していることから、前年を13%下回ると見込まれている。

2013年の生産量を前年比3.2%減と予測

 米国は、2年続いた干ばつにより生体牛の輸入の増加に加え、経産牛のと畜頭数の増加および草地の不足による肥育素牛のフィードロット導入時体重の減少が続いた。また、2012年の子牛生産頭数の減少は翌年の肥育素牛および肥育牛頭数の減少につながるため、USDA/ERSは、2013年の牛肉生産量を前年比3.2%減の1138万トンと見込んでいる。

 なお、この予測は2013年の天候が平年並みであるという仮定に基づいている。天候が平年並みである場合、草地の回復に加え、飼料穀物の生産量増加による飼料コストの低減でフィードロットからの肥育素牛需要が高まり、生産者は繁殖用雌牛を増やすものと見込まれる。この結果、経産牛のと畜や若齢雌牛の肥育頭数の減少が予測される。この傾向は肥育素牛頭数が増え、牛肉生産量の増加につながるまで、数年間は続くと分析されている。

日本向けは月齢緩和も急増せず

 2月1日に、これまで20カ月齢以下とされていた輸入牛肉の月齢制限が緩和され、米国から30カ月齢未満の牛肉および内臓を輸入することが可能となった。米国農務省海外農業局(USDA/FAS)が公表している週別の牛肉売買成約数量(正肉のみ)の推移をみると、2013年1月第1週以降、円安や米国における肥育牛価格の高騰により、日本向けの成約数量は減少傾向で推移していた。しかし、この減少傾向は2月第1週に底を打った後、増加傾向に転じている。売買成約数量は、出荷時期のずれなどにより直接的に輸出動向の推移となって表れるわけではないが、今後、ゴールデンウィークの需要期に向けて輸出量が増加する可能性がある。

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