需給動向 海外

◆アルゼンチン◆

2012年の乳製品輸出は全粉乳が増加


2012年の生乳生産量は前年並み

 米国農務省(USDA)によると、2012年のアルゼンチンの生乳生産量は、前年12月から1月までの夏の乾燥とそれに続く多雨の影響により、前年比3%増の1181万5000トンと7月の見通し(同8%増)を下回った。2013年は飼養頭数の増加や1頭当たりの乳量が向上されるとして、前年比4%増が見込まれている。

 一方、アルゼンチンの乳業メーカーなどで組織される団体(CIL)は、2012年の生乳生産量について、上半期は前年同期を上回ったものの、下半期は下回ったため、年間を通じた生産量は前年と同水準としている。2013年の生乳生産見通しは、上半期が前年を下回る水準で推移するものの、下半期は前年並みまたは前年を上回る水準で推移することが見込まれている。その結果、年間生産量は前年度と同水準と予測されている。

南米でブラジルに次ぐ生乳生産量

 アルゼンチンは、南米諸国の中では、ブラジルに次いで生乳生産量が多い。ブラジルが自国消費中心であるのに対し、アルゼンチンは伝統的に粉乳類、チーズを中心とした乳製品の輸出国となっている。品目別にみると、全粉乳が生産量の72.4%、脱脂粉乳の48.7%、チーズの11.7%がそれぞれ輸出に向けられている。

 同国は飼料穀物の生産量も多いため、生産コストが安く、さらに輸出に有利な為替レートが続いていることから輸出国としての潜在力が高いと言える。

2012年の輸出量は主要品目のうち全粉乳のみ増加

 アルゼンチン国家動植物衛生機構(SENASA)によると、2012年の主要乳製品の輸出状況は以下のとおりである。

粉乳類

 粉乳類の輸出量は前年比2.7%増の23万7150トンとなった。このうち全粉乳が約8割を占める。全粉乳の輸出量は、主要輸出先国であるベネズエラ向け(シェア39.3%、輸出量ベース、以下同じ)が同29.5%増と大幅に増加したことなどから、同4.9%増の18万9208トンとなった。次いでアルジェリア向け(23.0%)、ブラジル向け(15.2%)で、これら3カ国で全体の輸出量の8割近くを占める。金額では前年並みの7億378万ドル(654億5200万円:1ドル=93円)となった。

 一方、脱脂粉乳は同23.1%減の1万5518トン、金額では同25.1%減の5114万ドル(47億5600万円)となった。

チーズ

 主要輸出先国であるロシア、チリなどは増加したものの、最大の輸出先であるブラジルやメキシコ向けの減少が大きく、数量で前年比10.7%減の5万3175トン、金額でも同10.5%減の2億4219万ドル(225億2400万円)となった。

 また、チーズの種類別では、総輸出量のうちモッツァレラが45%、ゴーダが16%を占めている。
バター

 最大の輸出先国であるロシア向けは前年の水準を上回ったが、サウジアラビアやモロッコ向けなどが大幅に減少したことから、数量で前年比8.2%減の1万5687トン、金額で同27.6%減の5562万ドル(51億7300万円)となった。


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