需給動向 海外

◆チリ◆

増加が期待されるヨーグルト消費


増加が期待されるヨーグルト消費

 チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)が公表したヨーグルトに関するレポートによると、チリの主要な乳製品は粉乳、チーズ、飲用乳、ヨーグルトであり、2011年のヨーグルト生産量は前年比11.8%増であった。

 ヨーグルト生産は大きな季節変動が認められないが、夏季は主要な消費者である児童が夏休みとなるため消費が低下することから、一般的に生産量が減少する傾向にある。2011年で見ると、学校が始まる3月の生産量は2万400キロリットル、10月も2万キロリットルを超えたが、学校が長期の休みに入る1月と2月は1万6000キロリットル前後と、2割程度落ち込む。夏季は多くの人々が保養地で過ごすものの、これらの地域ではコールドチェーンの能力不足や、消費地と離れた保養地では追加的な輸送コストを要し価格が割高となり、消費が減退するものとみられる。

 チリではヨーグルト製造企業は9社で、Soprole、Colun、Nestle、Danone Chile S.A.の4社で全生産量の9割を占める(2011年実績)。

表10 牛乳・乳製品生産量の推移

資料:ODEPA
注1:ドゥルセデレチェ:牛乳を煮詰めたもの、英語名:Milk Caramel
注2:中小の乳業メーカーを含まない。
 2012年上半期のヨーグルト生産量は、生乳生産量が微減(前年同期比0.9%減)であったものの、同8.1%増の12万2000キロリットルとなった。通年では25万キロリットルを超え、過去最高を記録すると見込まれている。好調な需要によって、加工向け生乳の1割程度がヨーグルトに仕向けられる見通しである。
表11 ヨーグルト生産量などの推移

資料:ODEPA

主な輸入先はアルゼンチン

 粉乳やチーズなどと比べると、ヨーグルトは飲用乳と同様、消費期限が短いことから、国内向け消費が主体となる。また、ヨーグルトの輸送にはコールドチェーンが必要となり、輸送費がかさむことになる。

 2006年から2011年の間、注目すべき点は、2008年のヨーグルト輸入量が2006年の3倍増加し、過去最大の6,400トンとなったことである。この輸入増の要因は、大手国際乳業メーカーのダノン社が隣国アルゼンチンでヨーグルト生産を開始し、チリ市場に参入したためである。

 ただ、2009年以降は、チリ国内でも生産拠点を設けたことから、輸入量は減少している。2012年は前年の1割以下と見込まれている。
表12 ヨーグルト輸入先

資料:ODEPA
表13 ヨーグルト輸出先

資料:ODEPA
  注:英国には南米の英国領を含む。

1人当たりヨーグルト消費量は南米一

 2011年のチリにおけるヨーグルトの1人当たり消費量は13.8リットルで、5リットルにも満たなかった1995年と比較すると3倍弱に増えている。また、1人当たり消費量は南米の中では最も多く、また米国やカナダを上回っているものの、ヨーロッパ諸国の半分以下である。ODEPAでは今後のさらなる消費拡大の可能性を期待している。
図13 飲用乳およびヨーグルトの1人当たり消費量の推移
資料:ODEPA
図14 国別1人当たりヨーグルト消費量の比較
資料:Federacion Internacional Lacteo

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