需給動向 国内

◆豚 肉◆

平成24年度上半期の加工品需給、輸入が増加


◇絵でみる需給動向◇


 国内で消費される豚肉のうち、加工に仕向けられる割合は、約25%となっており、牛肉(約5%)、鶏肉(約7%)と比べ、その比率は圧倒的に高い(農林水産省調べ)。また、その原料の大部分は輸入冷凍豚肉(国内生産量の約60%に相当)であり、豚肉の輸入動向と密接に関連している。さらに、加工品(ハム・ベーコン、ソーセージ)および豚肉調製品の輸入量も、国内の加工品生産量の約40%となっており、加工品の需給に一定の影響を及ぼしている。

加工品等輸入量はかなりの程度増加

 平成24年度上半期(4〜9月)の加工品、豚肉調製品の輸入量は、ハム・ベーコンは3,149トン(前年同期比41.0%増)、ソーセージは2万6519トン(同8.3%増)、豚肉調製品は8万9302トン(同7.0%増)と、いずれも前年同期を上回った(財務省「貿易統計」、図2)。比較的高水準であった平成23年度上半期をさらに上回る結果となっている。これは、平成24年4月に豚肉輸入申告に係る審査・検査の充実が図られたことにより、4月、6月の冷凍豚肉の輸入量が20%以上前年同月を下回り、上半期計でも同2.5%減となったことから、加工品、豚肉調製品を輸入する傾向が高まったためとみられる。

図2 加工品および豚肉調製品の輸入量の推移
資料:財務省「貿易統計」

加工品国内生産量は微増

 一方、平成24年度上半期の食肉加工品生産量は、26万5040トン(前年同期比0.9%増)と、前年同期をわずかに上回った(日本ハム・ソーセージ工業協同組合調べ、図3)。内訳を見ると、ハムは7万404トン(同1.1%増)、ベーコンは4万2878トン(同1.3%増)、ソーセージは15万1759トン(同0.7%増)となっている。東日本大震災後の加工品需要の高まりから前年同期を上回った平成23年度上半期に引き続き、比較的高水準となった。このため、5月から6月にかけて、輸入豚肉の在庫が約1万トン取り崩され、加工仕向数量が前年同月を上回る数量となっている(同組合調べ)。なお、平成24年度上半期計で見ると、加工仕向数量は、国産豚肉は前年同期比0.1%増、輸入豚肉は同1.2%減となっており、今後も加工品生産量の大幅な変動は少ないものと見込まれる。
図3 食肉加工品生産量の推移
資料:日本ハム・ソーセージ工業協同組合調べ

家計消費は横ばい

 こうした中、平成24年度上半期の加工品の家計消費(全国二人以上の世帯一人当たり、以下同じ。)における購入数量は、ハムは前年同期比0.4%増、ベーコンは同1.1%増、ソーセージは同0.4%減となった(総務省「家計調査報告」、図4)。豚肉の家計消費が伸び悩み、安価な鶏肉の需要が高まる中、加工品の需要はおおむね横ばいとなっている。なお、家計消費における支出金額は、ハム、ベーコン、ソーセージいずれも前年同期を下回っており、加工品においても安価な商品に消費が移行していることが読み取れる。
図4 加工品の家計消費の推移(前年同月比)
資料:総務省「家計調査報告」
  注:全国二人以上の世帯一人当たり購入数量の前年同月比

 以上から、平成24年度上半期の加工品需給は、総じて輸入量は増加、生産量・家計消費量は微増または横ばいとなっている。当機構が毎月実施している豚肉輸入動向検討委員会によると、お歳暮需要は、一部の国産ロースハムに引き合いはあるものの、全体的には例年並みの需要が見込まれている。今後も輸入量の増加傾向が継続するか、注視したい。

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