需給動向 海外

◆中国の畜産物需給◆

鶏肉調製品、日本向け輸出が堅調


鶏肉調製品、日本・香港向けを中心に増加

 2012年の鶏肉調製品の輸出量は、前年比3.8%増の26万4081トンとなった。国別でみると、日本向けが同3.6%増の22万6652トン(シェア86.0%)、香港向けが同7.2%増の2万920トン(同7.7%)となった。

 日本向け輸出価格は、2012年夏ごろまで高水準で推移し、7月には1トン当たり4,830.6ドル(39万1279円:1ドル=81円 ※2012年の年間平均TTS)まで上昇したものの、8月以降下落に転じ、10月は同4,554.4ドル(36万8906円)と2011年9月の水準(同4582.7ドル:37万1199円)まで値下がりした。11月には年末需要により、前年同期を上回る2万4605トンと、最近2年間で最大の輸出量となった。需要増を背景に輸出価格も上昇し、4,646.7ドル(37万6383円)となった。

 日本向け輸出量は、鶏肉生産の著しい減産要因がなかったことから、ほぼ同水準で安定して推移した。

 2013年上半期の日本向け輸出は、最近急激に進む円安の水準次第では、やや減少することも見込まれる。
図16 鶏肉調製品の輸出量および日本向け輸出価格の推移(月別)
資料:GTI社「World Trade Atlas」
  注:HSコード160232

鶏肉輸入量、ブラジル産のシェアが伸びるも、総量で減少

 2012年の冷凍鶏肉(骨付き肉)の輸入量は、前年比17.0%減の3万6446トンとなった。国別でみると、ブラジル産は、同61.6%増、2010年比約11倍の3万164トンと、全体で82.8%のシェアを占めた。

 ただ、ブラジル産は7月以降減少傾向にあり、10月と12月は単月で1,000トンを割り込んでいる。一方、米国産とアルゼンチン産の落ち込みは大きく、米国産は前年比71.5%減の5,809トン、アルゼンチン産は359トンと、前年比で1割以下となった。
図17 冷凍鶏肉(骨付き肉)の輸入量および輸入価格の推移(月別)
資料:GTI社「Global Trade Atlas」
  注:HSコード02071411

小売価格は安定して推移

 2012年の鶏肉の小売価格は、1キログラム当たり18.5〜19元(278〜285円:1元=15円)の間で推移した。年間の変動幅が0.5元と比較的小さく、供給が安定していたものとみられる。
 中国国内では、飼料価格や労働賃金などの生産コストが上昇傾向にあるものの、小売価格に反映されていない。この要因の1つに、2012年春以降の豚肉価格の下落基調がある。中国政府はそれまでの豚肉高騰を受け、5月に価格安定対策を講じた。この効果により豚肉価格は下落したが、この影響が鶏肉の小売価格上昇への圧力になったものと考えられる。
図18 鶏肉の小売価格の推移(月別)
資料:中国商務部

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