需給動向 海外

◆豪州・NZ◆

オセアニアの2012/13年度生乳生産は減少の見通し、
乳製品価格は高騰


◇絵でみる需給動向◇


豪州の2月生乳生産量は前年同月比1割減

 デーリー・オーストラリア(DA)によると、豪州の2月生乳生産量は前年同月を9.2%下回る62万キロリットルとなった(図22)。特に、豪州南東部を中心とした高温乾燥気候(図23)による牧草の品質劣化や乳牛へのストレスにより、主要酪農地域であるビクトリア州が同10.7%減、タスマニア州が同11.4%減と大きく減少した。また、2012/13年度(7月〜翌6月)の2月までの累計は、675万キロリットル(前年同期比1.1%減)となった。

 DAは、2月に同年度の生産見通しを950万キロリットル(前年度比0.2%増)に下方修正したが、今後6月までは季節的要因から生産量の増加は見込めない時期となるため、この見通しをさらに下回る可能性が高まりつつある。
図22 豪州生乳生産量の推移
資料:DA
図23 2012年10月〜2013年3月までの降雨量
資料:豪州気象局
  注:白色部分が平年並み、青色部分が平年以上、赤色部分が平年以下を示す。色が濃くなるほど
    度合が強くなる。

NZも干ばつでさらに減産

 一方、ニュージーランド(NZ)では、年明けから北島を中心に厳しい干ばつとなり、3月15日までに北島全域で、3月22日には南島の一部地域でも干ばつ宣言がなされた(図25)。
 デーリーNZによると、2012/13年度(6月〜翌5月)の2月までの生乳生産量累計は1648万2000トン(前年同期比4.8%増)となり、干ばつの影響から、年度当初に通年の見通しとして掲げられていた前年度比5〜6%増を下回る水準となっている(図24)。また、3月の生乳生産量は、北島の大半の地域で前年同月から約3割減少したとしている。南島では、年度当初に天候に恵まれて好調なスタートを切ったことから、全国ベースでは3月まで依然前年同月を上回る水準での推移が見込まれているが、年度全体では前年度並みかわずかに下回る水準になると予測している。

 現地報道では、干ばつによる経産牛のと畜の増加が伝えられている。3月半ばには、週間と畜頭数が1998年に記録された最高頭数を9%上回った。NZでは経産牛のと畜の8割が乳用牛となっており、2013/14年度以降の生乳生産への影響が懸念される。

図24 NZ生乳生産量の推移
資料:デーリーNZ
図25 NZにおける干ばつ指定地域
資料:NZ第一次産業省
  注:茶色部分が2月27日に指定、オレンジ色部分が3月6日に指定、黄色部分
    が3月15日に指定、肌色部分が3月22日に指定

4月のGDTでNZ産脱脂粉乳は6,000米ドル超

 4月2日に行われたグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の乳製品電子オークション)では、脱脂粉乳の平均価格(FAS)が前回(3月19日)からさらに値を上げ、1トン当たり5,142米ドル(前回比27.0%高、前年同期比67.1%高、48万8500円:1米ドル=95円)となった(図26)。全粉乳も同5,100米ドル(前回比0.3%安、前年同期比58.0%高、48万4500円)と、高値を維持している。

 脱脂粉乳の価格を主要輸出国別にみると、米国産(デーリー・アメリカ)やEU産(Arla社)もともに上昇基調にあるが、価格差は大きく開いた。米国産とEU産はおおむね1トン当たり4,000米ドルを下回る水準である一方、NZ産(フォンテラ社)の6月取引分は同6,000米ドル(57万円)を超えている。

 オセアニアは季節柄、供給量が減少に向かう時期にある中、さらに干ばつに伴う減産も見込まれる。しかしながら、実需者はNZ産の粉乳に対し、依然として強い需要をみせており、これが、今回の価格差の拡大につながったものとみられる。
図26 GDTにおける脱脂粉乳および全粉乳価格の推移
資料:GDT

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