調査・報告  畜産の情報 2014年11月号


食肉の消費・販売動向調査の結果(26年度下半期)
〜国産豚肉の販売は、小売業者、卸売業者共に減少継続の見込み〜

畜産需給部 需給業務課



【要約】

 全国の食肉販売業者を対象として、食肉の消費・販売動向について調査を実施した結果、26年度上半期においては、第1四半期に見られた国産豚枝肉卸売相場の上昇に伴い、多くの小売業者において国産豚肉小売価格の値上げが行われ、販売量が減少したことから、小売業者、卸売業者の食肉取扱割合に大きな影響を及ぼしたことが明らかとなった。下半期の消費・販売動向については、小売業者では、景気回復に伴う高価格商品の販売増加が見込まれる一方で、根強い経済性志向に伴い、より低価格商品の販売増加も見込まれ、二極化が見られた。また、卸売業者では、総じて、より低価格商品の販売が増加する見通しとなった。

1 はじめに

 当機構では、食肉の消費・販売動向を把握するため、年に2回、小売業者や卸売業者に対し、食肉の取扱割合や販売見通しに関するアンケート調査を実施している。

 今回は、26年度下半期(10〜翌3月)の食肉、特に牛肉および豚肉の販売動向について、同年8月中〜下旬に量販店、食肉専門店(以下「専門店」という。)および卸売業者の協力を得て調査を行った。本稿では、まず次項で統計資料やトピックスを用いて26年4〜8月の消費および販売に関する情勢について整理し、第3項で本調査結果の概要について報告する。

2 26年4〜8月の消費・販売に関する情勢

 家計消費について見ると、牛肉および豚肉については、4月の消費増税(5→8%)や卸売価格の上昇の影響により、購入金額は前年度を上回ったものの、特売回数の減少などにより、購入数量の落ち込みが見られた(総務省「家計調査報告」、図1、2)。一方、鶏肉については、卸売価格の上昇の影響により、購入金額が前年度を上回っているだけでなく、販売数量についても牛肉、豚肉との価格優位性から、前年度をわずかに上回って推移している(図3)。ハム・ソーセージなどの加工品については、一部のメーカーが内容量を減らして価格を維持する実質値上げを行ったことも加わり、販売量は落ち込んだ。

図1 牛肉の家計消費の推移(前年同月比)
注1:総務省「家計調査報告」を基に、全国1人当たり家計消費数量・金額を算出した。
  2:消費税込みの金額である。
  3:贈答用等自家消費以外のものを含む。
図2 豚肉の家計消費の推移(前年同月比)
注1:総務省「家計調査報告」を基に、全国1人当たり家計消費数量・金額を算出した。
  2:消費税込みの金額である。
  3:贈答用等自家消費以外のものを含む。
図3 鶏肉の家計消費の推移(前年同月比)
注1:総務省「家計調査報告」を基に、全国1人当たり家計消費数量・金額を算出した。
  2:消費税込みの金額である。
  3:贈答用等自家消費以外のものを含む。

 続いて、外食産業の動向について見ると、5月までは堅調に推移していたものの、6月以降に「ファストフード・洋風」が前年を大きく下回ったことから外食全体を引き下げている(一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」)。しかしながら、食肉が多く消費されている業態である「ファミリーレストラン・焼き肉」では、景気回復に後押しされているものとみられ、客数および客単価ともに前年を上回り、売上高も堅調に伸びている(図4)。

 また、熊本県での高病原性鳥インフルエンザに加え、中国で鶏肉調製品偽装問題が発生した。こうしたことが消費動向に少なからず影響しファストフードを筆頭に国産志向が強まる傾向になったとみられる。

図4 外食産業の業態別売上高の推移(前年同月比)
資料:一般社団法人 日本フードサービス協会
  注:売上高の前年同月比は、税抜きで比較したものである。

3 調査結果(重量ベース)

(1)最近の食肉の取扱割合

ア 量販店・専門店

 量販店および専門店に対し、26年度上半期の食肉取扱割合の実績および26年度下半期の取扱割合見通しについて調査した(図5、図6)。

(ア)26年度上半期(実績)

 食肉取扱割合の26年度上半期の実績(図5−(2))を25年度下半期の実績(図5−(1))と比較すると、量販店では豚肉が4ポイント低下したものの40%と最も多く、牛肉、鶏肉はいずれも2ポイント上昇して30%となった。

 また、専門店では、牛肉が1ポイント上昇して42%と最も多く、鶏肉が3ポイント上昇して21%となった一方で、豚肉は4ポイント低下して37%となった(図6)。

 食肉の種類別では、量販店、専門店共に牛肉および鶏肉の取扱割合が増加した一方で、豚肉が減少する結果となった。これは国産豚枝肉相場が記録的な高値となった影響が大きかったためと推測される。

 品目別に見ると、輸入牛肉では量販店と専門店で逆の動きが見られた。量販店では取扱割合が1ポイント上昇したのに対し、専門店では1ポイント低下した。輸入牛肉は、主に米国産と豪州産だが、両国共に現地相場は上昇し続けており、企業体力のある量販店においては、その影響が緩和されたと見られる。和牛および輸入鶏肉は量販店、専門店共に変動は見られず、その他の品目では量販店、専門店共に同様の傾向が見られた。

(イ)26年度下半期(見通し)

 26年度下半期の見通し(図5−(3))については、量販店、専門店共に同年度上半期から大きな変動は見込んでおらず、明らかな傾向は見られなかった。どちらも和牛が増加し、国産豚肉が減少する見通しとなっていることが特徴的といえる。なお、今回調査した取扱割合では、季節的な変動は特に見られなかった。

図5 量販店における食肉の品目別取扱割合
図6 専門店における食肉の品目別取扱割合
注:専門店については、今回調査と前年度調査の鶏肉専門店の調査対象店舗数が異なるため、
   整合性を図るために鶏肉専門店を除いて再集計を行った。

イ 卸売業者

(ア)牛肉

 同様に卸売業者に対しても、食肉の取扱割合について調査した。牛肉取扱割合の26年度上半期の実績と25年度下半期を比較すると、25年度下半期は国産品51%、輸入品49%であったが、26年度上半期は、国産品は4ポイント低下の47%、逆に輸入品は4ポイント上昇の53%となり、26年度上半期には取扱割合が逆転し、輸入品の割合が増える結果となった(図7)。内訳を見ると、和牛が低下した一方で、輸入冷蔵品が上昇した。比較的堅調に推移していた国産牛枝肉相場を受け、その代替として、輸入冷蔵品へシフトした可能性も考えられる。

 また、26年度下半期の見通しについては、同年度上半期から大きな変化はないものの、今後も国産牛肉よりも輸入牛肉が多くのシェアを占める見通しであることが明らかとなった。

図7 卸売業者における牛肉の品目別取扱割合

(イ)豚肉

 豚肉取扱割合の26年度上半期の実績と25年度下半期の実績を比較すると、国産品は18ポイント低下して44%、輸入冷蔵品は2ポイント上昇して21%、輸入冷凍品は16ポイント上昇して35%となり、国産品が大幅に低下し、輸入品は冷凍品が大幅に上昇する結果となった(図8)。これは、同年度第1四半期の国産豚枝肉卸売相場の記録的な高値により、国産品の取扱割合が減少し、輸入品が増加したと思われる。さらに、輸入品のうち冷蔵品が、主要産地である北米の現地相場の上昇から手当てが困難となったため、比較的安価で、前年を上回る量が輸入されたEU産などの冷凍品を中心に取り扱いを増やした結果とみられる。小売業者の調査結果では、ここまで明瞭な差が見られなかったことから、小売業者より流通の川上に位置する卸売業者では、国産品および輸入品の相場状況がより直接的に影響し、取扱割合が大きく変動したものと考えられる。

 なお、26年度下半期の見通しについては、上半期から大きな変化は見られないことから、上半期の状況が継続すると見ていることがうかがえる。

図8 卸売業者における豚肉の品目別取扱割合

(2)26年度下半期の食肉販売見通し(量販店・専門店)

ア 牛肉

(ア)量販店

 量販店の品目別販売見通し(前年同期比)のうち、和牛肉については、「増加」の割合が45%、「同程度」が50%、「減少」が5%となった(図9)。「増加」の理由として「景気回復」が最も多く、「他畜種からの需要シフト」、「特売回数の増加」が続いた。次に、国産牛肉については、「増加」の割合が40%、「同程度」が45%、「減少」が15%となった。「増加」の理由として「他畜種からの需要シフト」が最も多く挙げられていた。また、輸入牛肉については「増加」の割合が26%、「同程度」が48%、「減少」が26%となった。「増加」の理由として、「他畜種からの需要シフト」、「特売回数の増加」が挙げられていた。一方で、「減少」の理由として、「仕入価格上昇分の価格転嫁」、「特売回数の減少」が多く挙げられた。

図9 26年度下半期の量販店における品目別販売見通し(前年同期比)

(イ)専門店

 専門店においては、和牛肉、国産牛肉に量販店と同様の傾向が見られた。和牛肉は「増加」が32%、「減少」が14%となった(図10)。「増加」の理由には「景気回復」、「特売回数の増加」が多く挙がった。国産牛肉では「増加」が22%、「減少」が11%となり、こちらの「増加」の理由についても「景気回復」が多かった。輸入牛肉については、「増加」が13%、「減少」が22%となり、量販店とは異なり、減少が増加を上回る見通しとなった。「減少」の理由については、「仕入価格上昇分の価格転嫁」が最も多く、次いで「消費税率の引き上げ」となった。

図10 26年度下半期の専門店における品目別販売見通し(前年同期比)

 以上から、量販店および専門店の多くが、今年度下半期における景気の回復を予想しており、比較的高額といえる和牛肉および国産牛肉の販売が増加すると見通していることがうかがえる。しかし、輸入牛肉については、豚肉など他畜種からの需要シフトが見込まれるものの、現地相場高や為替の円安傾向による仕入価格上昇分を小売価格に転嫁することにより、和牛肉および国産牛肉との価格差が縮小し、価格優位性が薄れることで、販売の減少につながると見通しているものと考えられる。

イ 豚肉

(ア)量販店

 量販店における国産豚肉の販売見通しは、「増加」が25%、「同程度」が40%、「減少」が35%となった(図9)。「減少」の理由には、「特売回数の減少」「仕入価格上昇分の価格転嫁」が多く挙げられており、多くの量販店で、下半期においても国産豚枝肉卸売相場は高値で推移すると見ているものと思われる。また、輸入豚肉については、「増加」が42%、「同程度」が42%、「減少」が16%となった。「増加」の理由としては、「特売回数の増加」が多く挙げられた。国産豚肉卸売相場の高値が継続すると見ていることから、輸入品で特売回数を増やす意向が強いものと思われる。

(イ)専門店

 専門店における販売見通しは、国産豚肉では「増加」が20%、「同程度」が62%、「減少」が18%となった(図10)。増加と減少に大きな差はないが、「増加」の理由は「景気回復」で、「減少」の理由が「仕入価格上昇分の価格転嫁」となっていることから、量販店ほど高くないものの、やはり下半期においても国産豚枝肉卸売相場が下がらないと見ていることが分かる。また、輸入豚肉では「増加」が9%、「同程度」が69%、「減少」が22%となった。「減少」の理由は「仕入価格上昇分の価格転嫁」が多く、専門店では為替の円安傾向などもあり、北米を中心とした生産国における現地相場高が足かせとなり、輸入豚肉の販売は減少すると見通しているもようである。

ウ 鶏肉

(ア)量販店

 量販店における国産鶏肉の販売見通しは、「増加」の割合が最も多い70%となり、「減少」と回答した量販店は見られなかった(図9)。「増加」の理由としては「他畜種からの需要シフト」が最も多く、次いで「消費者の経済性志向」、「特売回数の増加」が挙げられた。また、輸入鶏肉では「増加」が17%、「同程度」が66%、「減少」が17%となった。国産鶏肉に比べて「増加」の割合が低い理由としては、そもそもの取り扱いが少ないことに加え、現地相場高や為替の円安傾向などに伴う仕入価格の上昇により特売を打ちづらくなっていることによるものとみられる。

(イ)専門店

 専門店における国産鶏肉は「増加」が14%、「同程度」が83%、「減少」が3%となり、量販店の結果と比較すると増加の割合は小さいものの、国産鶏肉の販売が減少すると見通す専門店は非常に少ない結果となった(図10)。

 牛肉、豚肉、鶏肉共に相場が上昇しているなか、国産鶏肉は価格優位性があることから、下半期における販売見通しは、「増加」または「同程度」を維持するものと見通しているようである。

 全体を通して見ると、「増加」または「減少」の傾向は、量販店の方が強く出る結果となった。専門店では全品目で「同程度」の割合が最も多くなり、それぞれ過半数を超えたためであるが、専門店の場合は、量販店と比較して固定客が多く、販売計画を大きく変更しない傾向が強いことが一因と考えられる。

(3)26年度下半期の部位別販売見通し(卸売業者)

 26年度下半期の牛肉および豚肉の部位別販売見通しについて調査した。

ア 牛肉

 牛肉については、全般的に減少傾向であることが見て取れる(図11)。「減少」の理由として、「仕入価格上昇分の価格転嫁」を挙げた卸売業者が最も多かった。

 部位別に見ると、和牛は、「サーロイン」、「ヒレ」といった高価格部位や「ばら」が「減少」と回答した卸売業者の割合は4割を超えた。特に、「ヒレ」および「ばら」について「増加」と回答した企業は見られなかった。一方、比較的低価格部位である「かた」、「切り落とし」は「増加」の割合が多かった。

 国産牛では、「ヒレ」、「ばら」、「もも」が「増加」と回答した卸売業者の割合はいずれも8%と少なかった。

 輸入冷蔵品では「ヒレ」「ばら」が「増加」と回答した卸売業者は見られなかった。特に「ばら」に関しては、「減少」の割合が69%と突出していた。

 一方、輸入冷凍品は、全ての部位で「減少」が「増加」を上回ったものの、「ばら」が「増加」とする割合が他の部位に比較して多く、和牛、国産牛、輸入冷蔵品から輸入冷凍品へ需要がシフトすると見通していると考えられる。

 全ての品目において、「かた」や「切り落とし」は「増加」の割合が比較的高い見通しとなった。また、比較的低価格部位が増加するものの、高価格部位の販売は減少すると見通していることがうかがえる。

図11 26年度下半期の卸売業者における牛肉の部位別販売見通し(前年同期比)

イ 豚肉

 豚肉については、国産は大半が「同程度」、「減少」であった(図12)。国産の「減少」理由として、「頭数不足」と回答する卸売業者が最も多かった。今年度に入り、と畜頭数が前年を下回って推移していることに加え、春先の豚流行性下痢(PED)の影響が、今年10〜12月にかけて表れると見られていることから、下半期についても出荷頭数が伸びないと見通しているものと考えられる。

 一方、輸入冷蔵品および輸入冷凍品では「増加」、「同程度」が多く見られた。「増加」の理由としては、「牛肉からの需要シフト」、「国産豚肉からの需要シフト」が多く挙げられた。

図12 26年度下半期の卸売業者における豚肉の部位別販売見通し(前年同期比)

 部位別に見ると、国産豚肉については、「かたロース」、「ロース」は「減少」が4割を超え、「ばら」は「減少」が5割となった、特に「ロース」および「ヒレ」では「増加」と回答した卸売業者は見られなかった。しかしながら、「切り落とし」については、「増加」が「減少」を上回った。

 また、輸入品では、冷蔵品、冷凍品共に、全ての部位で「増加」が「減少」を上回った。冷蔵品については、「かた」、「かたロース」、「ロース」および「ばら」において、半数以上が「増加」と回答し、「ばら」に至っては80%が「増加」という結果となった。一方、冷凍品では、「かた」、「ばら」および「切り落とし」において、半数以上が「増加」と回答している。

 全体を通して見ると、卸売業者においては、牛肉から豚肉へ、豚肉の中でも国産品から輸入品へと、より低価格商品の販売が増えると見通していることが分かる。国産豚肉の減少および輸入豚肉の増加という見通しは、卸売業者および量販店において共通しているものの、和牛および国産牛の見通しについては、両者の間に明確な差が表れた。少なくとも卸売業者にあっては、小売業者のように下半期の景気回復という見通しは持っておらず、温度差が感じられる結果となった。

(4)食肉の販売拡大に向けた対応

 量販店および専門店における、販売拡大に向けた具体的な対応について調査した。

ア 量販店

 量販店においては、牛肉では「販促の強化」、「特定の年齢層・家族形態を対象とした商品の品揃え強化」、「低価格部位や切り落としの強化」が多かった(図13)。

図13 26年度下半期の量販店における食肉の販売拡大に向けた対応
注:複数回答

 豚肉では「低価格部位や切り落としの強化」、「輸入食肉の販売強化」の割合が多かった。また、鶏肉については、特段目立った対応は見られず、牛肉や豚肉に比べて低価格であることから、「低価格部位や切り落としの強化」と回答した量販店は見られなかった。

 前回調査と比較すると、いずれの選択肢においても回答割合が軒並み減少した。逆に前回から目立って増加したのは、豚肉で「低価格部位や切り落としの強化」、「輸入食肉の販売強化」、牛肉、豚肉、鶏肉共通で「特売回数の増加」という回答であった。特に国内外で相場高となった豚肉について、輸入品や低価格部位の販売強化でテコ入れを図りたい意向が表れたものの、全体的には販売拡大に向けた取組への意欲は減少しており、各社とも今後の販売拡大戦略の展開に苦慮している状況であることがうかがえる。

イ 専門店

 専門店においては、牛肉、豚肉、鶏肉いずれも回答が過半数を超える項目は見られなかったものの、前回調査と比較すると、ほとんどの項目で増加が見られた(図14)。特に、「低価格部位や切り落としの強化」、「輸入食肉の販売強化」、「少量パックの充実化」、「特売回数の増加」が大幅に増加した。このうち、前回調査では各畜種で3〜5%程度だった「輸入食肉の販売強化」は、国産品の相場高を受け大幅に増加したものと考えられる。畜種による傾向の差はほとんど見られないものの、「低価格部位や切り落としの強化」、「少量パックの充実化」との回答は、特に牛肉で高くなっており、専門店においては(利益率の高い)牛肉を中心に販売を拡大したい意向がうかがえる。また、専門店の販売拡大に向けた取組は、ほとんどの項目で増加し、どの項目も万遍なく20〜40%程度の回答を得ていることから、下期の販売拡大への意欲は前回調査時に比べれば、旺盛とみられる。

図14 26年度下半期の専門店における食肉の販売拡大に向けた対応
注:複数回答

(5)26年度第1四半期における国産豚枝肉卸売相場上昇に伴う対応

ア 小売価格への対応

 量販店および専門店に対して、26年度第1四半期における国産豚枝肉卸売相場の上昇に伴う小売価格への対応を聞いたところ、量販店および専門店ともに「値上げに踏み切った」との回答が7割を超えた(図15)。一般的に、小売価格は年間を通して変動幅が小さい特徴があるものの、多くの小売業者で値上げが行われたことから、26年度第1四半期の卸売相場の高騰の影響が大きかったことが示された。

イ 小売価格値上げ後の販売量の変化

 値上げを行った小売業者に対して販売量の増減を聞いたところ、量販店および専門店ともに「減少」の回答が約半数を占めた(図16)。しかしながら、専門店では皆無であった「増加」の回答が、量販店においては18%あった。近辺に競合店が無いなど、地理的要因が影響していることも考えられる。

ウ 今後の豚肉小売価格

 今後の小売価格について聞いたところ、量販店、専門店ともに「据え置く」との回答が最も多かった一方で、「今後の卸売相場次第では値上げを検討する」と回答する小売業者も少なからず見られた(図17)。「今後値上げする」と回答した量販店は10%となっており、その全ての小売業者で26年度上半期に1度値上げを行っていた。また、専門店では20%が「今後値上げする」としており、このうち4分の3は26年度上半期に「値上げした」と回答していた。一度の値上げだけに留まらない小売業者が一部見られることから、国産豚枝肉相場の上昇が経営に影響を与えていることがうかがわれる。

 一方、専門店においては、26年度上半期に値上げしたものの、「今後値下げする」との回答がわずかながら見られた。これは、値上げに伴う客離れが売上減少につながり、経営に大きく影響したため、客呼び戻しのため値下げを考えているものと思われる。

図15 豚肉卸売価格上昇に伴う小売価格への対応
図16 小売価格値上げ後の販売量の変化
図17 今後の豚肉小売価格

4 おわりに

 26年度下半期の需給状況を見通してみると、国内生産は、牛肉は全国的な離農などから減少が続くとみられる。豚肉についてはPEDの影響が一定程度表れると予想されることから、生産量は減少すると見られる。また、鶏肉は価格優位性に支えられ、引き続き堅調な引き合いが続くことから、増産傾向が継続するとみられる。

 一方、輸入においては、3畜種共に現地相場高や為替の円安傾向などによる輸入環境の悪化が継続することが予想される。

 本調査においては、小売業者では、景気回復を受けて和牛などの高価格商品への販売を増やす見通しが一部見られた一方で、卸売業者では、厳しい生産・輸入状況を受けて、より低価格商品への取り扱いが増える販売見通しとなっており、両者の間ではギャップが生じている。

 このような状況の中、小売業者、卸売業者ともに、販売拡大に向けた戦略を模索している。下半期の消費動向は、さらなる相場上昇との声が多い中、消費者の購買行動の行方にかかっていると言えよう。10月以降の需給状況、さらにそれを受けた食肉販売業者の動向が注目されるところである。

(参考)調査の概要

1.調査方法
 アンケート調査

2.調査対象先と回収率
 下表のとおり

表 食肉の消費・販売動向調査の対象先(注)
(26年度下半期)
(注):食肉の小売価格や市況(仲間相場)について、当機構が定期的に
   調査を実施している対象企業(全国の主要量販店および食肉専門店
   並びに全国の主要卸売業者)

3.調査期間
 平成26年8月5日〜8月29日


 本調査にご協力いただきました皆様に深く感謝致しますとともに、併せて御礼申し上げます。


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