需給動向 海外

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輸出需要にかげり、生乳価格は続落


2014年9月の生乳出荷量、前年同月比4.6%増

 ドイツ乳製品市場価格情報センター(ZMB)によると、2014年9月の生乳出荷量は、前年同月比4.6%増の1182万トンとなり、15カ月連続で前年同月を上回った(図27)。また、2014年の9月までの累計では、前年同期比5.3%増の1億1322万トンと前年同期を574万トン上回っている。

 2014年1〜9月の期間で、最も生乳生産量を増加させたのはフランスであり、前年同期比6.9%増(125万トン増)の1918万トンとなった。続いて、英国が同9.5%増(97万トン増)の1126万トン、ドイツが同4.2%増(97万トン増)の2387万トンとなっている。酪農経営の再編に伴い、経産牛飼養頭数が減少傾向にあるポーランドも、同7.4%増(56万トン増)と、かなり増加しており、順調に生産性の向上が図られていることがうかがわれる。

図27 生乳出荷量の推移
資料:ZMB
  注:2014年は暫定数値

2014年10月の生乳価格、前年同月比10.3%安

 オランダ農業園芸組織連合会(LTO)によると、2014年10月のEU域内主要乳業メーカー16社の平均生乳買取価格は、100キログラム当たり35.76ユーロ(5328円:1ユーロ=149円)と前月から同1.71ユーロ安(255円安、前年同月比10.3%安)とかなり値を下げた(図28)。

 生乳価格は、バターなどの乳製品の最需要期に向け、例年は夏先から11月にかけて価格は高位で推移する傾向にある。しかし、今年は8月に発表されたロシアのEU産乳製品の禁輸措置を受け、輸出需要の低下を見越して下落基調に入っており、前年同月を下回って推移している。

図28 生乳価格の推移
資料:LTO
 注:域内主要乳業16社の平均値

乳製品輸出、増加基調にかげり

 欧州委員会によると、2014年1〜9月の乳製品輸出量は、全体で前年同期比13.8%増の283万4000トンとなった(表6)。しかし、最大の輸出品目であるチーズの輸出量が同5.9%減となっており、ロシアが禁輸措置をとってから2カ月間ながらも影響が出始めている。

表6 EU域外への乳製品輸出量
資料:欧州委員会
  注:その他乳製品とは、HSコード「040390」を指す。

 ロシアが禁輸措置をとって以降の8〜9月について、品目別に前年同期との輸出先状況の変化を見たい。

 飲用乳では、ロシアが大きく減少した一方、ベラルーシ向けの輸出量が大幅に増加した(表7)。これは、ロシアへの迂回輸出に加え、ベラルーシ国内でチーズなどのロシア向け乳製品を生産するための原料として輸出されているものとみられている。全体では、中国向けがおよそ2倍と、大きく増加した結果、量・金額ともに増加している。

表7 飲用乳などの輸出状況(EU28、国別)
資料:Global Trade Atlas
  注:HSコード0401(飲用乳など)

 脱脂粉乳では、ロシア向けが減少したものの、アルジェリアやエジプトなどのアフリカ諸国、また中国向けの増加により、全体では、量・金額ともに増加している(表8)。

表8 脱脂粉乳の輸出状況(EU28、国別)
資料:Global Trade Atlas
  注:HSコード040210(脱脂粉乳)

 バターは、ロシア向けが減少したものの、中東やアジア向けが需要増加を受けて、増加し、全体では量・金額ともにやや増加した(表9)。

 なお、飲用乳、脱脂粉乳、バターは輸出量・輸出額ともに増加したが、金額の増加分は、量の増加を下回っており、輸出単価は下落しているとみられる。

表9 バターなどの輸出状況(EU28、国別)
資料:Global Trade Atlas
  注:HSコード0405(バターなど)

 一方、チーズは、輸出量・輸出額ともに大幅な減少をみせている(表10)。米国向けが引き続き好調であったことに加え、日本や韓国など向けも大きく増加したが、ロシア向けの減少を補うまでには達していない。

表10 チーズなどの輸出状況(EU28、国別)
資料:Global Trade Atlas
  注:HSコード0406(チーズなど)
(調査情報部 宅間 淳)

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