畜産の情報 2015年1月号

年頭のごあいさつ

独立行政法人農畜産業振興機構 理事長 佐藤 純二


 謹んで新年のごあいさつを申し上げます。

 当機構の業務につきまして、旧年中は皆様方のご理解とご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。

 昨年は、農家戸数や飼養頭数の減少といった生産基盤の弱体化が懸念されたことに加えて、配合飼料価格の高止まりや経済連携の進展などに伴い、畜産・酪農をめぐる情勢は大きく変化しております。

 まず、生乳生産については、25年夏以降、生産量が前年同月を下回って推移し、26年のバターや脱脂粉乳の生産量が減少して、在庫量が大きく減少しました。当機構では、年度を越えた前倒し入札、業務用冷凍バターと脱脂粉乳の追加輸入・売渡を行い、安定的な供給量の確保に努めてまいりました。また、国内の酪農生産基盤の維持のため、後継者確保対策などを実施しております。

 昨年に引き続き、牛肉をはじめとして豚肉、鶏肉、鶏卵などの畜産物の価格は高い水準で推移しております。肉用子牛生産についても、繁殖雌牛(母牛)頭数の減少により肉用子牛の出荷頭数が減少したことなどから、取引価格は高い水準で推移しております。

 このため、当機構では、生産者の経営安定対策に加え、肉用牛繁殖基盤の質的向上および担い手確保への取り組みに対する支援や、飼料自給力の強化対策などを通じ、牛肉の安定供給の確保に努めております。

 農林水産省は、昨年改訂した「農林水産業・地域の活力創造プラン」に基づき、「強い農林水産業」と「美しく活力ある農山漁村」を実現する取り組みを進めています。本プランの方向性を踏まえて、本年3月には、向こう10年間で畜産・酪農関係者が目指すべき、明るく魅力ある未来像が描ける「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」が策定される予定です。また、昨年成立した養豚農業振興法に基づき、「養豚農業振興のための基本方針」についても策定される予定であります。

 これらの方針に基づき、「攻めの農林水産業」を推進するに当たって、農林水産省は、牛肉をはじめ、世界に誇れる高い品質を有しているわが国の農林水産物・食品について、従来から力を入れてきたアジアのみならず、より購買力の高い人口を多く擁するEUや米国等の市場も重視し、輸出を促進することとしています。

 特に、国産牛肉の輸出については、平成22年に発生した口蹄疫、平成23年の原発事故などにより多くの国が日本からの輸入を禁止していましたが、その後、国内の環境が整備され、輸出先国の輸入基準などを満たしたことから、順次、輸出が可能となりました。これを受けて、欧米諸国を中心に、官民一体となった和牛輸出促進に向けた各種プロモーションイベントが開催され、当機構でも現地に役職員を派遣し、主催者を支援してまいりました。

 また、当機構においては、昨年5月より、毎月の食肉の需給予測に加え、牛については、と畜頭数の6カ月予測を開始したほか、国内外の需給動向、農畜産物の輸出などに関する情報の収集提供を積極的に推進いたしました。今後とも、よりニーズを踏まえた、鮮度の高い情報を、適時、適切に提供するよう努めてまいります。

 一方、昨年6月に独立行政法人通則法が改正され、当機構は引き続き、中期目標の達成を目的とする中期目標管理法人と位置付けられたほか、法人のガバナンスの向上の観点から、監事の権限の強化や主務大臣が業務実績評価を行うなど、本年4月からは新たな枠組みの下で、当機構の業務も行われることとなります。こうした中で、日豪EPAの決着内容やTPP交渉の動向などにも注視しつつ、引き続き適切に業務を行ってまいりたいと考えております。

 本年も、当機構の使命である「農畜産業及び関連産業の健全な発展と国民消費生活の安定」を目指し、業務の効率化の推進、透明性の確保に努めるとともに、攻めの農林水産業の推進など政府の方針を十分に踏まえ、当機構としてもこれらの方針を積極的に推進するべく、業務を実施してまいります。このため、女性の一層の活躍を図りながら人も組織も絶えずその時々の要請に応じて機動的に変化させ、この重要な使命を果たしていきたいと考えております。引き続き、皆様のご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

 本年が皆さまにとって希望に満ちた明るい年となりますことをご祈念申し上げ、新年のごあいさつと致します。

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