需給動向 国内

◆牛乳・乳製品◆

バター1万トン、脱脂粉乳5000トンを追加輸入


農林水産省が追加輸入の実施を発表

 農林水産省は5月27日、平成27年度カレントアクセスに加え、バター1万トン、脱脂粉乳5000トンの追加輸入を実施すると発表した。輸入入札は機構で6月中に行われ、10月末までに順次輸入され、国内需要者へ供給されることとなる。

 今回の農林水産省による追加輸入は、今年初め、5月に追加輸入の判断を行うとしていたことを受け、決定されたものである。今後について同省は9月に再び、追加輸入の有無を含め判断するとしている。

脱脂粉乳、バターの生産量は回復基調

 平成26年度のバター・脱脂粉乳などの製造に仕向けられる特定乳製品向けの生乳処理量は、生乳生産量が低調に推移する中、クリーム等向けが増加したことから、155万2000トン(前年度比4.6%減)とやや減少した。このため、バターは6万1650トン(同4.1%減)、脱脂粉乳は12万922トン(同6.1%減)となった。

 4月の特定乳製品向けの生乳処理量は14万7700トン(前年同月比0.3%減)とわずかな減少となり、品目別の生産量を見ると、バターは6160トン(同2.3%減)と前年同月を下回ったが、脱脂粉乳は1万2000トン(同5.2%増)とやや増加した(図7)。

 北海道の生乳生産が回復基調にある中、特定乳製品向け生乳処理量の減少幅も縮小しているが、バターや脱脂粉乳の生産量の大幅な増産には至っていない状況にある。

図7 バターおよび脱脂粉乳の生産量伸び率の推移(前年同月比)
資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」

卸売価格は依然として高水準で推移

 バターおよび脱脂粉乳生産量が減少したが、平成26年度の推定出回り量はバターが7万4362トン(前年度比0.3%増)とわずかに増加した一方、脱脂粉乳は13万8412トン(同3.2%減)とわずかに減少した。

 4月の推定出回り量はバターが5747トン(前年同月比10.1%減)、脱脂粉乳が1万1104トン(同6.9%減)と両品目ともかなり減少した。その結果、4月末の民間在庫量はバターが1万8300トン(同6.1%増)、脱脂粉乳が4万7600トン(同19.2%増)と共に前年同月を上回っている。

 しかし、在庫水準は例年と比べ、依然として少ないことなどから、卸売価格(大口需要者価格)は26年度頃から、前年を上回って推移しており、27年4月は、バターが前年同月比7.8%高の1キログラム当たり1375円、脱脂粉乳が同6.9%高の25キログラム当たり1万7457円と過去最高水準に達している(図8、9)。

図8 バターの民間在庫量および卸売価格の推移
資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」
図9 脱脂粉乳の民間在庫量および卸売価格の推移
資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」
(畜産需給部 岡 千晴)


元のページに戻る