需給動向 海外

◆世 界◆

2015年度のトウモロコシの生産量はわずかに減少見込み


 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)が5月12日に公表した「Grain:World Markets and Trade」によると、世界のトウモロコシ生産量(2014/15年度。以下「2014年度」という。)は前月の予測値からわずかに増加し、前年度比0.5%増の9億9612万トンとなった(表8)。ブラジルでトウモロコシ生産量の6割を占め、大部分が輸出に仕向けられる2期作目が天候に恵まれ、生産量が上方修正されたためである。また同月初めて発表された2015/16年度(以下「2015年度」という。)の世界のトウモロコシ生産量は、中国の生産量が増加する一方、米国の生産量が減少するとの予想から、同0.6%減の9億8983万トンと見込まれている。

表8 主要国のトウモロコシ需給見通し(2015年5月12日米国農務省公表)
資料:USDA/FAS
  注:各国の穀物年度 世界、米国、ウクライナ:9月〜翌8月/中国:10月〜翌9月/
    アルゼンチン、ブラジル:3月〜翌2月。

 2014年度の輸出量及び輸入量は、前月の予測値とかわらず、同8.1%減の1億1967万トンであった。多くの在庫を抱える中国のかなりの輸入減などが見込まれている。

 2015年度の輸出量及び輸入量は、同2.8%増の1億2304万トンと見込まれている。

 また2014年度の消費量は、前月の予測値と比較して上方修正され、同2.5%増の9億7742万トン、2015年度は同1.3%増の9億9040万トンとなった。2014年度の期末在庫も前月の予測値から上方修正され、同10.8%増の1億9250万トン、2015年度は同0.3%減の1億9194万トンと見込まれている。

大豆生産量は引き続き増加の見込み

 USDA/FASが5月12日に公表した「Oilseeds:World Markets and Trade」によると、世界の大豆生産量(2014年度)は、主要生産国の生育状況が良好なことから、前年度比12.0%増の3億1725万トンとしている(表9)。前回の予測値に比べ、アルゼンチンの収穫が好調であることから、上方修正されている。また同月初めて発表された2015年度の世界の大豆生産量は、ブラジルの生産量が増加する一方、米国の生産量が減少するとの予想から、前年度とほぼ同じ3億1730万トンと見込まれている。

 2014年度の輸入量は、中国の輸入量の増加により同2.6%増の1億1415万トンとしている。同年の輸出量は、米国やアルゼンチンでの増加が見込まれることから、同4.0%増の1億1750万トンとしている。2015年度の輸出量は同3.8%増の1億2198万トン、輸入量は同4.8%増の1億1963万トンと見込まれている。これは、米国の輸出量が減少する一方、ブラジルやアルゼンチンの輸出量および中国の輸入量が増加すると予想されているためである。

 また、2014年度の消費量は、引き続き需要増が見込まれることから、同5.8%増の2億5448万トンとしている。前回の予測値に比べ中国の消費量が増加していることから、上方修正されている。2015年度の消費量は同4.6%増の2億6622万トンと見込まれている。

 これらの結果、期末在庫は、2014年度には同34.9%増の8554万トン、2015年度には同7.8%増の9222万トンと大幅に増加している。

表9 主要国の大豆需給見通し(2015年5月12日米国農務省公表)
資料:USDA/FAS
注1:各国の穀物年度 世界、米国、ウクライナ:9月〜翌8月/中国:10月〜翌9月/
    アルゼンチン、ブラジル:3月〜翌2月。
  2:消費量は搾油仕向量。
(調査情報部 平石 康久)

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