肉牛飼養頭数の増加により牛肉生産量が増加
牛群再構築の進展により未経産牛のフィードロット飼養頭数が増加
米国農務省全国農業統計局（USDA/NASS）が5月20日に公表した「Cattle on Feed」によると、2016年5月1日時点のフィードロット飼養頭数は、前年同月比1.3％増の1078万3000頭となった（図1）。また、4月1日時点のフィードロット飼養頭数の内訳を見ると、去勢牛は同1.3％減となったのに対し、未経産牛は同4.5％増となったことから、USDAは、牛群の再構築の進展により、繁殖後継牛の保留が落ち着きを見せているとしている。
同年4月のフィードロット導入頭数は同7.5％増加となり、フィードロット飼養頭数の増加に寄与した。この導入頭数を重量カテゴリー別に見ると、700〜799ポンド（318〜362キログラム）と800ポンド（363キログラム）以上が、それぞれ同12.1％増の39万頭、同11.7％増の71万5000頭とかなり大きく増加した（表1）。この要因としてUSDAは、草地の状態が良いことで繁殖農家での飼育期間の長期化を挙げている。
生産基盤の回復に伴い、牛肉生産量は増加
USDA/NASSが5月19日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2016年4月のと畜頭数は、牛飼養頭数の増加を背景に前年同月比1.1％増の240万9100頭と、3カ月連続で前年同月を上回った。内訳を見ると、未経産牛が同7.8％減となったのに対し、去勢牛は同6.7％増となった。また、牛肉生産量は、と畜頭数の増加に加え、平均枝肉重量が同0.7％増の371キログラムとなったことで、同1.8％増の89万1000トンとなった（図2）。
2016年の牛肉生産量についてUSDAは、と畜頭数が前年を上回って推移することから、前年比4.7％増の1125万4000トンと見込んでいる。また、2017年についても、と畜頭数および平均枝肉重量の増加により前年を上回るとしている。
供給量の増加で肉牛価格、牛肉価格は前年を下回って推移
米国農務省経済調査局（USDA/ERS）が5月31日に公表した「Livestock Prices」によると、2016年5月の肥育もと牛価格（注1）は、前年同月比36.4％安の100ポンド当たり160.25米ドル（1キログラム当たり396円：1米ドル＝112円）となり、供給頭数減により同200米ドル以上で推移した前年を大幅に下回った。また、肥育牛価格（注2）は、同19.8％安の同129米ドル（同319円）となった。
（注1） オクラホマシティ市場、去勢、ミディアム600〜650ポンド。
（注2） ネブラスカのチョイス級相対取引価格、去勢1100〜1300ポンド。
USDA/ERSが同日公表した「Wholesale Prices」によると、5月の牛肉卸売価格（注3）は同17.6％安の同214.5米ドル（同530円）となり、供給量の増加を反映して、11カ月連続で前年同月を下回った（図3）。
（注3） チョイス級、600〜900ポンドのカットアウトバリュー。カットアウトバリューとは、各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成した卸売指標価格。
（調査情報部 渡邊 陽介）