需給動向 海外

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豚肉生産量は減少も豚価低迷続く


豚枝肉生産量は2カ月連続で前年割れ

欧州委員会によると、2016年1月の豚枝肉生産量(EU28カ国)は、前年同月比2.3%減の195万トンとなり、2カ月連続して前年同月を下回った(図12)。



豚肉価格が供給過剰感から低迷する中、ドイツやフランスなど多くの主要生産国で減産の傾向が強まったのに加え、2015年に前年比7.6%増、11.9%増とEU全体の増産をけん引してきたスペインとイタリアも、前年同月と比べ2.1%増、0.7%増と増加幅が縮小した。

価格は依然として低迷

欧州委員会によると、2016年2月の豚枝肉卸売価格(EU28カ国)は、前年同月比4.3%安の100キログラム当たり131.10ユーロ(1万6912円:1ユーロ=129円)と29カ月連続で前年同月を下回った(図13)。1月には、民間在庫補助(PSA)が実施され、当該月のEU全体の生産量の4.5%程度に相当する8万9841トン(製品重量ベース)の豚肉が補助の対象となり市場から隔離されたものの、価格は依然として低迷している。



2016年の生産は前年比0.3%減の見込み

欧州委員会が2016年3月に公表した豚肉の短期需給見通しによると、2016年の豚枝肉生産量は、前年比0.3%減と見込まれる(図14)。2015年は、豚枝肉卸売価格が低迷する中、ユーロ安で推移する為替相場に加え、アジアからの強い需要により輸出需要が続いたことなどから、スペインなどが大きく生産量を増やし、同3.6%増となった。しかしながら、2015年12月時点の繁殖母豚数は、最大のスペインは同4.6%増(同20万頭増)としているものの、他の主要生産国では減少傾向にあり、EU全体で同1.8%減と今後の減産への兆候が表れている。このため、欧州委員会は、2016年の豚肉生産量は前年から減少し、2017年についてもわずかに回復するも同0.7%増にとどまると見込んでいる。



また、EUの豚肉輸出量については、2015年が強い輸出需要により同8.6%増となったが、中国の経済成長の鈍化による輸入需要の減退や、米国産やブラジル産との競合などから、2016年は同3.0%増、2017年は同5.0%増と、増加幅は2015年より小さくなると見込んでいる。

(調査情報部 大内田 一弘)


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