需給動向 海外

◆チ リ◆

輸出量はやや減少


生産量はわずかに減少

チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)によると、2016年1〜6月の豚と畜頭数は、前年同期比1.5%増の256万4129頭となった。また、同期間の豚肉生産量は、同0.2%減の25万7647トン(枝肉重量ベース)となった(図9)。



同国の養豚は近年、環境規制強化の影響により生産能力が停滞傾向で推移している。2016年1〜6月は、トウモロコシなど飼料原料価格が前年より高値で推移したことを受け、1頭当たり枝肉重量は同1.2%減の100.5キログラム(注3)となった。

(注3) チリの豚枝肉は、通常、頭・皮付きであるため、1頭当たり枝肉重量は日本の1.3倍程度が目安。出荷体重の平均は120キログラム前後。

ロシア向けが大幅減

2016年1〜6月の冷蔵および冷凍豚肉輸出量は、前年同期比4.9%減の6万838トン(製品重量ベース)と、過去最高を記録した前年からやや減少した(表3)。主な要因としては、主要輸出先であるロシアの購買力が、原油安などを受けて低下したことが挙げられる。また、2015年の最大輸出先であった韓国向けは、同国市場において安価な北米産やEU産が多く流入した影響で減少した。

一方、中国向けは、前年同期比34.5%増と大幅に増加し最大の輸出先となった。要因としては、中国国内で豚肉供給が追いついておらず、ラクトパミンを使用していないチリ産豚肉の需要が大幅に増加したことが挙げられる。また、両国の間で2006年に発効された自由貿易協定(FTA)により、関税が10年かけて段階的に撤廃されたことも後押ししたとみられる。また、日本向けは、同国市場において牛肉や国産豚肉相場が高値で推移して輸入豚肉の需要が高まったため、同30.5%増と大幅に増加した。

大手豚肉輸出企業4社からなるチリポークによると、2016年は、国際市場において安価なEU産が引き続き多く出回っていることに加え、為替環境が年初以降米ドル安チリペソ高基調で推移していることから、輸出にとっては芳しくない状況が続いている。ロシアは先ごろ、欧米諸国に対する禁輸措置を2017年末まで延長すると決定した。同措置の対象となっていないチリとしては、ロシアの購買力の回復が待たれる。



国内では安価な外国産需要が増加

一方、2016年1〜6月の冷蔵および冷凍豚肉輸入量は、前年同期比42.3%増の2万747トン(製品重量ベース)と、過去最高の水準となった(表4)。近年、同国では人口増と経済成長に伴い国内需要が拡大しており、安価な外国産豚肉の輸入を増やして、ハムやソーセージなどの加工品を製造する傾向が強まっている。

チリ豚肉生産者協会(ASPROCER)によると、同国の国産豚肉価格は安価な輸入豚肉価格に押され気味で、国産豚肉価格は低迷が続いている。



(調査情報部 米元 健太)


				

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