需給動向 海外

◆豪州◆

乳製品価格の下落に伴い、
新年度の乳価見込みを下方修正


生乳生産、8カ月連続で増加

 デーリー・オーストラリア(DA)によると、2014年7月の豪州の生乳生産量は、64万7700キロリットル(66万7131トン相当、前年同月比1.5%増)と8カ月連続で前年同月を上回った(図28)。良好な牧草の生育状況に加え、補助的に給与する小麦や干草などの価格が安定的に推移していることから、増加傾向が継続している。豪州の生乳の約3分の2はビクトリア(VIC)州で生産されているが(表9)、州別の動向を見ると、輸出乳製品向けの主要生乳生産州であるVIC州、タスマニア州はそれぞれ前年同月を2.2%、7.1%上回っている。また、国内飲用乳向けの主要生乳生産州であるニューサウスウェールズ州も同4.4%上回っている。一方、クイーンズランド州では、干ばつの影響から同8.1%下回った。
図28 生乳生産量の推移
資料:DA
  注:年度は7月~翌6月
 一般的に豪州の生乳生産は、乾乳期に入る2月から7月まで低水準で推移した後、8月以降本格的な生産期に入る。豪州気象庁は、8月以降のVIC州の降雨量は平年を下回るものの、平年より温暖な天候が続くと見込んでおり、干ばつの発生していないVIC州では、当面の牧草の生育も良好な状況が継続するとみられている。また、DAは、2013/14年度(7月~翌6月)の乳製品価格が高値で推移したことから、酪農家の経営状況は改善しており、今後の見通しについて、比較的楽観視している。
表9 豪州の州別生乳生産量
資料:DA
注1:年度は7月~翌6月
  2:州名は以下のとおり
   VIC州=ビクトリア州、NSW州=ニューサウスウェールズ州、
   TAS州=タスマニア州、SA州=南オーストラリア州、
   QLD州=クイーンズランド州、WA州=西オーストラリア州

乳製品輸出、脱脂粉乳、チーズは増加

 豪州統計局(ABS)およびDAによると、2014年7月の主な乳製品の輸出量は、脱脂粉乳が8640トン(前年同月比73.5%増)、全粉乳が3172トン(同27.2%減)、バターが2298トン(同9.4%減)、チーズが1万636トン(同16.7%増)となった(図29)。生乳生産量は増加傾向で推移する中、輸出量全体では前年を上回ったものの、品目により差異が見られる。全般的に乳製品の国際価格が下落傾向にある中で、輸出向けの主力乳製品である脱脂粉乳、チーズについては、生乳生産の増加と軌を一にして前年を上回った。一方、数量の少ない全粉乳、バターについては前年を下回った。
図29 乳製品輸出量の推移
資料:DA、ABS
  注:2014年6月以前はDA、2014年7月はABS

乳製品国際価格、下落傾向が継続

 2014年9月2日に開催された乳製品国際価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:ニュージーランド(NZ)最大手乳業フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)によると、脱脂粉乳の平均取引価格は1トン当たり2600米ドル(27万円:1米ドル=105円、前年比41.2%安、前回比9.5%安)、全粉乳は同2673米ドル(28万円、前年比47.2%安、前回比4.7%安)となった(図30)。NZ、豪州の生乳生産は季節的に減少しているものの、EU、米国の生乳生産量の増加に伴い、乳製品国際価格は下落傾向が継続している。さらに、8月上旬にロシアがEU、米国、豪州からの乳製品の輸入を禁止したことが、国際価格の下落に拍車をかけたとみられている。現地報道によると、ロシアの禁輸措置発表当初、ロシアからNZ産乳製品への需要が高まることで、GDT価格の上昇が予想されていた。しかし実際は、NZの主要輸出先ではないロシアの今回の措置が、NZの乳製品輸出に与えた影響は小さく、むしろ輸出先を失ったEU産の乳製品が市場にあふれたことが、GDT価格の下落につながっているとしている。
図30 GDTの乳製品価格の推移
資料:GDT

豪州最大手乳業、今年度の乳価見込みを引き下げ

 乳製品国際価格の下落を受け、豪州最大手の酪農協系乳業メーカーであるマレーゴールバン社は8月、2014/15年度(7月~翌6月)の最終的な支払見込み乳価を6.15~6.30豪ドル(609~624円:1豪ドル=99円)から、6豪ドル(594円)に引き下げると発表した。通常、豪州の乳業メーカーは、年度当初に比較的低い初期乳価を設定し、年度途中に数回引き上げを行い、年度末に最終的な支払乳価を決定する。しかしながら、今回の引き下げにより、初期乳価と最終的な支払見込み乳価が同額となっており、同社は、「現在の市場環境が継続する限り、年度内の乳価引き上げは行わないであろう。」としている。

(調査情報部 根本 悠)

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