米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○フィードロット導入頭数が減少



95年後半から減少に転じる

 フィードロットの導入頭数 (主要7州の合計) は、 95年上半期は累計で前年同 期比13.0%増と大幅な増加となったものの、 下半期に入ってからは、 ほぼ前年水 準を下回る動きをみせている。 その結果、 7月から10月までの累計では、 前年同 期比4.8%減の760万頭となった。  こうした動きの背景には、 飼料価格の値上がりがある。 トウモロコシの価格 (シカゴ相場の先物、 期近価格) は、 95年6月から前年を上回る動きを見せ始め、 9月以降は、 93年12月以来の3ドル/ブッシェルを超える水準で推移している。

体重の重い肥育素牛へ需要がシフト

 飼料価格上昇の影響を受けて、 フィードロットでは、 より体重の重い肥育素牛 を導入する傾向にある。 このため、 肥育素牛価格が供給増から全般的に低迷する 中で、 体重の軽いものの価格が、 重いものに比べて、 より大きく下落している。 例えば、 95年11月では、 750から800ポンドの去勢素牛価格が、 前年同月比9.6% 安であったのに対し、 500から550ポンドのものは、 同26.2%安となっている (い ずれもオクラホマシティーの市場価格)。

早めの出荷で枝肉重量が減少

 また、 フィードロットでは、 飼料コストを抑えるために、 粗飼料の割合を増や す傾向が表れているほか、 肥育牛の出荷を早めに行っているものとみられる。 こ うした動きを反映して、 枝肉重量は、 このところ前年以下の水準で推移しており、 95年10月は、 前年同月比1%マイナスの326kgとなった。

収益には大きな影響なし

 飼料コストが増大しているとはいえ、 フィードロットの収益状況は、 小規模な ものを除き、 比較的良好とみられている。 これは、 生産コストの大半を占める肥 育素牛価格がかなり安くなっているためである。 米国農務省は、 フィードロット の収益動向 (グレートプレーン地域、 農機具費等は除く) について、 95年下半期 に入ってからも黒字で推移しており、 今後も、 少なくとも冬の間は、 赤字に転じ ることはないとしている。  一方、 繁殖経営は、 肥育素牛価格下落の影響をまともに受けており、 95年秋に は、 80年半ば以来、 初めての赤字を記録したものとみられている。
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