世界の飼料穀物の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○大豆ミールの価格が高騰



 配合飼料の主要な副原料である大豆ミールの価格が高騰している。 国内で流

通している大豆ミールには、 国内製油メーカーが輸入大豆から食用油を精製す

る際に副産物として供給される国産大豆ミールと、 輸入大豆ミールがある。 こ

のうち、 国産大豆ミールの取引価格は、 供給者の製油メーカーと需要者の配合

飼料メーカーが四半期ごとに国際市況等を参考にしつつ交渉を行って値決めし

ているが、 95年10〜12月期には前期比で20%を超える大幅な値上げがなされた。 

96年1〜3月期もさらに6%程度の値上げが行われる見通しとなっている。 

輸入大豆価格の上昇が原因

 この価格高騰の背景には、 原料となる輸入大豆の取引価格の高騰がある。 米 国のシカゴ穀物市場 (CBoT) では、 世界第2位の生産国ブラジルの不作で輸入 国からの引合いが米国に集中するとの見方から、 大豆の取引価格が高騰し、 11 月末時点で686セント/ブッシェル (前年同月比122%) に上昇した。 わが国が 年間に輸入する約5百万トンの大豆のうち、 約8割は米国から輸入されている ため、 米国における大豆価格の高騰は、 製油メーカーを含む国内需要者にまと もに影響を及ぼすことになる。  ちなみに、 わが国では年間3百万トン強 (平成6年度) の大豆ミールが配合 飼料の原料として使用されているが、 そのうち2百万トン以上は国内製油メー カーから供給される国産大豆ミールである。

大豆ミールの国際需給も逼迫

 わが国は、 上記の国産大豆ミールに加え、 年間70〜90万トンの大豆ミールを 輸入しており、 その最大の輸入相手国は中国であった (平成6年度輸入量約30 万トン)。 しかし、 その中国における需給事情の変化が、 大豆ミールをめぐる 国際需給の逼迫に拍車をかけている。 中国では、 経済発展に伴い生活水準が向 上し、 畜産物への需要が急速に拡大したため、 飼料用大豆ミールへの需要も大 幅に増加した。 このため、 昨年度まで、 インドと並び、 アジアにおける大豆ミ ールの2大輸出国であった同国は、 本年下半期に入って輸出が急減し、 10月に はついに停止した。 さらに、 年末にかけてはインドから数万トンの大豆ミール を輸入せざるを得ない模様である。 この結果、 インド産大豆ミールに各国の需 要が集中し、 輸出価格も270ドル/トン前後と、 この2カ月で約30ドルも上昇 した。 アジア各国の飼料需要は当面衰える気配がないため、 大豆ミールの国際 需給も、 当分の間、 大幅な逼迫基調で推移するとみられている。
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