EUの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○バターの需給は堅調に推移



95年の生産量は増加の見込み

 EU (12カ国) のバター生産量は、 94年10月以降、 ほぼ前年を上回って推移して おり、 95年1月から10月までの生産量は、 前年同期に比べ、 2.6%増の約133万ト ンとなった。 国別では、 フランスは落ち込んだものの、 イギリス、 アイルランド、 ベネルクス三国が増加し、 全体としての生産量の増加につながった。 生産量が増 加した原因としては、 域内及び国際価格が好調な上、 この10カ月間で生乳出荷量 が約3%伸びたことが挙げられる。 生産がこのまま順調に推移すれば、 95年の生 産量は、 前年比約2.6%増の約163万トンとなり、 前年に比べて約4万トン程の増 加になると見込まれている。

消費は減退傾向が続く

 一方、 消費についてみると、 消費者の嗜好が変化する中で乳業メーカーがチー ズやヨーグルトといったより付加価値の高い乳製品の販売に力を入れていること などから、 域内消費量は停滞気味である。 こうした趨勢は95年においても目立っ た変化はなく、 年間消費量は前年比約1.4%減の約159万トンとなることが予想さ れている。

輸出需要により価格は好調

 このように、 需要の減退が続く中でも、 バター価格は、 今年に入ってから好調 に推移している。 これは、 EUの域内需要は減退しているものの、 総需要と総供給 はほぼ均衡しており、 これに輸出が加わることから、 全体の需給バランスは不足 気味となっているためである。 過去において、 このギャップを埋め合わせてきた のが介入在庫からの放出であったが、 同在庫の数量は、 期首の約5万5千トンか ら10月末現在では前年比約77%減の約2万トンと大幅に減少している。 これは、 今年前半に、 主にロシアへの輸出向けに放出されたことによるものだが、 その分 域内向けの供給が細ったことも、 価格を押し上げた要因となったとみられる。 特 に、 7月からは生産量が季節的な要因で減少したため、 4カ月連続して価格は上 昇した。 指標の一つとなるオランダの価格は、 10月には、 100kg当たり725ギルダ ー (ブランドバター) と、 前年に比べて6%の上昇を示した。
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