台湾の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○肉豚価格が回復



11月末には6, 000元台に

 肉豚価格は、 豚肉輸入セーフガード (SG) 発動懸念による対日輸出自主規制 (9 月11〜21日) の実施をきっかけとして9月中頃から急落していたが、 最近になって 下げ止まりから反転し、 直近では5月の価格に近い水準まで回復を示した。 10月下 旬に入って底 (5,200元/100kg前後) を打ったとみられる生体取引価格は、 SG発動 の発表後も低迷を続けたが、 11月中旬からは徐々に上昇傾向となり、 11月末の時点 では、 多くの生体市場で6,000元/100kg以上にまで戻している。 以前から、 秩序あ る豚肉供給を指導してきた行政院農業委員会 (農業省に相当) は、 少なくとも5,000 元/100kgを割るという最悪の事態は避けられたとしている。

国内需要にプラス要因

 9月の価格急落後も、 月間ベースでは輸出が増加する傾向が続いたことから、 肉 豚価格が一時的に反発することを予想する向きも一部にはあった。 しかしながら、 SGが開始された後、 11月中旬に入ってから上昇に転じたことはやや意外であった。 その要因としては、 立法院 (国会) の選挙キャンペーンが盛り上がったことなどに より消費が一時的に刺激されたことなどが挙げられている。 今後も、 春節 (中国正 月;2月) や総統選挙 (3月) といった、 消費を押し上げる要因となる重要、 特別 な行事が控えている。 こうしたことから、 現地の肉豚生産者は、 必ずしも今後の見 通しに悲観的とはなっていない。

行政は需給調整と新市場開拓を指導

 輸出市場のほとんど全てを日本に依存する台湾では、 SGの発動がもたらす豚肉価 格への影響に対する関心が高い。 農業委員会は、 事前の増頭抑制指導、 卸売市場に よる供給量の適切な調節、 生産者・輸出メーカーによる適確なと畜頭数の維持によ って、 極端な価格暴落等の危機が回避されたとしている。 また同委員会は、 SG発動 の真の影響は今後の内外の動向を見なければ判断できないとしながらも、 今回のケ ースを教訓として、 生・販一体となった秩序ある需給調整や新たな輸出市場の模索 等を呼びかけている。
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