豪州農業資源経済局 (ABARE) は先頃、 酪農家を対象に現在の生産技術や今後の 経営プランに関する調査を行った。 この調査は、 ABAREがサンプルとなる酪農家を 抽出し、 現在の生産技術や今後の経営プランなどの実態を明らかにするために行っ たもので、 91/92年度に続き2度目のものである。飼養管理の方法が変化
前回の調査と比較し目立った変化としては、 飼養管理に際し、 放牧と併せて濃厚 飼料を給与する酪農家の割合が前回より6%上昇し85%に達した点である。 また、 牛群改良への取り組みに関しては、 牛群検定の普及率が6%上昇して62% に、 また、 人工授精の普及率が7%上昇し、 80%に達した点などが特筆される。 このように、 酪農家の飼養管理等の向上が急速に図られているが、 これは乳価が 堅調に推移する中で、 飼養方法の改善や乳牛の改良によって乳量アップを図ろうと する酪農家の意欲が高まっていることの反映と考えられる。 搾乳施設、 頭数の拡 大を計画 次に、 搾乳施設に関しては、 現在、 ヘリンボーン方式と呼ばれる斜列型のパーラ ーが最も普及しているが、 その1時間当たり平均搾乳牛頭数が54頭から58頭に、 ま たロータリーパーラー方式の平均搾乳頭数が124頭から131頭に増加するなど、 搾乳 効率の向上が図られている。 また、 5年後の経営プランを持っている酪農家は48%に達し、 なかでも経営規模 に関しては、 経産牛頭数を現在の一戸当たり平均128頭から98/99年度には158頭と、 23%の拡大が計画されている。搾乳の効率化を目指す
規模拡大を成功させるためには、 搾乳施設の改善が大きな課題の一つとなるが、 酪農家の38%は、 より搾乳効率の高い斜列型のロータリーパーラー方式への更新を 望んでいる。 それは、 限られた労働力の下で規模拡大を図っていくには、 最も労力 を必要とする搾乳作業の効率性を高めることが不可欠であると考えられるからであ る。 このように規模拡大が積極的に計画されている要因としては、 海外市場を中心と した乳製品の需要拡大に伴い、 現下の好調な乳価が今後も持続されると見込まれて いるためと考えられる。
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