穀物節約型の畜産業の発展をめざした選択 (中国)



耕種作物と畜産の 「循環」 農法に高い評価

 第4回全国農業地域畜産業振興会議が9月に安徽省で開催された。 会議では、 92 年に国務院が提唱した、 「耕種作物の茎の飼料としての活用と、 家畜から得られる 有機肥料を作物栽培に役立てる」 モデル・プロジェクトの成果を総括するとともに、 (96年度からの) 大九次五カ年計画期間中の畜産業の振興目標を設定した。  今回の会議は国家指導者の注目が高く、 李鵬首相は会議に祝辞書簡を寄せて、 (1) この農法は、 穀物消費を節約しつつ牛、 羊産業を急速に発展させ、 農村経済 の発展に寄与するとともに、 都市・農村の食生活の改善に貢献した。 (2) 茎の飼料利用と有機肥料の還元による農法は、 価値ある一大事業であり、 耕 種農業と畜産を結合する優れた方式として、 普及に努めねばならない。 とこの事業を総括するとともに、 この方向付けに高い評価を与えた。

牛のモデル・プロジェクトが食肉増産を牽引

 牛の飼育では、 92年のプロジェクト開始から現在までに、 全国27の省・市でモデ ル地域、 また、 104のモデル県が設置されている。 うち、 75モデル県の94年の統計 では、 飼養頭数は前年比18. 5%増、 出荷頭数は同50. 3%増、 また、 牛肉生産量で は同57. %増が記録された。 なお、 75県の牛肉生産量の全国シェアは20%を超えて いる。 こうしたモデル地域に牽引される形で、 全国的に牛の飼育ブームが起こり、 同年の牛肉の総生産量は、 前年比で39.7%増えて327万トンとなった。 また、 畜産 業全体としても全面的な増産となり、 飼料穀物の供給不足があったにもかかわらず、 食肉の総生産量は前年比で17. 1%増加し4千4百99万トンに達した。 なお、 食肉 の中で最も増加率が高いのは牛肉で、 家きん肉、 羊肉がこれに続いている。

農業部が4項目の畜産振興目標を提示

 また、 今回の会議では農業部 (農業省に相当) が、 次の、 今次五カ年計画中の畜 産業の振興目標を提示した。 (1) 「中原 (黄河中・下流域)、 東北、 河南」 を、 早急に肉牛地帯として形成し、 同時に、 江漢平原、 四川盆地を新たに肉牛地帯として発展させる。 また、 モデ ル地域、 モデル県の牛肉生産量を、 総生産量の50%前後までに高める。 (2) 作物茎による飼育で成功を収めた牛の例を基礎にして、 水牛、 鹿、 その他の 草食家畜にもその適用範囲を広げ、 その飼育増加を加速する。 (3) 農業地域ごとの実情に適合した茎利用による肉牛肥育を普及させ、 全国に、 徐々に穀物節約型の畜産体系を築くこと。 (4) 肉牛の生産基地で、 「生産、 加工、 販売」 を一体化した生産体系を構築し、 加 工による付加価値を高めること。 肉禽蛋信息 (95. 10. 31付け)
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